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【2024最新】海外の最悪な鬱小説おすすめランキング!文豪・恋愛・純文学など美しい作品をご紹介

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2024/06/05

鬱小説」という小説ジャンルをご存じでしょうか?

鬱々としたストーリー展開、報われない登場人物たち、そして、やるせない不条理…。

巷に蔓延するハッピーエンドに食傷気味だという方は、是非鬱小説の世界に足を踏み入れてみてください。

今回は、海外の代表的な鬱小説をご紹介します!

目次[ 表示 ]

鬱小説とは?悲しいからこその美しさ

「鬱小説」とは、その名の通り読んでいると鬱になる小説を指します。
よくバッドエンド小説と混同されますが、バンドエンド=鬱小説というわけではなく、バッドエンドに至るまでの過程も美しいほどに悲惨である小説こそが上質な「鬱小説」です。

「なぜわざわざ暗い気持ちになるような小説を読むの?」と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ホラーや感動小説と同様に、第三者目線で味わう鬱展開は現実では得ることのできない心の栄養を補給してくれるのです。

悲しいからこそ美しい、耽美な鬱小説の世界に1度嵌ってしまえば、もう抜け出すことはできません。
是非1歩踏み出してみてくださいね。

日本の作品も含めた鬱小説ランキングが知りたい!という方は是非下の記事も併せてご覧ください。

【2024最新】おすすめの鬱小説ランキングTOP30!救いようがない小説や美しい名作まで紹介

海外の鬱小説ランキングTOP6!最もトラウマを植えつけられるのは?

!以下で紹介する作品には、暴力・殺人・虐待など、残虐なシーンが多く含まれています。苦手な方はご注意ください。

実際の事件をもとにした「鬱小説」の代表|『隣の家の少女』

※引用元:Amazon

あらすじ

1958年の夏。当時12歳のデイビッドは、交通事故で両親を亡くし隣家へ越してきたという美しい少女メグと出会う。
淡い恋心を抱いたデイビッドは次第にメグとの距離を縮めていくが、一方で隣家ではシングルマザーのルースのメグに対する態度が段々と悪化していき…。
少年は何故、エスカレートする行為を止めることができなかったのか?

「鬱小説」といえばこの作品。
ホラー・サスペンス小説の巨匠ケッチャムの代表作、『隣の家の少女』です。

アメリカで実際に起きた虐待事件を基にした作品で、恋心と連帯の間で揺れる少年の心が鮮やかに描かれています。
「誰にも言うな」という合言葉のもと田舎町の少年たちの間で連帯感が生まれ、閉鎖的になるにつれ益々エスカレートしていく行為…。
過剰な暴力的描写が無い淡々とした文体にもかかわらず、どんなホラー小説よりも恐ろしく、どんなサスペンス小説よりもスリル満点です。

穏やかな田舎町の日常から破滅への転落が息をつく暇もなく、時間を忘れてページをめくってしまうこと間違いなし。
ラストまで全く救いがないため、とにかく最悪な小説を読みたいという方には非常におすすめです。

歴史に残る反戦小説兼トラウマ製造機|『ジョニーは戦場へ行った』

※引用元:Amazon

あらすじ

青年ジョニーは戦場で砲弾に当たり、目・鼻・口・耳を失い、四肢も全て切断された。
外界との交流が閉ざされた彼は、病室で過去から現在、現在から未来へと想念をめぐらす…。

ダルトン・トランボによる反戦小説、『ジョニーは戦場へ行った』です。
あまりに過激すぎて一時は発禁処分となってしまったという程の作品のため、読む際はご注意を。

内容としては、戦場に行って顔も四肢もすべて失い、「肉塊」状態となって外部とのコミュニケーション方法を断たれた青年がなんとか反戦のメッセージを伝えようとするも…という非常に救いのないものです。
『はだしのゲン』が数多の小学生たちにトラウマを植えつけ小学校の図書館に置かれなくなったという話は有名ですが、本作も『はだしのゲン』とよく似ています。
ただ、『はだしのゲン』はラストで主人公が未来を見つけるため、救いのなさでは『ジョニーは戦場へいった』が勝るのではないでしょうか。

「反戦」というメッセージを広めるためにはとにかく効果的なのは間違いないでしょう。
古い本で新訳もまだ出ていないため中古でしか手に入りませんが、忘れられない読書体験を提供してくれるため、是非手に入れてみてください。

「無人島」という閉鎖空間で人間の本性が暴かれる|『蝿の王』

※引用元:Amazon

あらすじ

戦火を避けるために少年たちを乗せて飛んだ飛行機が海へ墜落し、同乗していた大人たちが全員死亡した。
南太平洋の無人島に置き去りにされた少年たちはラルフとピギーの二人の少年を中心に規則を作成し、交代で烽火を上げ続け、救助を待つ。
最初こそ協力し合っていた少年たちであったが、次第に仲違いをしていき、秩序を守ろうとするラルフ一派と、自由に過ごすことを望むジャック率いる狩猟隊に分かれていく。
ある日、当番の少年が烽火を怠ったために近くの沖を通りかかった船が通り過ぎてしまい、ラルフ一派のなかで対立が巻き起こる…。

ディストピア小説の金字塔でもある、ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』。
無人島という閉鎖空間でどんどん少年たちの人間的な醜さが浮き彫りになっていくため、『隣の家の少女』が刺さって似たような鬱小説を探しているという方にも非常におすすめです。

ただの漂流記と思うなかれ。本書の中で描かれる、閉鎖空間の中で容易に混沌に飲み込まれる「秩序」や「善」という図式は、現代社会の中にも容易に発見できるのではないでしょうか。
たとえそれが子供の社会でなくとも…。

突如として文明社会から切り離された少年たちが迎えるラストとは?
ご安心ください。救いは一切ありません

これはハッピーエンドか、バッドエンドか?|『変身』

※引用元:Amazon

あらすじ

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめると、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのを発見した…。

世界的な文豪であるカフカの代表作『変身』は説明不要なほど有名な作品ですね。
鬱小説好きであれば、読んだことはなくとも目にしたことはあるのではないでしょうか。

ある朝主人公のグレゴール・ザムザが目覚めると、巨大な毒虫になっていた…。
ここで重要なのが、何故ザムザが毒虫になったのか、どういう原理なのかといったことが一切明かされないことです。

カフカの作品は『不条理文学』とも呼ばれ、その名の通り理由も説明もない不条理な世界が描かれます。
作風は日本の純文学とも近く、日本でも人気を博している作家です。

本作のラストシーンはどの立場によって読むかによってハッピーエンドかバッドエンドかわかれますが、主人公の立場から読むと非常に救いのない結末となっています。
しかし、ザムザの家族から見れば明るいラストと言えなくもないかもしれません。
その点が更にザムザの救われなさに拍車をかけているのですが…。

えげつない伏線回収で面白さも文句なし!|『悲しみのイレーヌ』

※引用元:Amazon

あらすじ

異様な手口で惨殺された二人の女。
カミーユ・ヴェルーヴェン警部は捜査を開始するが、やがて第二の事件が発生し、カミーユは恐るべき共通点を発見する…。

救いのないミステリー小説を読みたいのであれば、本作『悲しみのイレーヌ』がおすすめ。
著者ピエール・ルメートルの代表作『その女アレックス』の前日譚にあたります。
(『その女アレックス』は有名なミステリー作品のため読んだことがあるという方も多いかもしれませんが、本作『悲しみのイレーヌ』のネタバレが大いに含まれているため、『その女アレックス』を未読の方はまず本作をお読みください。)

読者の「こうなったらイヤだな…」という期待を全く裏切らない本作は、最後の最後までしっかりと救いはありません。
結末が期待通りと言っても、本作は作品自体にも仕掛けがあり、鬱小説としてだけでなくミステリー小説としてもサービス精神旺盛で非常に面白い作品です。

ちなみに、『隣の家の少女』と同様に実際の事件を基にした作品です。
本当に救いがないのは現実のほうかもしれませんね。

女生徒との恋愛によって転落していく人生…。ある男の末路|『恥辱』

※引用元:Amazon

あらすじ

52歳の大学教授デヴィッド・ラウリーは2度の離婚を経験後、玄人の女性などを相手に欲を発散していた。
しかしあるとき、軽い気持ちで自身の指導する大学の女生徒と関係を持ってしまい、大学に告発される。
大学から弁明を求められても一切応じず自分の信念を貫こうとするデヴィッドに同僚や学生は容赦のない批判を浴びせ、遂にデヴィッドは大学を去ることとなるが、転がり込んだ先の片田舎の農園でもさらなる審判が待ち受けており…。

ノーベル文学賞受賞作家J・M・クッツェーによるブッカー賞受賞作『恥辱』の最初の鬱ポイントは、「主人公に全く共感ができない」という点です。

押しに弱い教え子と半ば無理矢理関係をもった挙句、教え子の彼氏から威圧されても合意だと思い込み、大学に告発された後も事情を説明すべき諮問会で全く弁明をせずに文学作品を引用するという全く理解も共感も出来ない主人公。
本作ではこの主人公が転落していく様が描かれるのですが、全く同情の余地がありません。

では胸糞悪いキャラクターが転落する爽快感が味わえるかというと、そういった要素も全くなく、アメリカの片田舎の農村の不条理さであったり、動物の殺処分であったり、とにかく鬱々とした「暴力の支配する社会」が描かれているため、救いのない社会と救いようのない主人公のダブルパンチを食らうことになります。

ある意味王道な「鬱小説」。世界的な評価は非常に高い作品なので、是非1度紐解いてみてください。

まだまだある海外の良質な「鬱小説」!心を蝕む「重さ」を味わおう

今回は「トラウマになる」と特に評判の高い翻訳小説をご紹介しました。

一口に「鬱小説」といっても、その「鬱」の様態は様々。

是非お気に入りの鬱小説を見つけてください!

この記事を書いた人

Yu

千葉県出身の「Yu」です。 主に、小説、メイク・コスメのジャンルを執筆しています。 本が大好きで、幅広く読んでいます。 皆様のお役に立てるような情報を発信してまいります!

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