目次[ 表示 ]
- SDGsって何?
- 世界中の企業で取り組みが始まった理由
- SDGsの目標
- 企業がSDGsに取り組む5つのメリット
- 1:ステークホルダーとの関係性のアップ
- 2:企業イメージアップ
- 3:事業機会の獲得
- 4:資金調達に有利になる
- 5:企業の生存に役立つ
- 企業におすすめのSDGsへの取り組み方3選
- 1:まずはSDGsへの理解を深める
- 2:目標を設定する
- 3:経営理念や方向性を改めて設定する
- 企業がSDGsに取り組む際の注意点2選
- SDGsウォッシュにならないように
- 従業員にも意識共有を
- SDGsに取り組む企業5選
- 1:パナソニック株式会社
- 2:Apple
- 3:株式会社ユニクロ
- 4:トヨタ自動車株式会社
- 5:ENEOSホールディングス株式会社
- SDGsに取り組むならまずは理解を深めよう
SDGsって何?
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、17のゴール・169のターゲットから構成された国際目標で、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致により採択されました。
SDGsは、発展途上国も先進国も取り組むものであり、日本も積極的に取り組んでいます。
世界中の企業で取り組みが始まった理由
SDGsは、世界規模の課題を国・企業・個人が自分のこととして捉え、より早く解決していくための目標です。
近年、人類は目覚ましいスピードで発展を遂げてきましたが、その発展と引き換えに、環境への負荷や人間への悪影響、貧困や差別など、目を逸らしてきた課題も多々あります。
この課題を多くの人が認識するようになり、現代・未来のために安心安全で平和な世界をつくりたいと、世界中が動き始めました。
また、この全世界で共通の価値観として合意されたSDGsは、ビジネスの指針としても決して無視できないものとして、世界中の企業が取り組み始めています。
SDGsの目標
SDGsの目標は下記の通りです。ちなみに、17の目標の下に169のターゲットと232の指標が定められています。
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう
企業がSDGsに取り組む5つのメリット
世界中の企業が、SDGsに取り組み始めていると前述しましたが、そのメリットは具体的にどういったものがあるのでしょうか。ビジネス指針として無視できないものだと感じておられる方も多いとは思いますが、それはなぜなのでしょうか。
ここからは、企業がSDGsに取り組むメリットについて詳しく見ていきましょう。
1:ステークホルダーとの関係性のアップ
SDGsは、世界で取り組む課題への、企業の姿勢をはかるアイコンになりつつあります。よって、SDGsに取り組むことは、ステークホルダーとの信頼関係のアップ、またステークホルダーからの評価につながります。
逆に、SDGsに取り組まないということは、世界が直面する課題に無関心と捉えられ、株主や地域、取引先などのステークホルダーから支援を受けることができなくなる可能性もあります。
2:企業イメージアップ
SDGsは社会貢献の色合いが強く、それに取り組む企業は社会に対して責任を果たしている企業として認識されるため、企業イメージのアップやブランディングにつながります。つまり、信頼のおける企業として認識されやすくなるのです。
3:事業機会の獲得
SDGsへの取り組みは、事業機会の獲得にもつながる可能性があります。
まず、企業イメージがアップすることで新たな顧客の獲得や、社会貢献意欲の強い顧客との関係性の向上につながる可能性があるでしょう。また、世界が直面している課題なので、その解決につながる取り組みは新たな事業の機会となりえます。
SDGsを起点として、現事業から派生させたり、新規事業を創出したり、大きな機会を生み出すきっかけともなりえるでしょう。
4:資金調達に有利になる
近年、ESG投資という環境・社会・ガバナンスを考慮した投資が重視され、急速に広がっています。
SDGsに取り組むということは、環境や社会に貢献することを示しています。よって、SDGsはESGを評価する指標の1つとして見られており、資金調達の観点から見ても非常に有利になるのです。
また、一部の金融機関では、SDGsに取り組んでいることを条件に、融資の金利を優遇するという動きも出てきています。
5:企業の生存に役立つ
SDGsに取り組むことで得られる評価は、企業や企業が出す商品やサービスに付加価値を与え、競争力の向上につなげることが可能です。それだけでなく、企業を内部から強化することにもつながると言われています。
社会貢献への意識から社員のモラル向上やモチベーション向上、先進的な意識を持つ優秀な社員の採用などが期待できます。また、SDGsが直接企業の課題にあたることも多いため、女性管理職の増加や雇用制度の見直しによる組織強化も期待できます。
このようにSDGsに取り組むことは内外ともに、企業の生存に役立つ影響があると考えられています。
企業におすすめのSDGsへの取り組み方3選
これからSDGsに取り組んでいこうとする企業に、おすすめの取り組み方を3つご紹介していきます。
SDGsはただ取り組もうと決めるだけでなく、経営戦略と整合させ、SDGsへの貢献の効果を測定し、管理していくことが非常に重要です。よって、まずは取り組もうと決めたその初期段階でやること・決めることを見ていきましょう。
1:まずはSDGsへの理解を深める
まずは、企業内でSDGsについて読み解き、理解を深めることが重要です。そもそもSDGsとは何であるのかから始め、SDGsに取り組むことでの企業メリット、本来SDGsは企業の基本的な責任であることなどを理解しましょう。
この理解が、企業へのマイナスの影響を減らし、SDGsへの貢献度を高め、SDGsの達成を大きく左右すると言われています。
2:目標を設定する
SDGsは前述の通り、17の目標があるため、そのすべてを企業として網羅的に取り組んでいくことは難しいです。よって、SDGsに取り組むことによる機会や課題を活かしていくために、企業の優先すべき課題を明らかにし、重点的に取り組むものを決めましょう。
そして、その項目に対しての目標を、アクションプランに至るまで具体的に設定します。
目標設定は、パフォーマンスや達成度を高めるだけでなく、SDGsへの貢献度の効果測定・管理のためにも大切です。
3:経営理念や方向性を改めて設定する
目標が設定できたら、経営理念や方向性を改めて設定し、ビジネスの中にしっかりと統合させましょう。企業全体、すべての部署、サービスが生み出されるまでのすべての過程に浸透させることがポイントです。
経営理念の再設定は、簡単なものではありませんが、SDGsへの取り組みを内外に示すためにはとても重要で、かつSDGsに沿った経営は、今後より一層企業の当然の役割として社会から求められていくことになるでしょう。
企業がSDGsに取り組む際の注意点2選
SDGsは、経営と統合させ、ビジネスの中核に位置づけて、長期的に取り組んでいくものです。安易な気持ちで取り組み始めてしまうと、その代償はとても大きなものとなる可能性があります。だからこそ、取り組む際の注意点をあらかじめきちんと認識しておきましょう。
SDGsウォッシュにならないように
SDGsウォッシュとは、「SDGs」と、「ホワイトウォッシュ(ごまかし、粉飾)」を組み合わせた造語で、SDGsに取り組んでいるように見せてはいるものの、実態が伴っていないことを意味する言葉です。
意図的であれば言語道断ですが、下請け企業で過酷な労働をさせていたなど意図せずにSDGsウォッシュをしている場合もあります。
SDGsウォッシュは信頼を失ってしまうため、SDGsの正しい理解と適切な管理で防ぐ必要があります。また、アウトサイド・イン・アプローチという目標設定の方法が、SDGsウォッシュを防ぐのに有効だと注目されているため、取り入れてみることをおすすめします。
従業員にも意識共有を
ビジネスの中核に位置づくSDGsは、社内全体・全従業員で進めていかなければいけないものです。
経営者やSDGs推進担当部署など一部にとどまってしまっている企業も多いですが、これでは企業として定めた目標達成にはほど遠く、それどころかSDGsウォッシュにもなりかねません。
SDGsへの取り組みは短期的に成果が出るものではなく、また短期的に浸透するものでもありません。SDGsと整合した経営理念、事業機会の獲得につながること、取り組まないことでのデメリットなどの発信を続け、意識の共有に努めましょう。
SDGsに取り組む企業5選
では、SDGsに取り組んでいる大手企業の事例を5つご紹介します。こういった他社の事例も参考にしながら取り組みを進めていくこともまた、大切なことです。業界ごとに共通点が見つかったり、日本企業と海外企業の違いが見つかったりと、様々な発見があるはずです。
1:パナソニック株式会社
パナソニック株式会社が取り組んでいた代表的なSDGsのコミットメントは、「ソーラーランタン10万台プロジェクト」で、これまで世界の無電化地域に10万台ものソーラーランタンを寄贈してきました。
これにより、エネルギー目標だけでなく教育や医療、女性の自立支援にも貢献し、最終的には貧困をなくすことを持続可能な目標としています。10万台という数値目標は2018年に達成しました。
現在では、事業活動とその推進、社会貢献の3つの軸を元に、すべての工場のCO2ゼロ化や燃料電池の推進、NPO支援など、SDGsの17の目標すべてに対して様々な方法で取り組んでいます。
2:Apple
Appleは、2018年にカーボンニュートラルを実現しました。
SDGsの目標として掲げているのが、2030年までに製品の製造から回収まですべてカーボンニュートラルにすることです。カーボンニュートラルとは、CO2の排出と吸収・除去をプラスマイナスゼロとし、地球上の炭素の総量を変動させないことです。
持続可能な製造プロセスを築くというとても大きな目標に向けて、Appleは歩み始めています。
3:株式会社ユニクロ
株式会社ユニクロは、「服のチカラを、社会のチカラに。」をサステナビリティ・ステートメントとして掲げています。地球・社会・人の調和と持続可能な発展を目指し、様々な観点からSDGsの取り組みを進めています。
店舗でのリサイクル活動を行って集めた衣料を、難民の方への衣料支援にあてたり、燃料へつくり変えたり、別の衣料へつくり変えたりしています。また、難民の方の雇用創出・自立支援にも力を入れるなど、その取り組みは多岐に渡ります。
4:トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、SDGsへの取り組みとして「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しています。
「トヨタ環境チャレンジ2050」は、車が環境に及ぼす悪影響を限りなくゼロにするだけでなく、少しでもプラスにできるように、「もっといいクルマ」「もっといいモノづくり」「いい街・いい社会」の3つの領域で6つのチャレンジを掲げています。
車をつくる会社からモビリティカンパニーヘの変革により、提供価値を進化させるという取り組みを通じてSDGsに貢献するという、まさに経営理念とSDGsがきれいに統合されている例だと言えるでしょう。
5:ENEOSホールディングス株式会社
エネオスは、2040年長期ビジョンである「低炭素循環型社会への貢献」の実現を通じて、ESG経営を推進しながら、SDGsに取り組んでいくことを発表しています。例えば、2040年までに自社排出分のカーボンニュートラルを目指すことを目標として掲げています。
国際連合など3社が作成した「SDGコンパス」という、SDGsに取り組む際の企業の経営戦略にSDGsを統合させるための指針があります。エネオスは、そのステップを自社のホームページで詳細に公表しているため、ぜひ参考にしてみてください。
SDGsに取り組むならまずは理解を深めよう
SDGsは企業の当然の役割として、今後より一層認識され浸透していくでしょう。しかし、一朝一夕に取り組み始めるにはあまりにも大きな課題であり、しっかりと長期的な企業の経営理念と統合させてから取り組み始めるべきものです。
まずはSDGsについて理解を深めていただき、持続可能でよりよい世界を目指すための一員として歩んでいきましょう。