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奨学金の返済方法6選!滞納した時のNG行為や起こり得る事態も解説

奨学金返済方法滞納対策制度注意点

2021/09/04

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奨学金制度とは

経済的な問題を抱えているために、修学が難しい状況にある人がいます。そのような人達にお金を貸与あるいは給付することで学びを支援する制度が、奨学金制度です。

奨学金を使って専門学校や大学、大学院に通っている学生は多くいるでしょう。今回は、奨学金の特徴や注意点について紹介して行きます。奨学金返済がいつから始まるのか、いつまでに返済が必要なのかなどを確認し、学生生活を一層豊かにするための参考にしてみてください。

奨学金はいつから返済するの?

学生の間に貸与された奨学金は、貸与終了の翌月から数えて7か月目になると、リレー口座、つまり口座振替による返済がスタートします。

卒業後に就職する場合は、仕事に慣れた頃に返済開始となります。学校を中退している人でも、初回が7か月目というタイミングは同じです。

また、退学する場合にも、何月から返済になるか奨学金返済のスケジュールを忘れないように注意が必要です。

奨学金の返済方法6選

奨学金の返済は、その制度によって仕組みが異なっています。

しかし、支払いの方法はどれも口座振替のみです。また、確実に振替が可能であれば、親の口座等を使っての返済も可能となっています。ただし、インターネット専業銀行は取り扱いがないため、注意してください。

ここでは、奨学金の返済方法を6種類紹介します。今現在、奨学金を借りている人や借りることを検討している人は、何歳までに返済するかシミュレーションの参考にしてください。

1:所得連動返還

所得連動返還では、前年の所得に対して奨学金の返還月額が決まります。2017年から新たに導入された方式です。

この仕組みにより、奨学金の返済のために生活で無理をせずに済みます。月々の返済額が変わっても合計額は変わらず、総返済期間が変わるということになります。

2:定額返還

定額返還方式では、貸与の総額によって毎月の奨学金返済額が決定され、返済が終わるまで同じ金額を払い続けます。

この方式は、同額で奨学金返済を続けるため、あといくら残っているのか、返済にあと何年かかるかなどの見通しをうまく立てやすくなります。

そのため、定額返還を選択する方も多いと言えるでしょう。

3:月賦返還

月賦返還方式では、毎月定額で奨学金を返済します。この方式では、月に払う金額の変動がないため、計画的に返済できます。

なお、2017年以前に第一種奨学金に採用され、所得連動返還方式を選択している場合は、この方式で返済となっています。

4:月賦半年賦返還

月賦半年賦返還方式では、返還すべき奨学金のうち半分を毎月返済し、残りの半分は半年に1回返済することになります。その時期は1月と7月の2回で、その月には繰上げ返済するシステムです。

月賦返還に比べると多く返済する月がある分、返済が完了するまでにかかる年数が短くて済むことが特徴です。

5:繰上返還

繰上返還とは、返還すべき期日になっていない分の金額を、自ら先に支払う返還方式のことです。残り金額を減らし、総返還を予定より早く済ませることが可能になります。

また、利子がつく奨学金を借りている場合には、早く返済が終わったら利子負担が軽くなるというメリットがあります。

この繰上げ返還の申し込みは、スカラネットから可能です。

6:一括返済

繰上返還の中でも、その全額を一度に返済するやり方を、一括返済と言います。すべてを一括で支払う他に、途中から一括で支払う方法も可能です。

一括で支払いながら生活や貯金も維持するのは大変ですが、もし経済的に余裕がある場合には検討しても良いでしょう。また、利息のかかる奨学金は、支払いを早めることで年利分が得になります。

奨学金の返済が厳しい時の3つの対処法

奨学金を返済していく中で、どうしても払えない、口座の残高がなく引き落としできなかった、ということもあるでしょう。

また、病気や転職などをきっかけに、奨学金の返済に影響が出ることも考えられます。留年すると奨学金の貸与も中止になるため、そのあとの返済も厳しくなる可能性があるでしょう。

そのような場合、支払いの時期を引き伸ばしできる対処法がいくつかあります。ここでは、奨学金の返済が厳しい時の対処法として、3つの制度を紹介します。

予測できない出費があった場合など、困った時の手続きの参考にしてください。

1:減額返還

返済に回せるお金が足りないため、予定よりも少ない金額でならば返還継続できるという場合、減額返還を願い出ることが可能です。1回の願出につき適用期間は12か月で、最長で15年まで延長できます。

返還期間が長くなっても、利息や保証料による返還全体の金額変更はありません。申請には一定の要件があるため、詳細は提出書類を確認してみましょう。なお、マイナンバーを提示することによって提出しなくて済む書類もあります。

2:返還期限猶予

病気やケガ、災害など、一定の条件下で返還ができない状況になった時に、返還期限の猶予を申告することが可能です。この場合、返還期限を過ぎて延滞金が生じる前に、猶予の申請手続きを行う必要があります。

これが認められると、返還を止められますが、返還終了の時期も遅らせることになります。返還が一時停止されても利子は免除されないため、無利子ではない奨学金を利用している人は注意が必要です。

返還総額が変化することはありませんが、時期を伸ばすことで支払える可能性がある人にはおすすめです。

3:返還免除

本人死亡あるいは精神障害・身体障害者などの理由で、働けない・働くことに高度の制限を有して奨学金の返還ができなくなった時、申請することで返還が免除されることがあります。

ただし、相続人あるいは本人、連帯保証人が申請しない場合、連帯保証人に返済の義務が移る点には注意が必要です。

うつ病や事故などの理由で悩んでいる人は検討してみてください。詳細な認可の基準は、奨学金の相談窓口へ問い合わせて、必要書類を確認しましょう。

奨学金返済の負担を助ける奨学金支援制度

卒業後に働きながら奨学金を返済することは、多くの人にとって辛いものでしょう。1人暮らしなどで出費がかさめば、なおのことです。

また、奨学金返済がきついことが理由で、貯金や普段の生活など様々なことが困難になってしまうこともあるでしょう。

ここからは、奨学金の返済が厳しい時の対処法として整えられている、様々な支援制度を紹介します。奨学金の返済予定がある人は、奨学金を減らす方法や支払いを延期する方法を参考にしてみてください。

地方自治体

各自治体では、条件つきで返済を援助する制度を整えています。条件としては、援助する地域や対象の企業で一定期間就職することなどがあります。この手当は学資に充てるための給付金として非課税に該当するため、確定申告も必要ありません。

また、一定の条件下で返還不要の奨学金を用意している地域もあります。出身地と異なる自治体からも援助を受けられる場合があるため、詳しくは各自治体の情報をチェックしてみましょう。

企業

企業によっては、社員の奨学金の一部あるいは全部に対し、返還支援することで社員の負担を軽減しているところがあります。また、2021年4月からは、企業から日本学生支援機構に対し直接送金できる仕組みも整えられています。

奨学金返済する勤労者を対象に、様々な支援を用意している企業も存在しています。なお、企業によって支援の条件は異なっているため、事前に確認しましょう。

奨学金を滞納した時に起こり得ること6選

実際に奨学金を支払うタイミングが来た時に、支払いが滞ることも考えられるでしょう。

返済が困難になりそのまま滞納してしまうことや、入金忘れの可能性もあります。また、引っ越ししていたり苗字変更後手続きができていなかったりして、支払えないこともあるでしょう。

今のうちから奨学金の未払いによるリスクを知ることで、将来の不安を減らしておきましょう。困った時や支払いが遅延してしまいそうな時には、早期に相談することをおすすめします。

ここでは、想定し得る6つのリスクやペナルティを紹介します。

1:債権回収会社による督促がある

奨学金の返済を延滞してしまった時、奨学金を提供した機構や債権回収会社からの督促が想定されます。その方法は、本人への電話が主となっています。

返済に使う口座変更の手続きを忘れていて、引き落とし日に対応できなかった時には、このタイミングで気が付けるでしょう。

この時、電話をかける機構や会社の担当者が、本人以外に電話の用件を伝えることは、基本的にないでしょう。また、詐欺にあわないためにも、電話先の担当者の名前をしっかり聞くようにしましょう。

2:個人信用情報機関に登録される

奨学金返済の延滞の期間が3ヶ月を超えた時、本人の個人情報が奨学金個人信用情報機関に登録されます。いわゆる「ブラックリスト」への登録です。

登録される内容は、氏名、住所、生年月日、電話番号、勤務先、奨学金の貸与額、最終返還期日等です。登録されることによって、クレジットカードが作れなくなる、ローンを組めなくなるなどのデメリットが生じるでしょう。

3:延滞金が発生する

奨学金の延滞に応じて、延滞金が発生します。発生時期は返還期日の翌日からで、金利は年率3%です。10年滞納すると、延滞金だけで驚くほどの金額になることもあるでしょう。

また、1ヶ月滞納しただけでも、その翌月には延滞金と前月の未返済金、加えて当月の返済金の返済が必要になります。

支払いを先延ばしすることで、予定通りの支払いよりも1ヶ月あたりの返済が苦しい状況になってしまうため、注意が必要です。

4:一括返済を求められる

奨学金の督促に応じない場合、将来の返済予定金額を含め、まとめて全額の一括返済を求められ、裁判所に訴えられる可能性があります。

保証機関が奨学金の支払いを肩代わりしていた場合には、その保証機関から本人へ一括返済を求める可能性があります。

一括返済の通知が来たら可能な限り早く相談しましょう。場合によっては、分割返済の許可を得られ、支払いを待ってもらうことができるでしょう。

5:差し押さえされる

支払い督促に従わず、返済しない状態が続くと、法的措置として給料や財産が差し押さえになる可能性があります。

和解以外に差し押さえを回避する方法の1つとして、破産の申し立てがあります。破産手続きが開始されると、督促の訴訟が中断されるためです。

また、生活保護を受けている人に対しての強制執行は、法律で禁じられています。

6:連帯保証人に連絡が行く

本人に連絡が取れない場合には、連帯保証人や勤務先の会社に連絡が行く可能性があります。長く滞納した場合には、連帯保証人に連絡されることを覚えておきましょう。

なお、このタイミングではすぐに連帯保証人に請求はされずに、まずは「請求される可能性がある」ことが知らされます。

親元を離れていても、親が連帯保証人になっていれば、その時点で返済がストップしていることがわかってしまうでしょう。

奨学金の返済が難しい時のNG行為

卒業後にアルバイトで生活していたり、退職したりと、奨学金の支払いに苦労することもあるでしょう。そのような場合であっても、延滞を続けることは望ましくありません。

支払いから逃れるようなことはせずに、返済が遅れる時はすぐに相談しましょう。また、他の金融機関からお金を借りて返済することは、避けることが望ましいでしょう。

奨学金は自分に合った返済方法で返済しよう

今回紹介したように、奨学金の返済方法にはいくつもの種類があります。また、困った時には利用できる支援策もあるため、卒業前に知っておくと安心できるでしょう。

わからない時には先輩の体験談を聞いたり、自分で調べて奨学金相談センターに問い合わせたりして、自分に合った奨学金返済の仕方を見つけましょう。

自分の奨学金の返済状況は該当の奨学金マイページで確認できます。「返済を忘れた」ということのないよう参考にしてみてください。

この記事を書いた人

Bee

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