学生を中心に、幅広い層から人気を集めている「恋愛小説」。
しかし、一般的な恋愛小説だけではなく、「純文学」と呼ばれている作品の中にもドラマチックな恋愛を描いた作品が多く存在しています。
今回は、純愛や悲恋など、恋愛を取り扱った純文学作品をご紹介します!
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『春琴抄』|谷崎潤一郎
※引用元:新潮社公式サイト
あらすじ
盲目の三味線師匠春琴に幼いころから付き添い、春琴にとってなくてはならない存在となった奉公人佐助。
佐助は春琴のその美貌が損なわれると、その美貌を脳裏にとどめておくため、自ら盲目となる。
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『痴人の愛』『細雪』など、男女間の恋愛と従属関係を描いた作品で有名な谷崎潤一郎の代表作のひとつ、『春琴抄』。
愛している女性の美貌の最盛期を脳に焼き付けるため自身の目すら潰してしまうという、一般的な愛や被虐趣味を超越した美の物語です。
谷崎潤一郎の世界観を味わえる作品であり、純文学初心者の方に読んでほしい作品です。
- 初出年
- 1933年
- 著者の出身国
- 日本
『三四郎』|夏目漱石
※引用元:新潮社公式サイト
あらすじ
熊本の高校を卒業し、東京の大学に進学した主人公・小川三四郎は、目に映るものすべてが目新しい都会で、自由気ままな都会の女性・里見美禰子に恋をする。
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夏目漱石の前期三部作と呼ばれる『三四郎』『門』『それから』の3作品は、ほかの代表作と比べて一般的な著名度はありませんが、テーマが「恋愛」に関するものということもあり、読みやすい作品です。
その中でも三部作の序曲をなすこの『三四郎』は、主人公の年齢が思春期に設定されているため、中学生・高校生に読んでほしい作品です。
- 初出年
- 1909年
- 著者の出身国
- 日本
『ロミオとジュリエット』|シェイクスピア
※引用元:新潮社公式サイト
あらすじ
モンタギュー家の一人息子ロミオは、仮面をつけて仇敵であるキャピュレット家の舞踏会に忍び込み、その家の一人娘ジュリエットと激しい恋に落ちてしまう。
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シェイクスピアの代表作、『ロミオとジュリエット』はあまりに有名であるため、映画や劇などで一度は目にしたことがあるかもしれません。
また、物語の全編を知らずとも、ロミオとジュリエットが交わす有名な台詞だけは聴いたことがある、という方もいらっしゃるでしょう。
是非、世界でもっとも有名な悲劇の台本で、翻案される前の物語の全容を味わってみてください。
- 初出年
- 1595年前後
- 著者の出身国
- イギリス
『白痴』|ドストエフスキー
※引用元:光文社古典新訳文庫公式サイト
病気の治療を終えてスイスからロシアに帰国したムイシキン公爵は、列車の中で莫大な資産を相続したばかりのロゴージンと友人になり、また、親戚筋の将軍一家とも親しくなる。
ムイシキン公爵はロゴージンに熱烈に言い寄られ、金のために結婚するナスターシャを不憫に思い、求婚するが、その一方で将軍家の末娘アグラーヤにも思いを寄せる…。
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ドストエフスキー5大長編のひとつ、『白痴』。
「ほんとうに美しい人」を描こうとしたという作者の言葉通り、主人公のムイシキン公爵は現代のキリスト的聖人として描かれますが、同時に2人女性に求婚するという身勝手な傲慢さも合わせ持ちます。
ドストエフスキーによる、世界的に有名な恋愛小説です。
- 初出年
- 1868年
- 著者の出身国
- ロシア
『モンテ・クリスト伯』|アレクサンドル・デュマ
引用元:岩波文庫公式サイト
あらすじ
若く優秀な船乗りであるエドモン・ダンテスは、婚約者と結婚式の最中、ダンテスを憎む恋敵や仕事仲間、隣人の陰謀により、無実の罪で逮捕される。
監獄のなか、真実を知ったダンテスは自らを陥れた者たちへの復讐を誓う。
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世界でもっとも名高い復讐劇と呼ばれる『モンテ・クリスト伯』ですが、その復讐劇の合間合間には、美しい恋愛模様が描かれています。
主人公ダンテスと元婚約者・メルセデスとの純愛や、親に許されない愛を遂げようとする若い恋人など、見どころ満載。
全7巻と少し長めですが、岩波文庫のほかの翻訳作品と比べても読みやすい平易な文体であり、勢いのあるストーリーのため、中学生・高校生にこそ読んでほしい作品です。
- 初出年
- 1844年
- 著者の出身国
- フランス
恋愛の物語を読むのなら、純文学を!
純文学はその芸術的価値から、難しいものと敬遠されがちですが、実は恋愛がテーマの純文学のストーリーは、現代の王道少女漫画のような展開のものが多くあります。
現代の大衆小説ではあまり見られなくなった純愛物語を、是非名作純文学で味わってみてください!