中学生の宿題・コンクールの定番といえば、「読書感想文」。
しかし、いざ「読書感想文を書け」と言われても、まずどんな本を選べば良いのか迷いますよね。
そこで今回は、本の選び方の基準とともに、読書感想文におすすめの本をテーマ別にご紹介します。
「読書感想文が上手く書けない…。」「苦手…。」という方、必見です‼
目次[ 表示 ]
- 読書感想文を書きやすい本とは?書き方も解説
- ①自分と共通点の多い登場人物・物語
- ②自分の考えを述べやすいテーマ
- ③短く、読みやすく、面白い
- 【青春】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『成瀬は天下を取りにいく』
- 『夜のピクニック』
- 『ぼくがスカートをはく日』
- 【感動】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『博士の愛した数式』
- 『かがみの孤城』
- 【社会問題】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『同志少女よ、敵を撃て』
- 『わたしに会いたい』
- 【SF・ファンタジー】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『アルジャーノンに花束を』
- 『母の記憶に』
- 【人生・命】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『カラフル』
- 『ライオンのおやつ』
- 【ノンフィクション】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『あなたが世界を変える日―12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ』
- 『15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから ぼくにしかできないことへ』
- 【純文学】中学生の読書感想文におすすめの本
- 『推し、燃ゆ』
- 『コンビニ人間』
- 『乳と卵』
- 読書感想文の完成度は、選ぶ本から!
読書感想文を書きやすい本とは?書き方も解説
①自分と共通点の多い登場人物・物語
主人公が中学生だったり、自分と同じものに熱中していたり…。
主人公と自分の共通点が多いほど物語に入り込みやすくなりますし、感想文が書きやすくなります。
登場人物たちと自分を比較する・登場人物たちの境遇を自分に置き換えるというのは読書感想文の常套手段ですが、自分と共通点が多いほど、そういった書き方をしやすくなるのです。
是非自分の体験談も踏まえて、登場人物たちの行動をどう感じたかを書いてみてください。
②自分の考えを述べやすいテーマ
読書感想文はその名の通り、自分の感想を書くものです。
そのため、ただあらすじをなぞるだけでなく、物語を通して感じたこと・意見を書く必要があります。
しかし、この「感想」や「意見」といったものは、実はテーマによってかなり書きやすさが変わります。
おすすめは以下のテーマ。
・感動(人生・命など)
・愛情(家族など)
・社会問題(戦争・差別など)
・ノンフィクション(環境問題・ハンディギャップなど)
これらのテーマであれば、自分の意見を述べやすく、読書感想文が書きやすいと言えます。
反対に、エンタメ性が高すぎるもの(コメディ小説など)や、抽象度が高すぎるもの(哲学など)は自分なりの考えを持つのが難しく、読書感想文には不向きです。
読書感想文では、「本を読んで考えたこと」や「感じたこと」、「学んだこと」を書くべしとされます。
でも、「本を読んで考えたこと」って、実は結構難しいですよね。
本を読んで何かを考えたり、感じたりすることが苦手という方は、是非下の記事をご覧ください。
考えさせられる小説、自分の考えを持ちやすい小説をご紹介しています!
【2023最新】中学生・高校生・大学生に読んでほしい考えさせられる小説TOP30!考え方が変わる小説など
③短く、読みやすく、面白い
本をあまり読みなれていないという方は、とにかく「短い」「読みやすい」「面白い」という三要素を基準に本を選んでみてください。
本の長さの基準のひとつは、「400ページ」です。
これを超えてしまうと、本を読み終わるのに手間取ってしまう可能性が高くなります。
一方で、400ページを超えていても読みやすい小説もあれば、200ページ程でも非常に難解な本もあります。
そこで、「読みやすさ」「面白さ」の見分け方で重要となってくるのが、上記で紹介した「自分と共通点のある登場人物・物語」であるか否か、です。
例えば、ブラスバンド部に所属している人にとって音楽のコンクールに関する小説は入り込みやすいですが、音楽経験のない人にとっては音楽用語についていけず、「読みづらい」と思ってしまう可能性が高いですよね。
物語の登場人物たちと同じ前提を有しているか否かが「その小説を楽しめるか否か」の肝となるため、自分がある程度知っている・好きなテーマの本を選びましょう。
本記事内での「読みやすさ」の評価基準
内容面
読書メーターに寄せられたレビューをもとに◎、〇、△の3段階で評価。
◎:ほぼすべてのレビューが「読みやすかった」「面白かった」など高評価であるもの。
〇:4分の3程度のレビューが高評価であるもの。
△:上記より高評価が少ないもの。
時間面
◎:ページ数が少なく(249ページ以内)、読むのに時間がかからないもの。
〇:ページ数が平均程度(250~350ページ)で、読むのにそこまで時間がかからないもの。
△:ページ数が多く(351ページ以上)で、読むのに時間がかかるもの。
以上の内容面・時間面をかけあわせて評価する。
「そもそもあまり本を読んだことがない…。」という方は、是非下の記事をご覧ください!
読書初心者向けの、人生の必読書をご紹介しております。
人生で絶対に読むべき6冊の本|人生に迷ったときに読む名作小説やベストセラーなど
【青春】中学生の読書感想文におすすめの本
『成瀬は天下を取りにいく』
- 作者
- 宮島未奈
- レーベル
- 新潮社
- ページ数
- 208ページ
- テーマ
- 友情・成長
- 読みやすさ(内容面)
- 〇
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- 女子・幼馴染がいる人
あらすじ
同じマンションに住む幼馴染の成瀬あかりは、変わっている。
昔から人の目を気にせず、大きな目標(意味の分からないものが多い)を掲げてはそれに邁進していくのだ。
そんな成瀬が、またまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を迎える西武大津店に毎日通い、地元のローカル番組の中継に映り続けるというのだが…。
2024年の本屋大賞受賞作です。
主人公とその幼馴染は高校生ですが、幼少期も描かれており、中学時代の描写もあるため非常に入り込みやすいと言えます。
特に女の子におすすめで、女子の友情が活き活きと鮮やかに描かれているため、「ああ~あるある」となったり、「こんな女子いるわ」となったり、共感すること間違いなし。
主人公・成瀬の行動もぶっ飛んでいて面白いため、楽しく読書感想文を書きたい方は是非本作で読書感想文に挑戦してみてください!
『夜のピクニック』
- 作者
- 恩田陸
- レーベル
- 新潮文庫
- ページ数
- 455ページ
- テーマ
- 青春・成長
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- △
- こんな人におすすめ
- 青春のかけがえなさを味わいたい人
あらすじ
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。
全校生徒が夜を通して80キロを歩き通すという、北高の伝統行事だ。
3年間誰にも言えなかった秘密を清算するため、貴子は小さな賭けを胸に秘め、歩行祭へと挑む。
2005年の本屋大賞を受賞した作品です。
多くの大人が本作を読み、「もっと早く読みたかった!」と声をあげています。
高校最後の伝統行事、真夜中の道を親友たちと思い出や将来について語りながら歩いていく。
ただ歩いているだけで、劇的な展開は無いにもかかわらず、こんなにも面白い!
登場人物たちの台詞が胸にジーンとくるので、印象に残った台詞から読書感想文を書いてみるのもいいかもしれません。
『ぼくがスカートをはく日』
- 作者
- エイミ・ポロンスキー (著), 西田佳子 (翻訳), まめふく (イラスト)
- レーベル
- 学研プラス
- ページ数
- 294ページ
- テーマ
- ジェンダー
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- 〇
- こんな人におすすめ
- 自分の「生まれつき」に悩んでいる人
あらすじ
学校で演劇のオーディションが開催され、12歳の少年・グレイソンは、女神の役に立候補する。
「男子が女子の役をやるんだって!」と言われるだろう。けれど、ぼくは自分らしく生きたい。
女の子として生きたい「少年」を描く、トランスジェンダーをテーマにした小説です。
著者が教師のため、少年を取り巻くクラスメイトや保護者の様子が非常にリアルに描かれています。学校という閉鎖的な空間で「自分らしく」生きていくために1歩踏み出し、不安や葛藤、差別の中で成長していく思春期のグレイソンは、きっとあなたの心のどこかにもいるはず。
現在注目されている社会問題を扱っているため、読書感想文にピッタリです。
【感動】中学生の読書感想文におすすめの本
『博士の愛した数式』
- 作者
- 小川洋子
- レーベル
- 新潮文庫
- ページ数
- 291ページ
- テーマ
- 病気・人間関係
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- 〇
- こんな人におすすめ
- 泣ける小説を読みたい人
あらすじ
博士の記憶は、80分しかもたない。
ある日、家政婦として働く “私”が新しい派遣先の家に赴くと、身体中にメモ用紙を貼り付けた数学教授が住んでいた。
事故で記憶が維持できなくなった博士は、毎日「初対面」の”私”に、数字を訪ねる。
数字を通して信頼関係を築いていく”私”と博士の日常に、やがて”私”の10歳の息子・ルートが加わり…。
2004年、初代本屋大賞に輝いた作品です。
事故当時から記憶が蓄積されずに時が止まったままの状態の博士に、”私”やその息子・ルートが、ときにに気遣い、ときに対等に接し、信頼関係を築いていくという物語は、病気の知人を持っていない身でも、思わず号泣してしまうでしょう。
「数式」や「数学教授」という言葉に苦手意識を持たれている方もご安心ください。
数学が全くわからない”私”視点で物語が進行していくため、難しい表現は一切出てこず、逆に博士が気取らない調子で語る「数式」の面白さに魅了されてしまいます。
優しくて温かく、子供思いの博士に、是非一度出会ってみてください。
『かがみの孤城』
- 作者
- 辻村深月
- レーベル
- ポプラ社
- ページ数
- 554ページ
- テーマ
- いじめ・成長
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- △
- こんな人におすすめ
- アニメが好きな人
あらすじ
中学校でいじめに遭い、不登校になってしまった主人公こころはある日、自室の部屋の鏡に入ってしまう。
鏡の先にある世界で、こころは同じように悩む同年代の少年少女に出会う。
2018年に本屋大賞を受賞し、怒涛の勢いで2022年にはアニメ映画化されたベストセラーです。
主人公が中学生で、「いじめ」という誰の身にも起こりうる身近なテーマを扱っているため、読書感想文にはぴったり。
単行本で500ページ越え、文庫本だと上下巻と少し長めですが、辻村深月さんの文体は非常に読みやすく、ストーリーも飽きさせない構成になっているため、一気読みできてしまいます。
「最初から長編小説はちょっと…。」という方は、是非アニメ映画を観て大まかなストーリーを掴んで下さい。
アニメでは不完全燃焼になった部分が小説で丁寧に描写されているため、アニメが面白いと思った方なら、小説にも夢中になること間違いなしです!
【社会問題】中学生の読書感想文におすすめの本
『同志少女よ、敵を撃て』
- 作者
- 逢坂冬馬
- レーベル
- 早川書房
- ページ数
- 496ページ
- テーマ
- 戦争、ジェンダー問題
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- △
- こんな人におすすめ
- 息つく暇がない物語が好きな人
あらすじ
独ソ戦が激化する1942年、少女セラフィマの住むモスクワ近郊の農村は、ドイツ軍によって急襲され、村人たちは惨殺された。
自らも射殺される寸前、赤軍の女性兵士イリーナに救われたセラフィマは、「戦いたいか、死にたいか」という2択を突きつけられる。
母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼いたイリーナに復讐するため、一流の狙撃手となることを決意したイリーナは、同じ境遇の少女たちと訓練を重ね、やがて前線へ向かう…。
2022年に本屋大賞を受賞しました。
主人公のセラフィマは現代日本社会に換算するとまだ学生という年代で、ほぼ自分と同年代の女の子が戦争で殺戮を目撃し、大切な人・仲間の死を経験し、「本当の敵」を見つけるというストーリーは、非常に身に迫ります。
実話を基にしており、ロシアの戦争が大きな社会問題となっている今、読みたい小説です。
文庫化がされていないため本のサイズ自体は大きいですが、実際は496頁もあるとは思えないほど読みやすく、あまり社会問題を取り扱った作品を読みなれていない方にもおすすめ。
是非少女たちの体験で自分なりに考えたことを、読書感想文に書き綴ってみてください。
『わたしに会いたい』
- 作者
- 西加奈子
- レーベル
- 集英社
- ページ数
- 224ページ
- テーマ
- 闘病、ジェンダー、生きづらさなど
- 読みやすさ(内容面)
- 〇
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- なんとなく「生きづらさ」感じている人
あらすじ
ある日、ドッペルゲンガーの「わたし」が、わたしに会いに来る――。(「わたしに会いたい」)
乳がんの闘病生活を書き綴った『くもをさがす』で話題となった西加奈子さん。
そんな彼女が、コロナ禍前の2019年から乳がん闘病中の2022年までに発表した作品を収録した短編集です。
『くもをさがす』も読書感想文にピッタリですが、本作は9編収録されていて224頁と非常に短く、とにかく本を読む段階にあまり時間を割きたくない方におすすめです。
短くても、ジェンダー、老い、女性として生きるということ、闘病、偏見など、それぞれの短編に非常に深いテーマが潜んでいます。
物語の結末も賛否分かれるものとなっており、登場人物たちの行動に対する自分の考えも書きやすいはず。
一度踏み込めば、ハマってしまうこと間違いなしのぶっ飛んだ西加奈子ワールドを、是非ご体感あれ!
【SF・ファンタジー】中学生の読書感想文におすすめの本
『アルジャーノンに花束を』
- 作者
- ダニエル・キイス (著), 小尾 芙佐 (翻訳)
- レーベル
- ハヤカワ文庫NV
- ページ数
- 464ページ
- テーマ
- 障碍、知性
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- △
- こんな人におすすめ
- 劣等感を抱えている人、いじめに悩んでいる人
あらすじ
知的障害をかかえる青年チャーリィ・ゴードンは、33歳を目前にしても幼児並みの知力しか持てず、パン屋で下働きを続けながら学習を続けていた。
そんな彼に、大学の先生から「頭が良くなる」という手術の話が持ちかけられる。
他の人と同じように話し、「友達」の会話に入りたかった彼はその手術を受け、同じ手術を受けたという白いネズミ「アルジャーノン」を相手に検査を続けていく。
そのうちチャーリィの知能はどんどん向上し、「天才」に変貌していくが…。
TikTokで話題となり、大ベストセラーとなった本書『アルジャーノンに花束を』。
知的障害を抱える青年の知能を人工的に向上させるとどのような結果になるのか、ということに踏み込んだ歴史に残るSFです。
最初のページを開くと、まずひらがなで綴られた誤字・脱字ばかりの文章に驚くのではないでしょうか。
実際の知的障碍者の記録を基にしたという文章は非常にリアルで、主人公の心情が胸にダイレクトに迫ります。
「障害者差別」という社会問題を扱った本としてはもちろん、本書はそれだけではなく、「いじめ」や「優しさ」、「純粋さ」といった、誰もが共有する問題を扱った小説としても読むことができます。
非常に身近なテーマですので、是非読書感想文に挑戦してみてくださいね。
『母の記憶に』
- 作者
- ケン・リュウ (著), 伊藤 彰剛 (イラスト), 古沢 嘉通 (翻訳), 幹 遙子 (翻訳), 市田 泉 (翻訳)
- レーベル
- ハヤカワ文庫
- ページ数
- 336ページ
- テーマ
- 未来社会、家族愛など
- 読みやすさ(内容面)
- 〇
- 読みやすさ(時間面)
- ◎(短編1作品ごと)
- こんな人におすすめ
- 感動したい人、短い物語をサクサク読みたい人
あらすじ
難病を患い、余命2年と宣告された母は、時間を誤魔化すためにある方法を選択する。
一方、「わたし」はそんな母に複雑な感情を抱き…。(「母の記憶に」)
『紙の動物園』がピースの又吉さんに紹介され話題となった、今をときめくSF作家ケン・リュウの短編集第3弾です。
文庫本事態のページ数は336ページと平均程度ですが、1作品ごとが短く、表題作「母の記憶に」はたったの7ページ。
その短いページ数でしっかりと深く印象に刻まれるため、書くネタに困ることもありません。
ケン・リュウはアジア系アメリカ人の作家で、彼の書く作品には政治色の強いものも多いですが、本短編集に納められているのは比較的政治色が薄く、優しい作品が多めです。
本作を読んでもっとケン・リュウに触れてみたいと思った方は、是非『紙の動物園』他、ケン・リュウ短編傑作集を手に取ってみてください。
【人生・命】中学生の読書感想文におすすめの本
『カラフル』
- 作者
- 森絵都
- レーベル
- 文春文庫
- ページ数
- 259ページ
- テーマ
- 命、自殺
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- 〇
- こんな人におすすめ
- 学校生活に「息苦しさ」を感じている人
あらすじ
生前に罪を犯し、輪廻転生のサイクルから外された「ぼく」は、天使業界の抽選に当選し、再挑戦の機会を獲得した。
自殺を図った中学3年生の少年、小林真の身体にホームステイし、自分の罪を思い出せば、輪廻のサイクルに戻ることができるというのだ。
ガイド役の天使プラプラによると、真は利己的な家族に囲まれ、友達はおらず、絵を描くことが趣味の少年らしい…。
中学生のうちに絶対に読んでおきたい小説です。
生前殺人の罪を犯した「ぼく」は、自分が誰を殺したのか思い出し、輪廻のサイクルに戻るため自殺した少年の体にホームステイします。
ホームステイ先の真の父親は利己的で、母親は不倫しており、兄は無神経な意地悪男。おまけに真には友達がいないという悪環境の中、「ぼく」は生前の罪を思い出せるのか…?
社会は様々な人が多様な色を織りなすカラフルなものなのだと気付いたとき、少年と「ぼく」の運命が変わります。
感動必須の名作のため、是非読書感想文の機会にご一読を。
『ライオンのおやつ』
- 作者
- 小川糸
- レーベル
- ポプラ文庫
- ページ数
- 279ページ
- テーマ
- 闘病、人生、命
- 読みやすさ(内容面)
- 〇
- 読みやすさ(時間面)
- 〇
- こんな人におすすめ
- 感動したい人、犬が好きな人
あらすじ
若くして余命宣告を受けた雫は、余生を瀬戸内の島にある「ホスピス」で過ごすことに決める。
ホスピスでは、毎週日曜日に入居者の様々なリクエストに答えたおやつが提供される「おやつの時間」があり、雫もリクエストするよう勧められるが、雫は残された時間で食べたいおやつを選べずにいた。
もしあなたが、人生の最期になんでも好きなおやつを食べられるとしたら、どんなおやつを選びますか?
本書は、余命宣告をされた主人公・雫が、余生を過ごすため訪れたホスピスで様々な人と出会いながら、自分の人生を振り返り、最期にどんなおやつを食べたいかを探す物語です。
表紙も題名も非常にほんわかとした雰囲気ですが、内容はそれだけではなく、主人公の「若い自分がどうして」という嘆き・怒りが心に刺さり、その傷に物語が染みわたります。
ホスピスで暮らす余命わずかな人々が、どのような人生を歩み、どのようなおやつを選ぶのか。
読書感想文には、是非「今の自分だったらどんなおやつを選ぶか」を書いてみてくださいね。
【ノンフィクション】中学生の読書感想文におすすめの本
『あなたが世界を変える日―12歳の少女が環境サミットで語った伝説のスピーチ』
- 作者
- セヴァン カリス=スズキ (著), Severn Cullis‐Suzuki (原名), ナマケモノ倶楽部 (翻訳)
- レーベル
- 学陽書房
- ページ数
- 65ページ
- テーマ
- 環境問題、人権
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- 環境問題に関心がある人、世界を変えることはできないと考えている人
あらすじ
「どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください」
12歳の少女のスピーチが、世界を変えた。
大人たちの反対を振り切り、4人の仲間とともに環境サミットの開催地ブラジルを訪れた少女が、各国の首脳が居並ぶ本会議場で6分間のスピーチをおこなった経緯と記録。
1992年の環境サミットで実際に伝説のスピーチをおこなった、ある少女の記録です。
たった65ページの絵本のなかに、たくさんのメッセージがつまっています。
このスピーチから30年以上が経ち、「SDGs」や「環境汚染」という言葉は浸透したものの、未だに人類が考え続けなければならない環境問題。
この本は読書感想文だけでなく、これからの人生における様々な場面で考えるきっかけを提供してくれるでしょう。
「自分ひとりが動いたところで何も変わらない」と思っている人ほど、読んでほしい絵本です。
『15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから ぼくにしかできないことへ』
- 作者
- 岩野響
- レーベル
- KADOKAWA
- ページ数
- 192ページ
- テーマ
- 障碍、人生
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- 将来に悩んでいる人、「人と同じように出来ない」と感じている人
あらすじ
発達障害、15歳のぼくがコーヒー屋さんをはじめました。
10歳でアスペルガー症候群と診断されたぼくは、中学校に通えなくなったことをきっかけに、あえて進学しない道を選択した。
僕が探し出した「生きる道」は、コーヒー焙煎士だ。
2017年、「15歳のコーヒー焙煎士」としてメディアを中心に話題となった岩野響さん。
発達障害を抱えながら、あえて「進学しない」人生を選び、将来的に自立できるよう、しっかりと将来について考える。
他の人と同じことができるように頑張るのではなく、自分にできることを探し出した岩野さんの人生は、多くの人を元気づけました。
非常に身近となった「発達障害」というテーマ。
本書は、身の回りにいるハンディキャップを抱えた人たちとの付き合い方に悩んでいる人にも、今まさに「自分は発達障害なのではないか」「なんで他の人と同じように出来ないんだろう」と不安の中にいる人にも、非常におすすめです。
【純文学】中学生の読書感想文におすすめの本
『推し、燃ゆ』
- 作者
- 宇佐見りん
- レーベル
- 河出文庫
- ページ数
- 160ページ
- テーマ
- 推し、生きづらさ、SNS
- 読みやすさ(内容面)
- 〇
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- なんとなく「生きづらさ」を感じている人、「推し」が人生の中心となっている人
あらすじ
推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。
学校に馴染めず、バイトに明け暮れながらままならない日々を過ごす少女は、祈るように「推し」を解釈し続ける。
そんなある日、推しがファンを殴り、炎上する…。
2020年に芥川賞を受賞し、翌年には本屋大賞にノミネートされた、「2021年最も売れた小説」です。
本作は主人公が高校生で、中学生にとって感覚が近いキャラクターですが、それだけでなく、作者の宇佐見りんさんも本作を発表当時女子大生(現在25歳)と、年代層が近い分非常に読みやすく、入り込みやすくなっています。
今や誰もが口にする「推し活」。
「推し」を解釈することに人生を費やしている少女は、推しが炎上したとき、なにを感じ、どう行動するのか。
自分にとって「推し」とは何か?読書感想文が苦手な方でも、このテーマであれば書きやすいのではないでしょうか。
『コンビニ人間』
- 作者
- 村田沙耶香
- レーベル
- 文春文庫
- ページ数
- 176ページ
- テーマ
- 個性、人生、普通
- 読みやすさ(内容面)
- ◎
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- 「普通」に悩んでいる人
あらすじ
36歳未婚、彼氏なし、コンビニバイト歴18年の古倉恵子は、「店員」でいるときだけ、世界の歯車になれる。
2016年の芥川賞受賞作です。
コンビニの店員に埋没して生きる恵子は、周りの言う「普通」に合わせようと必死に他人の言葉、持ち物、人生を模倣しようとします。
176ページと短く、純文学にしては起承転結がわかりやすいため、「純文学」に苦手意識を抱いている方にもおすすめ。
「普通」とはなんなのか?自分は「普通」なのか?
是非、自分の考えを読書感想文に綴ってみてください。
『乳と卵』
- 作者
- 川上未映子
- レーベル
- 文春文庫
- ページ数
- 133ページ
- テーマ
- ジェンダー、女性、親子
- 読みやすさ(内容面)
- 〇
- 読みやすさ(時間面)
- ◎
- こんな人におすすめ
- 体の成長に戸惑ったことがある人、女子
あらすじ
豊胸手術に取りつかれているホステスの巻子と、言葉を発することを拒否する巻子の娘・緑子。
東京で暮らす主人公のもとに上京してきた2人の、三日間の哀切なドラマ。
2007年の芥川賞受賞作です。
登場人物たちが関西弁で話すため物語のリズムがよく、通常の会話を聞いているようにスラスラと読めます。
本書のテーマは「生まれてきたことの取り返しのつかなさ」。
主人公の姪である巻子は自分の成長に悩む小学校高学年の少女で、生理が始まった自分の体がどんどん子どもを生める「女」に成長していくのに戸惑い、言葉を発することを拒否します。
『乳と卵』を読んで面白いと感じた方は、是非本作を長編として編みなおした『夏物語』にも挑戦してみてください。
読書感想文の完成度は、選ぶ本から!
「読書感想文が上手く書けない…。」それ、実は選ぶ本が読書感想文に向いていないのかも?
良い読書感想文を書くには、まず良い本を選ばなければなりません。
是非、興味を持ったテーマの本に挑戦してみてくださいね。