暮らし

刹那(せつな)は仏教用語?使い方による意味の違いと例文や類語についても紹介

刹那せつな意味読み方類義語同義語対義語基礎知識

2021/07/15

目次[ 表示 ]

刹那の意味とは?

「刹那」という言葉をご存じでしょうか?「せつな」と読むこの言葉は、仏教に由来する言葉で、日常会話ではあまり使われることがありません。

しかし小説やアニメ、ゲームなどで使われることが多く、人気ミュージシャンも曲名に使用しているため、知っている人もいるでしょう。

しかし「刹那」という言葉の意味を正しく理解している人はどのくらいいるのでしょうか。なんとなく「瞬間」「あっという間」という短い時間を表していて、悲しげな雰囲気や憂いを感じるといった、ややネガティブなイメージを持っている人も多いでしょう。

ここでは「刹那」という言葉の由来と意味について解説をしていきます。

刹那は仏教用語に由来する

「刹那」という言葉は、仏教用語で時間の最小単位を表しており、サンスクリット語のクシャナを音訳したものです。

日本でも古くから使われており、平安時代に書かれた『宇津保物語』や江戸時代の近松門左衛門作の人形浄瑠璃『国性爺合戦』などに「せつな」という言葉が登場しています。

「刹那」は、時間の最小単位を表すことから、きわめて短い時間、瞬間という意味で使われます。

刹那は何秒くらい?

刹那は、きわめて短い時間という意味で使われることがあります。とても短い時間だということはわかりますが、具体的にどのくらいの長さの時間のことなのでしょうか。

時間の長さについては諸説ありますが、1刹那は現在の単位にすると0.013秒くらいにあたります。これは指を1回はじいて出る音の長さ(1弾指という)が65刹那とされ、刹那は1弾指の65分の1といわれていることに由来します。

刹那の使い方による意味の違いと例文3つ

「刹那」という言葉は、日常においては会話より文章の中などで使われることが多い言葉といえます。

いい意味なのか、悪い意味なのか、曖昧な意味合いを持つ言葉である「刹那」は、どのように使い分けられているのか、「刹那」「刹那的」「刹那主義」の3つの言葉について使用例と意味の違いを解説します。

1:刹那

「刹那」とは、約0.013秒という、きわめて短い時間を表す言葉です。1秒にも満たない時間は、なかなか意識して生み出せるものではありません。そのため「刹那」は「彼の言葉を聞いた刹那、心に淡い想いがよみがえった。」など、予期しなかった出来事などに多く使われます。

とても短い時間を表し、予期できないことに使われることが多い「刹那」は、文章内で使われることがあっても、日常会話の中ではあまり使われることがありません。

2:刹那的

「刹那的」とは、「今のことだけを考えた行動や考え」のことです。人によっては、「どうなるか考えずに行動する」「一時的な享楽にふける」といったネガティブなイメージを持つことがありますが、言葉自体に悪い意味はありません。

「彼女の刹那的な生き方に憧れる」といった使い方もできます。「刹那的」という言葉は、良い意味にも悪い意味にも解釈することができます。そのため、文章の前後からどちらの意味で使われているのかを判断する必要があります。

3:刹那主義

「刹那主義」とは、刹那の本来の意味からくる、「その瞬間やわずかな時間を大切にしよう」という考え方もありますが、一般的には「過去や将来のことを考えず、今の瞬間だけ充実させて生きよう」とすることをいいます。

また、一時的な快楽を求めようとする考え方として使われることもあります。「彼があんなにも刹那主義な人間だと知り、がっかりしました。」など、「刹那主義」という言葉になると、ネガティブな意味合いが強くなります。

刹那の類語5つ

日本語には、語形は違うけれど、同じような意味を持っていたり、微妙に違う意味を持っていたりする言葉、類語といわれる言葉がたくさんあります。

「刹那」にも類語といわれる言葉がありますが、ここでは「瞬間」「瞬く間」「一瞬」「咄嗟」「束の間」の5つについて解説していきます。

1:瞬間

「瞬間」という言葉は、「刹那」の説明で使われることもあるくらい、とてもよく似た言葉です。瞬間とは、まぶたを動かす間のごく短い時間のことを指しています。

「刹那」を時間で表すと約0.013秒で厳密にいうと、まばたきをする時間の方が長いため、同じとはいえませんが、どちらもきわめて短い時間を表していることから、「刹那」では難しくて伝わりにくい場合に「瞬間」に置き換えて使われることがあります。

2:瞬く間

「瞬く間」という言葉も「刹那」に類する言葉のひとつです。「またたくま」と読みますが、こちらも「瞬間」と同じく、まばたきをするほどの、ごく短い間のことをいいます。

「刹那」を「瞬間」と言い換えたように、「刹那に」を「瞬く間に」に置き換えて、一般的に伝わりやすい表現にすることがあります。

「刹那」という言葉にはどうしてもマイナスなイメージが付きまといますが、「瞬く間」という言葉にはそれがないため使いやすいという利点があります。

3:一瞬

「一瞬」とは、瞬間の中にあるひとつの間のことです。絶えず流れ続ける時間の中から切り取られたひとつの間を表しています。

「一瞬」には具体的に何秒という定義がありません。そのため「きわめてわずかな時間」「あっという間」などと感覚的に短い時間を表現するときに使われます。

「刹那」と比べると「一瞬」は表している時間が曖昧なのですが、やはり同じように「きわめて短い時間」を表現しているため、似ている言葉として置き換えて使用することがあります。

4:咄嗟

「咄嗟」の読み方は「とっさ」で、ごくわずかな時間を表しています。

中国語に由来した言葉で「咄」は舌打ちの音や動作を、「嗟」はため息を表しています。どちらも一瞬で短い時間を表すことから「咄嗟」という言葉が使われるようになりました。

¥

「刹那」と似ている言葉ですが、「咄嗟」は動詞と合わせて使われることが多く、時間の瞬間を表しており、少しニュアンスが違います。例えば、熱いものに触れて咄嗟に手を放すといったように、動作など動きの一部を切り取った短い時間を表すことが多いといえます。

5:束の間

「つかのま」と読む「束の間」も、短い時間を表す言葉のため「刹那」の類語といえるでしょう。「束」は4本の指を並べた長さのことで、「指4本分ほどの短い時間」という意味になります。

「刹那」よりは長い時間を表しているため、置き換えて使われることはあまりないようです。「束の間」は日常会話でも比較的使われることが多く、短い時間というだけでなく短く感じる時間といった意味でも使われています。

刹那の使い方ポイント5つ

「刹那」という言葉は、本来の意味以外にも、イメージや他の言葉からの印象により、さまざまなニュアンスを持っています。

どのような場面で、どのような意味で使われているのか、5つのパターンをご紹介します。

1:小説などに多く使われる

話し言葉として日常会話では使われることがほとんどない「刹那」という言葉ですが、小説やゲーム、アニメなどでは多く使われています。

それは「刹那」という言葉が持つ意味やイメージによる影響が大きいと考えられます。「刹那」と聞くと、儚さや憂い、悲しげなどネガティブな印象を受けます。言葉自体にネガティブな意味がないにもかかわらず、イメージが先行しています。

「刹那」は、本来の意味以外にもさまざまなニュアンスを持っていて、含みをもたせることができる言葉です。

表記を漢字とするか、ひらがなとするかによっても印象やニュアンスを調整することが可能です。そのため小説やゲーム、アニメなどを創作する側にとっては表現がしやすく、使いやすい言葉となるようです。

2:予期しなかったことに使われる場合が多い

「刹那」は約0.013秒という、きわめて短い時間を表しています。1秒にも満たないこの時間は、なかなか意識して生み出せるものではありません。

そのため「刹那」という言葉は、ふいに現れたものや、予期しなかった出来事に対して使われることが多いのです。

「刹那」という言葉そのものに、仏教由来であるという古めかしさと神秘的な雰囲気があります。さらに人によって生み出せない、とても短い時間を表現する言葉として使うことで、「ふいに」や「予期できない」ことをより深みを持った表現とすることができるのです。

3:話し言葉としてはあまり使われない

「刹那」と聞いて、すぐに正しく意味を理解できる人はどのくらいいるでしょうか?使っている人が考える意味合いを相手に伝えるには、とても曖昧な言葉といえます。

また「刹那」という言葉には、あまり良くないイメージがあります。言葉の意味自体に悪い意味はないのですが、「刹那主義」からくる、後先考えずに行動したり、一時的な享楽にふけったりするようなイメージが付きまとってしまうためです。

安易に「刹那」という言葉を話し言葉で使うと、相手に誤解されることがあり、正しく意味を伝えるために一手間かかってしまう恐れがあります。そのため「刹那」は話し言葉として使われることは、あまりないと考えられます。

4:ビジネス用語としてはほぼ使われない

「刹那」という言葉は、意味が良くも悪くも取れ、曖昧で誤解を与えやすいため、ビジネス用語として使うには相応しくない言葉といえます。また、ネガティブな印象を持つ言葉でもあるので、悪い印象を与えてしまう恐れもあります。

ビジネスでは曖昧さはあまり必要とされないため、具体的に「〇分ほど」とするか、「少しの時間」という表現にすることが望ましいです。

「刹那」は、正しく情報を伝えるビジネスの場で使うには不向きな言葉のため、ビジネス用語として使われることはほとんどないといえるでしょう。

5:使用する場合はニュアンスに注意する

「刹那」は多くの場合、ネガティブな印象を与えてしまうことが多いと考えられます。それは「刹那主義」からくる、後先考えずに行動することや、一時的な享楽にふけるという意味からくるイメージが強いためと考えられます。

また、仏教由来の言葉ということで、古めかしく、神秘的と感じる人もいるでしょう。言葉を受け取った人がさまざまな意味に解釈できる言葉なのです。

使っている本人は「とても短い時間」を効果的に伝えようというニュアンスで使っていたとしても、相手がその通りに受け取っているかは、わかりません。

「刹那」を使う際には、間違った解釈をされないよう、文脈の前後に気を配ることが大切なのです。

刹那の意味や使い方を理解しよう

「刹那」は「せつな」と読みますが、本来の「きわめて短い時間」という意味以外に、イメージや他の言葉からくる意味の影響で、ネガティブな印象を受けることが多い言葉です。

しかし、そこに込めるニュアンスを調整して深みのある表現ができる言葉として、小説やゲーム、アニメなどの創作の現場においては、使用頻度の高い言葉でもあります。

「刹那」の意味や使い方を理解して、相応しい場面で効果的に使うことで、ひと味違う深みのある表現をしてみましょう。

この記事を書いた人

Bee

SHARE

この記事をシェアする