恐怖小説で知られ、今もなお小説界に多大なる影響を及ぼし続ける作家、エドガー・アラン・ポー。
「名前は知っているけど、読んだことがない」という方も多くいるのではないのでしょうか?
この記事を読めば、天才エドガー・アラン・ポーにハマるきっかけになるでしょう!
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エドガー・アラン・ポーってどんな人?
プロフィール
エドガー・アラン・ポー(1809-1849)
引用元:Wikipedia
ボストンに生まれ、幼くして両親と死別してから、アラン家の養子として育ちました。
名門ヴァージニア大学を中退し、貧しいなか執筆活動を始めます。酒と薬に溺れ、その奇妙な振る舞いから悪名が飛び交いましたが、小説家としての実力が高く評価され、後世に最も大きな影響を及ぼす作家の一人に数えられています。
作風
彼の作品の多くは「ゴシック小説」、または「恐怖小説」の一つに数えられます。
それらは文字通り「恐怖」を題材にしていて、死、監禁、再生といったテーマが、神秘的に描かれることが多く、現在の「ホラー小説」、「SF小説」の源流とされています。
読み進めるにつれて、じわじわと恐怖が浮かび上がってくるような感覚が味わえます。
また、彼は「近代推理小説の開祖」と言われています。彼が生み出した推理小説の型は現在でも受け継がれ、数多くの有名作家に影響を与えています。
彼の小説は、そのほとんどが短編作品で、1時間未満で読み切れるものが多いです。気軽に読むことができるという点も彼の作品の魅力です。
映画化された人気作品6選!
1.『アッシャー家の崩壊』
引用元:Amazon
あらすじ
旧友アッシャーの屋敷に招かれた語り手が滞在中に経験した不気味な出来事と、アッシャー一族の凄絶な結末を描く。
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ポーの代表作の一つであり、入門的な短編小説です。1948年にイギリスで映画化されました。
主人公に次々とおこる超自然現象や、おどろおどろしく描写された「狂気」、「美」。
30ページ前後と読みやすく、ポーの世界観がよく表れているので、まずはこの作品を読むのがおすすめです。
2.『タール博士とフェザー教授の療法』
※『ポオ小説全集4』(創元推理文庫)収録
引用元:Amazon
あらすじ
主人公は、旅行中にある精神病院を見学することになる。先進的な独自の治療法を行っているというこの病院には、ある秘密が隠されている。
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この小説は、2014年に公開され話題となった「アサイラム-監禁病棟と顔のない患者たち-」 の題材となっています。推理小説家の顔も持つポーの実力が知れる有名作品です。
主人公がどことなく感じる違和感の理由が、後半に明らかになります。
推理小説やどんでん返し系が好きな方は、ぜひ映画と合わせて読んでみてください。
3.『落とし穴と振り子』
※『黒猫・アッシャー家の崩壊-ポー短編集Ⅰゴシック編』(新潮文庫)収録作品
引用元:Amazon
あらすじ
異端審問によって捕らえられた語り手は、牢獄内の様々な仕掛けで命を脅かされていく。
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この作品は、スペインの異端審問を背景として書かれた小説で、1961年にアメリカで映画化されています。
読んでいると、まるで振り子が自分に迫ってきているかのような臨場感と恐怖を覚える小説です。
4.『早すぎる埋葬』
引用元:Amazon
あらすじ
語り手は暗く狭い場所で不意に目覚めた。まもなく、自分が生きながらにして埋葬されてしまったのだと悟る。
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奇妙な病にかかっている主人公の、最も恐ろしい恐怖体験を描いている小説で、1960年にアメリカで映画化されています。
この作品が書かれた19世紀の西洋では、仮死状態などで死亡したと判断され、生きたまま埋葬されてしまうことが実際に起こっていました。
同じことが自分にも起こるかもしれないという不安がより恐怖を倍増させます。
5.『モルグ街の殺人』
引用元:Amazon
あらすじ
パリのモルグ街で、人間離れした怪力で母娘が殺される事件が起きる。しかも現場は密室だった。
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この作品は、「史上初の推理小説」とされていて、作中の探偵オーギュスト・デュパンは、有名な「シャーロックホームズシリーズ」のモデルになったと言われています。
50ページ未満と気軽に読める作品なので、推理小説が好きな人は必読です。
6.『悪魔に首を賭けるな』
あらすじ
語り手の友人トービー・ダミットの魂は、年を追うごとに堕落の兆候を見せていた。
彼は、「悪魔にこの首をかけてもいいが」というのが口癖となっていく。
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1969年に公開されたオムニバス形式のホラー映画『世にも怪奇な物語』の原作です。
人間の持つ闇と、悪魔がもたらす恐怖が表れていて、読んでいて憂鬱な気分になるかもしれません。闇を抱えた登場人物に何が起きるのか、ぜひ映画と合わせてチェックしてみてください。
おすすめ短編6選!
1.『黒猫』
引用元:Amazon
あらすじ
主人公は妻と幸せに暮らし、飼い猫のプルートォを可愛がっていたが、酒におぼれるようになるうちに、次第にノイローゼになり、猫を殺したあげく、ついには妻まで殺してしまう。
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ポーの代表作の一つに数えられる『黒猫』。聞いたことがある人も多くいるでしょう。
過度な飲酒が引き起こす恐怖を黒猫に象徴させて描いている作品で、超自然的な不気味さと、人が持つ狂気が表れています。ポーを知るには読んでおきたい作品です。
2.『赤き死の仮面』
引用元:Amazon
あらすじ
「赤き死」なる疫病が猛威を振るう頃、外界と隔てられた城の中で、仮面舞踏会が催された。そこに奇妙な仮装をした人物が紛れ込む。
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14世紀の西洋で大流行した黒死病(ペスト)を題材にして描かれた作品です。国内で疫病が大流行しているなか、城に閉じこもって贅沢の限りを尽くす国王。彼に起こった悲劇が書かれています。数々のホラー映画やホラー小説に影響を与えているので、ホラー好きは必読です。
3.『ウィリアム・ウィルソン』
引用元:Amazon
あらすじ
主人公は、寄宿学校で、自分と姿形もそっくりな同名のウィリアム・ウィルスンに出会い、その後もことあるごとに再会する。そのうちに主人公は精神的に追いつめられていく。
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「ドッペルゲンガー」にまつわるミステリー小説は数多く存在しますが、この小説はそれらの先駆けと言われています。主人公が次第に狂気に満ちていく姿を不気味に感じつつも、もし自分の前にもドッペルゲンガーが現れたら?と想像してしまうような作品です。
4.『ライジーア』
引用元:Amazon
あらすじ
語り手の妻であり、絶世の美女ライジーアは、病に倒れ息絶えてしまった。2番目の妻を迎えた後も、彼女を忘れられない語り手に奇妙なことが起こる。
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ポー小説に何度も表れている「美女の死」を題材にしている作品で、読者から人気のある作品です。ヒロインのライジーアは、美しさと知性を兼ね備えた完璧な女性です。そんな彼女と語り手に何が起こるのか、ぜひ注目してください。
5.『盗まれた手紙』
引用元:Amazon
あらすじ
ある大臣が、政治的な目的で貴婦人の私的な手紙を盗み出す。貴婦人からの依頼を受けた警察が全力を尽くして捜しても見つからなかったが、警視総監から相談を受けたデュパンが難なく取り戻す。
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先ほど紹介した『モルグ街の殺人』の探偵デュパンが登場する三作のうちの一つで、最も評価の高い作品と言われています。斬新な発想と鮮やかなトリックは、読んでいて爽快感を感じさせます。同シリーズの『モルグ街の殺人』、『マリー・ロジェの謎』と合わせて読んでみてください。
6.『黄金虫』
引用元:Amazon
あらすじ
語り手とその聡明な友人ルグラン、その従者のジュピターが、宝の地図を元にキャプテン・キッドの財宝を探し当てるまでを描く。
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この作品は、冒険小説でありながら、暗号を用いた推理小説の先駆けと言われています。恐怖小説を得意とするポーの描く冒険小説というだけあって、独特なエンターテインメント性が感じられます。ドキドキ、わくわくしたい人におすすめです。
唯一の長編小説「ナンタケット島のアーサー・ゴードン・ピムの物語」
エドガー・アラン・ポーの小説は、そのほとんどが短編です。
理由として、ポーが小説を書くうえで「椅子に座って休んでいる間に一気に読めてしまうぐらいの長さにする」「作中の全ての言葉が『1つの目的』に沿って意味を持つ」という2つのルールを重視していたからです。
そんなポーが書いた唯一の長編小説が、「ナンタケット島のアーサー・ゴードン・ピムの物語」です。
あらすじ
主人公アーサー・ゴードン・ピムが密航した捕鯨船で船員の反乱が起こり、更に暴風雨に遭遇して遭難、漂流する。生き残ったピムらはジェイン号に救出されたものの、そのまま南極探検に向かうことになる。
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空想科学小説(SF小説)、さらには海洋冒険小説の先駆けと言われる作品です。
冒険とはいっても、少年漫画のようなロマンあふれるものとは違って、人食いや船内での反乱など、ダークな要素が含まれています。一風変わった冒険小説を読みたい方におすすめです。
珠玉の作品でポーの世界に引き込まれよう
いかがでしたでしょうか。
エドガー・アラン・ポーは、19世紀初期の作家でありながら、その作品は今もなお衰えずに多くの読者に親しまれています。彼の影響を受けた作家も数多くいます。
彼の小説を読んで、ポーの独特な世界観に引き込まれましょう!