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蛙化現象とは?
「蛙化現象」という言葉は、いったいどのような状態を指しているのか、想像がつかないという方は多いでしょう。「蛙化現象」とは、若者言葉のような流行の言葉というわけではなく、心理学用語の一つです。
片思いのときは相手のことを好きでたまらなかったにもかかわらず、両思いになると相手への興味を失ってしまったり、相手にむしろ嫌悪感を覚えたりする現象を指します。
蛙化現象の元になった物語
「蛙化現象」は、蛙の生態や特性などから生まれた言葉ではなく、多くの方が子どものころに読んだ童話に由来しています。
グリム童話の「かえるの王さま」(鉄のハインリヒ)では、王女さまが嫌っていた蛙の魔法がとけて美しい王子に戻り、王女さまは王子に恋して仲睦まじく暮らします。
「蛙化現象」と「かえるの王さま」では、「好きが嫌いに変わる」と「嫌いが好きに変わる」と真逆の結末ですが、当初の気持ちと結末の気持ちが真逆になるという意味から由来しています。
蛙化現象が起こる原因
「蛙化現象」は、「恋は盲目」のもたらす弊害といえます。片思いのときは、相手の良いところばかりに目がいき、両思いになったときのことを思い描いています。
実際に両思いになってみると、相手の反応や態度が想像とは異なったり、悪いところが目に付き始めたりして、一気に気持ちが冷めてしまいます。冷めるだけでなく、むしろ嫌悪感すら抱くようになってしまいます。
露見したギャップが原因で、相手への評価が180度変わってしまうのが「蛙化現象」です。
蛙化現象になりやすい人の5つの特徴
蛙化現象は、誰でも陥る現象というわけではなく、蛙化現象になりやすい人が存在します。蛙化現象に陥りやすい人には一定の特徴があります。女性の方が陥りやすい傾向にありますが、男性も蛙化現象になる可能性はあるでしょう。
ここでは、蛙化現象になりやすい人に見られる5つの特徴を解説します。自分に当てはまる項目がないか確認してみましょう。
1:片思いであることが好き
片思いの状態を好きという自覚がなくても、楽しんでしまっている人は、蛙化現象に陥る可能性が高いといえます。片思いが楽しいという人は、相手の良いところを見つけ、両思いになったときのことを想像して、その充実した世界にうっとりしている可能性があります。
いざ両思いになって、相手のすべてが見え、想像とは異なる現実に直面したときにそのギャップから蛙化現象を引き起こしやすくなるでしょう。
2:スキンシップが苦手
スキンシップが苦手な人は、好きな人だからこそ許せると感じているため、少しでも相手にネガティブな気持ちを抱くと、スキンシップが嫌になってしまいます。
もともとスキンシップが苦手だという人は、蛙化現象になりやすい傾向にあるでしょう。
3:恋愛の経験が少ない
恋愛経験が少ないと、両思いになっても相手に対してどう反応したら良いのか戸惑うことも多く、不安に感じることが増えます。不安に感じている心のもやもやを、相手に対する嫌悪感だと思い込んでしまい、蛙化現象に陥ってしまう可能性もあるでしょう。
不安を感じたくないために、相手を遠ざけるという行動にでてしまうこともあります。
4:自己肯定感が低い
自己肯定感の低い人は、両思いになっても「なぜ相手が自分を好きなのか」という疑問を抱いてしまいます。自分が好きな相手から好かれているという幸福な現実を肯定できず、「嘘に違いない」と猜疑心を抱いてしまうのでしょう。
相手に好かれたいために、疑う心が芽生えてしまい不信感を抱き、嫌悪するようになってしまうのです。
5:理想が高い
理想が高くて夢見がちな人は、両思いになったときに相手の真実の姿にギャップを感じやすく、蛙化現象に陥りやすいとされています。
片思いの段階で、相手を理想に近い人物だと思い込んでしまうため、両思いになって想像のなかの相手とのギャップが見えてきたときに、目をつぶることができなくなってしまうのでしょう。
蛙化現象を克服する9つの方法
カップルの片方が「蛙化現象」に陥ってしまっても、そこで恋愛が終わりというわけではありません。相手のことを疎ましく感じていても、本当に嫌いになったわけではなく、あくまでも蛙化現象に陥っているだけという可能性もあるからです。
ここでは、蛙化現象に陥ってしまったカップルに試してもらいたい克服方法を9つご紹介します。
1:恋人以外の交友関係を広げる
相手を疎ましく感じている時期は、恋人以外との交友関係を積極的に進めてみるのも効果的です。相手以外の人に目を向けることで、いろいろな人の考え方や性質に触れられます。特に異性との交友関係を広げることで、異性の考え方を理解しやすくなるでしょう。
恋愛経験が少なくて、異性の考え方を理解しにくい人、異性への接し方がわからないという人に向いている克服方法です。
2:自己肯定感を上げる
蛙化現象に陥る一因が自己肯定感が低いことのため、自己肯定感を上げれば克服できる可能性があります。自己肯定感を上げるのは、一朝一夕でできることではありませんが、単純に自分を認めることから始めてみれば、状況が改善することもあるでしょう。
「こんな自分を」と思う気持ちを肯定に変えるために、「あの人に好かれる自分は素晴らしい」と思い込むようにします。
3:相手の長所を見つける
蛙化現象に陥ってしまうと、相手の悪いところしか見えなくなってしまいます。蛙化現象を克服するためには、一度初心に立ち戻り、片思いしていたときのように、相手の良いところを見つけてみましょう。
あらためて見つけ直すのではなく、片思いのときに「素敵なところだ」と思っていた部分を再認識するのも効果があります。
4:恋愛から離れてみる
蛙化現象は、恋愛経験の不足、付き合い方への不安、スキンシップへの嫌悪など、恋愛が前提にあるために起きている心理現象です。そのため、一度恋愛から離れてみましょう。
恋愛感情抜きで相手を見たとき、嫌悪感を抱かずに済む可能性があり、相手の人柄を冷静な目で見直すことができるでしょう。
5:冷めることも覚悟する
両思いになると、片思いのときよりも心が落ち着くのは一般的なことです。心が落ち着くことで、相手に対する気持ちが冷める人ばかりではありませんが、恋焦がれている時期よりも両思いの方が冷めるということはあらかじめ覚悟しておいた方が良いでしょう。
あらかじめ冷める覚悟があれば、両思いになったからといって、急激に相手の悪いところばかり目に付くといった蛙化現象は避けられるでしょう。
6:完璧であることを求めない
完璧主義の人は、自分の行動のみならず、相手の言動にも完璧さを求めてしまいやすいです。相手が自分の意に沿わない言動をすると、それだけで相手を見下してしまったり、嫌悪感を覚えたりしてしまいます。
自分以外の者を自分の思うように動かすことは不可能であること、他者には他者の意志があるということを理解し、他者に自分の考える完璧さを求めようとしないことが大切です。
7:相手をよく知ってから付き合う
過去に蛙化現象に陥って恋愛がダメになった経験がある人や、蛙化現象に陥る人の特徴と自分の性格が合致してしまうという人は、両思いになっても一呼吸おいてから付き合いましょう。
付き合ってから蛙化現象に陥ることがないように、両思いとはいえ、カップルとして付き合い始める前に友達から始めてみるのがおすすめです。相手のことをしっかりと見極めたうえで、恋人としての付き合いになれば、蛙化現象を避けられるでしょう。
8:素直に苦手なことを伝える
相手のスキンシップや言動など、苦手なのに我慢していることがある場合は、率直に相手に苦手なことを伝えましょう。苦手なことを耐えていると、我慢が相手に対する嫌悪感につながってしまうことがあります。
率直に伝えるといっても、頭から否定するのではなく、自分が苦手だと感じている気持ちが相手に伝わるように言葉を選びましょう。我慢を続けて、突然大きなけんかをするよりも、早めに気持ちを伝えることで、お互いの理解を深めることができます。
9:恋愛の擬似体験をする
蛙化現象は、恋愛の経験があまりない人が陥りやすいため、予防措置として恋愛の疑似体験を積み重ねておくことも有効です。恋愛の疑似体験は、自分の想像を膨らませるだけでなく、恋愛小説や友人の恋バナなどが参考になります。
小説や映画、漫画などのフィクションの世界では、現実とはかけ離れたものも多いため、注意が必要です。友人の恋バナも、なかには一般の恋愛からかけ離れているケースもあるため、客観視するようにしましょう。
恋人が蛙化現象になった場合の対処法
相手が蛙化現象に陥って自分に冷たくなってしまったら、がっかりしたり腹が立ったりすることでしょう。しかしながら、こちらも冷たくしたり、離れてしまったりしては逆効果です。
相手の気持ちが落ち着くまで、適度な距離で見守ってあげます。相手が落ち着いたタイミングを見計らって、話し合いをするようにしましょう。
蛙化現象を正しく理解して克服しよう
蛙化現象という心理現象があることを知らないと、両思いになったとたんに相手のことがなんだか好きでなくなったり、相手から突然冷たくされたりして混乱してしまいます。
自分の気持ちや相手の態度が突然変わったときには、「蛙化現象」を疑ってみましょう。蛙化現象の克服方法を試してみることで、蛙化現象に陥る前の関係に戻れる可能性もあります。縁がなかったとあきらめるのではなく、縁を信じて蛙化現象を乗り切りましょう。