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ビジネスにおける「ご査収」の使い方のポイント|メールでの返信の仕方も紹介!

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2021/10/10

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「ご査収」の言葉の意味とは?

ビジネスメールなどで目にすることが多い「ご査収(ごさしゅう)」とは、いったいどのような意味のある日本語なのでしょうか。

漢字の「査」は「しらべる・考える」、「収」には「おさめる」「あつめる」といった意味があり、「査収」とは「物を受け取り、確認すること」を表す言葉です。

「ご査収」は接頭辞の「御(ご)」がついた敬語表現になるため、「受け取って、内容を確認してください」といった意味になります。

「ご査収ください」の6つの類語や類似表現

日本語には様々な言葉や表現があります。「ご査収」にも読み方が似た言葉や、多くの類語・類似表現があるため、正しい使い方に迷うことも多いでしょう。

「ご査収」に似ているようで意味が違う言葉と状況に合わせた使い分けを以下にまとめました。上司や取引先、顧客、クレーム対応など、正しい意味の言葉を状況に合わせて使い分けましょう。

1:ご査証ください

査収によく似た言葉のひとつに「査証(さしょう)」があります。査証には「調査して証明する」という意味があり、相手への確認や根拠を強く求める場合に使用します。

また査証とは、渡航先の国への入国許可証である「ビザ」そのものを指す日本語ですが、ビジネスの場では「査証=ビザ」の意味で使用することはほとんどないでしょう。

多くは取引上の相手の間違いが発覚した場合に使う表現です。「先日仕入れた商材が注文数量と異なっておりますので、ご査証をお願いいたします」という風に、相手に「確認して状況を説明してください」と要求するときに使用します。

2:ご確認ください

査収の類語でより多く見られるのは「確認」ではないでしょうか。厳密には、査収と確認には「物を渡すか渡さないか」の意味の違いがあります。

上司や取引先に書類を預けて確認してもらうなら「ご査収ください」を使いますが、その場で見てもらうだけなら「ご確認ください」を使います。とはいえ、査収から確認に言い換えても、ほとんどの場合は問題ないでしょう。

逆に、細かい数値をチェックする必要がない場合や、重要な内容が含まれないものに「ご査収ください」とつけると違和感が強くなる可能性があります。再提出の数値の微調整や、文面の確認程度の場合は「ご確認ください」を使いましょう。

3:ご検収ください

「検収(けんしゅう)」とは「納品された商品の数量や内容、状態などを確認して受け取ること」を意味します。IT用語ではコンピューターやネット上でのシステム開発などで、システムが仕様通りに動くかの確認・検査の意味です。

完成した商材を相手に渡す際には「ご検収ください」と使えますが、打ち合わせ途中の書類などには使えません。発注された商品の納入時や、サービスの開始前に確認してもらう場合に使用しましょう。

4:ご高覧

「高覧(こうらん)」とは「相手を敬いその人が見ること」を意味します。「ご高覧ください」は相手を敬う言葉に接頭辞の「御(ご)」が付いていることから「ご覧ください」をさらに丁寧に言い換えた表現にあたります。

細かい内容を確認してもらい、修正なども視野に入れた「ご査収」とは違い、相手に完成品を見てもらうときに使用する言葉です。商材のパンフレットやイベントの案内状を送る際などに使うとよいでしょう。

取引先や目上の相手に使用する言葉ですが、直属の上司に使用すると堅苦しく大げさな印象を与えてしまうため、注意が必要です。

5:お目通し

「目通し(めどおし)」とは、書類などの冒頭から終わりまでに目を通すことを表します。「お目通し」は尊敬語になるため、取引先や目上の相手に対象物をざっと見てもらいたいときに使うとよいでしょう。

書類などをじっくり見て調べてもらいたい「ご査収」に比べて、全体を通して見てもらいたいときに使うため、重要事項のやり取りには合わない場合もあります。おおまかに把握してもらいたいときに使える表現は「ご検討ください」や「ご一読ください」もおすすめです。

6:ご笑納

「笑納(しょうのう)」とは、字の通り「笑って納める」の意味があります。品物や贈り物などを渡すときに使う表現で、ビジネス上のやり取りでは使用できません

 

敬語表現ではありますが、取引先や目上の相手に使う挨拶としては軽すぎるため、同僚や友人、後輩などに贈り物を渡す際に使いましょう。また、謝罪時の詫び状に使っては失礼にあたるため注意が必要です。親しい間柄での贈り物につける挨拶として使用しましょう。

ビジネスにおける「ご査収」の使い方のポイント3つ

「ご査収」の意味や類似表現を解説してきましたが、具体的にどのような状況で使用すればよいのでしょうか。

ここからは、ビジネスシーンに合わせてメールや手紙での正しい使用方法相手の状況による使い方のポイントをなど解説していきます。

1:ビジネスメールで使うときは送る相手や状況を考える

「ご査収」を使うときは、相手にひと手間かけてもらう状況を想定しましょう。

メールの本文内に確認してもらいたい事項を記載していたり、本文内に添付ファイルの内容が表示される場合は、この表現は適しません。添付ファイルを解凍して開く、画像を開いて表示するなど、相手のアクションが必要な場合に使用しましょう。

また、相手に確認してもらいたいページや項目をあらかじめメール本文に記載しておけば、その後のやり取りもスムーズに進みます。

2:データや資料を相手に確認してほしいときに使う

添付ファイルや同封物など、確認するものがないメールや手紙に「ご査収ください」とつけてしまうと、相手も何を確認すればよいのかわからず戸惑わせてしまいます。

相手に確認してもらいたいデータなどの添付ファイルを付けたメールの送信時や、金額や数量など必ず確認してもらいたい数値が入った資料などを郵送する場合に使用しましょう。

3:「程」を使った表現もできる

「ご査収ください」をさらに丁寧に表現したいときは「ご査収の程」と付け加えるとよいでしょう。「程」を加えることでより丁寧な印象の文面になります。

「ご査収ください」は敬語表現にあたりますが、相手に軽い印象を与える可能性もあり、履歴書の添え状や取引先へのメールなどには向きません。「ご査収の程よろしくお願いいたします」など、相手に合わせて使い回すのがおすすめです。

「ご査収」を使った例文3つ

「ご査収」の意味や正しい使い方を理解したら、次は実際に手紙やメールで使ってみましょう。

郵送物やビジネスメールでの使用例のほかに、英文での表現も例文を挙げています。参考にしてみてください。

1:郵送物で確認してほしいときの伝え方

郵送物の場合、相手に開封の必要がないハガキでの文面には「ご査収」を使いません。封筒に入った手紙や資料、同封物の添え状で使いましょう。

・新商品の仕様書を同封いたしましたので、ご査収くださいますようお願いいたします。

・○月分の請求書を同封いたしましたので、ご査収の程お願いいたします。

2:メールで確認してほしいときの伝え方

メールも郵送物のときと同じく、見てもらいたい情報が本文だけで確認できる場合は「ご査収」は使いません。添付ファイルやリンク先を開く必要があるときに使用しましょう。

・ご依頼いただいたシステムのテスト版を文末のリンク先からご確認いただけます。ご査収くださいますようお願い申し上げます。

・お見積書を添付いたしましたので、ご査収の程よろしくお願いいたします。

3:英語表現での伝え方

英語での「ご査収ください」は、メールでの添付物の確認を促す場合は”Please find attached the~”、郵送物には”Please find enclosed the~”が近い表現といえるでしょう。「ご査収」と同じ英訳はないため、「~をご覧ください」に近いニュアンスになります。

・Please find attached the quotation.(添付の見積書をご覧ください。)

・Please find enclosed the product catalog.(同封の商品カタログをご覧ください。)

「ご査収ください」に近づけたい場合は”Please take a look and if you have any questions, please do not hesitate to contact us.”(ご覧いただき、不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください)と付け加えると、より丁寧に伝わります。

「ご査収」を使うときの4つの注意点

「ご査収ください」と付け加える前に、使いどころを間違えていないか注意する点がいくつかあります。

使用するのに適さない相手や、アンマッチになってしまう状況など、4つの注意点にまとめましたので参考にしてみてください。

1:顧客や目上の人には使わない

「ご査収」はビジネス寄りの言葉にあたるため、一般の顧客へ向けた文章には適しません。また、相手に「よく確認してください」という意味であるため、「ご査収ください」では目上の相手や社外の取引先などへの使用にも向かないでしょう。

一般の顧客へは「中身をよくご確認のうえ、お受け取りください」といった柔らかい言い回しにします。目上の相手に対しては「ご査収いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」など、さらに丁寧な言い回しを加えましょう。

2:確認する対象がないときは使わない

「ご査収」は中身をよく確認することを促す言葉であるため、資料やデータなど確認する対象がない状況では使えません。

何も添付されていないメールやハガキの文面に「ご査収ください」と付け加えてしまうと、相手を困らせてしまいます。また社外の取引や社内の連絡上で、重要な数字や情報を含まないものを相手に見てもらいたいときは「ご確認ください」を使用するなど工夫しましょう。

3:口頭でご査収くださいと使わない

「ご査収」はビジネスメールや文章で使われるのが一般的で、会話ではあまり使用しないため注意しましょう。

「ご査収」には「受け取る」の意味も含まれますが、会話で「お受け取りください」と口に出すと仰々しい印象を与えてしまいます。書類などを直接手渡したり、数字を見てもらいたいときには口頭で「ご確認ください」と伝えれば十分です。

4:返信の際には使用しない

「ご査収」は相手に詳しく確認してもらいたい対象物がある際に使用するため、相手がすでに内容を確認している場合には使用しません。メールの返送や資料の返却の際に変更点などがある場合は、「ご不明な点がございましたらご連絡ください」など付け加えるのがおすすめです。

また、相手から「ご査収ください」と受け取った際には内容を確認して、問題がなければ「受領いたしました。内容に問題はございません。」など、すみやかに返答しましょう。

メールでの「ご査収ください」に対する返信の仕方

相手から「ご査収ください」と連絡があった場合は、すぐに内容を確認して返答する必要があります。すぐに内容を確認できない場合は「○月○日までに確認し、改めてご連絡いたします」など、具体的な期日を伝えておきましょう。

また、添付物や送られた資料などをしっかり確認しないまま、相手に確認した旨を伝えるのはNGです。仕事が進行したのちにミスや修正箇所が発覚し、後から相手に修正依頼を出してしまっては、信用を喪失したりお互いに損失を被ることになりかねません。

「ご査収」の意味や使い方を理解して正しく使おう

この記事では「ご査収」という言葉の意味と使い方を解説しました。耳慣れない言葉ですがビジネス上では使う機会も多いため、しっかりと学んでおく必要があります。意味や用法を理解しないまま使用し、相手に対して失礼にならないよう、注意が必要です。

言葉の持つ本来の意味や正しい使い方を理解して、相手や状況に合わせてスマートなやり取りができるよう、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

Bee

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