ビジネス

労災とは|労働災害認定から保険がおりるまでを簡単にわかりやすく解説

労災労災保険労働災害労災認定基準

2021/03/23

仕事中、病気を患ったり怪我をした場合、労災保険がおります。
「そもそも労災って何?」
「労災についてなんとなく知っているけど、どんな種類があるかまでは知らない…」
「どういう時に労災認定されて保険がおりるの?」
そんな疑問にお答えすべく、今回は労災について簡単にわかりやすく解説いたします。

目次[ 表示 ]

1.労働災害-通称「労災」とは

労災とは、業務上や通勤上で労働者が怪我をする、病気になる、障害が発生する、死亡することをいいます。正式名称は「労働災害」です。
「労働者災害補償保険」「労災保険」のことを略して「労災」と呼称するケースもありますが、ここでは「労働災害」の意とします。

労働災害の種類について

労災にも種類があり、主に2つに分類されます。仕事中に起こる労災を「業務災害」、通勤中に起こる労災を「通勤災害」といいます。業務上の心理的負荷によって起こる「精神障害」も労災に含まれます。

業務災害

業務中に起きる怪我、病気、障害、死亡を「業務災害」といいます。
業務災害と認定されるための要件があり、それらは「業務遂行性」「業務起因性」の2つに分けられます。後ほど詳しく解説いたします。

通勤災害

通勤中に被った怪我、病気、障害、死亡のことを通勤災害といいます。
通勤災害の「通勤」の定義は、厚生労働省によって以下の通りに定められています。

就業に関し、次に掲げる移動を
(1)住居と就業の場所との間の往復
(2)就業の場所から他の就業の場所への移動
(3)住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
合理的な経路及び方法により行うこと
引用:厚生労働省 東京労働局

「自宅の玄関の外~就業場所の敷地内の往復」と、「就業場所~他の就業場所への移動」「単身赴任先~帰省先との間の移動」の際、その経路や手段が合理的であることではじめて「通勤」と認められます。

移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の移動は「通勤」とはなりません。
引用:厚生労働省 東京労働局

日用品の購入など、厚生労働省令で定められた「日常的に必要な行為」によって通勤を中断・逸脱した場合、その間は通勤として認められませんが、その行為を終えて移動を再開したら再び「通勤」と認められます。

会社の規模や所轄労働基準監督署によって、通勤に該当する敷地範囲が異なるので、その都度会社や労基署に相談してください。

精神障害

業務が原因となって引き起こされる精神障害やうつ病などの心の病気、自殺も労災と認められます。
2011年、厚生労働省により「発病前約6ヶ月間に、業務による強い心理的負荷があること」を条件に、精神障害も労災に含まれるようになりました。
その原因となる行為の証拠が必要であり、その行為の例として、極度の長時間労働やパワハラ、セクハラ、モラハラ、いじめ、嫌がらせなどが挙げられます。
精神障害が業務に起因することを立証するためには、精神科や心療内科で医師に診断書を書いてもらうことに加え、原因となった行為の証拠を集めておくことが必要です。



2.労災保険はどうすればおりる?手続きや手順は?

労災保険は、労働者災害補償保険の略称です。文字通り、労働によって被災した労働者やその遺族に対して、保険給付という形で補償される制度です。
例えば、労災に遭った際にかかった医療費を、国民健康保険ではなく労災保険で賄うことができます。

労災保険の加入義務は事業主に、給付対象は労働者に

会社や事業主は、1人でも従業員を雇っていれば、労災保険の加入義務が発生します。保険料は会社・事業主が全額負担することになります。業種によって危険率が異なるので、それに付随して保険料も業種により異なります。
労働者が保険料を支払う必要はありません。保険料は会社・事業主が厚生労働省に支払い、労災発生時に厚生労働省が労働者に給付します。
労働者であれば、アルバイトやパートなどの非正規雇用や、派遣社員でも労災保険の給付申請が可能です。
また、会社が労災保険に加入していないからといって、労災給付が受けられないことはありません。労働基準監督署に相談しましょう。

労働災害認定の基準

仕事中や通勤中に被った災害は、すべて労災認定されるのかといえば、そうではありません。労災に認定される基準とはなんなのか、具体例を用いて説明いたします。
業務と労働者の被害(怪我・病気・障害・死亡)との間に因果関係が認められる場合、業務災害と認定されます。
業務災害を認定する際に重要視される基準がふたつあります。「業務起因性」「業務遂行性」です。

業務遂行性

社内外問わず仕事をしている状態、または業務外でも会社の管理下にある状態を業務遂行性といいます。トイレや水分補給など、生理的行為の際に生じた災害も含まれます。休憩中でも、会社の設備が原因で被害に遭った場合、労災と認められます。

具体的な事例
・会社内の階段を誤って踏み外し転落して骨折した。
・会社内で休憩していたら上から照明が落下してきて怪我をした。
・社員食堂のランチが原因で食中毒になった。

業務起因性

業務と、怪我・病気・障害・死亡などの被害に一定の因果関係があるものを業務起因性といい、仕事中に起こる可能性を予測できるかどうかで判断します。
「その業務に就いていなければ、発生しなかった」「その業務に就いていれば、発生する可能性がある」という場合に認められます。

具体的な事例
・工場で機械に巻き込まれ怪我をした。
・厨房のフライヤーの油が跳ねて火傷した。
・薬物を扱う作業で頭痛や吐き気などの中毒。

労災と認められない場合

被害と仕事内容の関係性の立証ができない場合、労災として認められません。具体的にどういった内容なのか、事例と理由を見ていきましょう。

・休憩中に職場でサッカーをして遊んでいたら転んで怪我をした。
⇒業務でなく私的行為が原因のため

・勤務終了後に飲み会に行き、帰りに階段から転落して骨折した。
⇒私的な用事であり通勤から逸脱した状態であるため

・恨みを買った知人から通勤途中に刃物で刺された。
⇒通勤で想定される原因でないため


本人に重大な過失があった場合、労災と認められても保険の支給が制限される可能性があります。また、労災と認められない場合もあります。

・会社に遅刻しそうで信号無視をした結果、交通事故を起こし大怪我をした。
⇒故意に交通法を違反しているため

参考:労働災害事例



労災保険申請手続きの流れ

では、どのような経緯で労災認定され、労災保険がおりるのか、申請から給付までの流れを見ていきましょう。

1.労働者から会社へ労災の発生報告

 労災に遭ったら、会社に報告してください。
 被災した労働者が怪我などで重症の場合、会社が本人の代理で労災申請を行うケースがほとんどです。

2.病院を受診

 健康保険証は使わず、労災指定病院を利用してください。
 指定外の病院で診察や治療を受けた場合、その場の費用は自己負担になります。
 労災保険がおりるまで立て替えておくことになるので、留意しましょう。
 健康保険証を使用してしまった場合、健康保険で賄われた医療費を返還を行ってから、改めて労災保険の請求を行いましょう。

3.労災申請に必要な書類を作成

 労災保険申請書類を作成します。労災だと証明するために、会社・事業主に記入・押印してもらうことが必要です。
 書類には種類があります。条件に合った様式の書類を選びましょう。厚生労働省のホームページでダウンロードできます。
 労災を会社が認めない場合、労基署に直接相談してください。最終的な労災認定は会社ではなく労基署が行います。

4.労働基準監督署宛または労災指定医療機関に必要書類を提出

 労災指定外の病院で診察・治療を受けた場合、労働基準監督署に書類を提出してください。
 労災病院や労災指定医療機関で診察・治療を受けた場合、その病院や医療機関に書類を提出してください。
 後者も、病院を経由して最終的に労基署に書類が届きます。

5.労働基準監督署の調査への対応

 提出された書類の内容に基づき、労働基準監督署が現場で調査を行います。
 聞き込みや設備の確認をし、労災に該当するかを判断します。
 万が一労災認定されなくても、再調査の依頼ができます。

6.保険金の給付

 労災と認められると、指定された口座に保険給付の支払いが行われます。

労災保険の給付内容

労災保険にもさまざまな種類があります。種類と給付内容をざっくりと表にまとめました。

療養(補償)給付
労災による怪我・病気で療養するとき
休業(補償)給付
労災による怪我・病気で休むため給料が出ないとき
障害(補償)給付
労災により障害が残ったとき
遺族(補償)給付
労災により死亡したとき(遺族)
葬祭料 葬祭給付
労災で死亡したときの葬儀を行うとき
傷病(補償)年金
労災から1年以上過ぎても治っていない場合など
介護(補償)給付
一定条件に該当する障害がある人で、介護を受けている場合
二次健康診断等給付
定期健康診断で、一定条件に該当するとき

先述しましたが、労災保険の種類によって給付申請書類の様式も異なります。



3.まとめ

今回は労災や労災保険について解説いたしました。
事故や怪我のないよう、普段から安全第一を心掛けて過ごしましょう。

Mola!編集部

この記事を書いた人

Mola編集部

SHARE

この記事をシェアする