目次[ 表示 ]
- 寒中見舞いの「寒中」とは
- 寒中見舞いの役割
- 寒中見舞いを出す時期
- 寒中見舞いの基本的な書き方6ステップ
- 1:主文を書く
- 2:先方の近況や時候の挨拶を書く
- 3:感謝の言葉や近況報告を書く
- 4:締めの挨拶を書く
- 5:日付を書く
- 6:住所氏名を書く
- 寒中見舞いを書くときのポイント
- 4つのシーン別寒中見舞いの書き方例
- 1:喪中はがきをもらった相手へ送る場合
- 2:喪中の際にもらった年賀状へ返事をする場合
- 3:年賀状の返事が遅くなってしまった場合
- 4:喪中の相手に年賀状を出してしまった場合
- 寒中見舞いの気になる疑問
- 寒中見舞い用の切手やはがきはある?
- 立春を過ぎた際にはどうする?
- マナーを守って寒中見舞いを送ろう
寒中見舞いの「寒中」とは
寒中見舞いとは、1年のうち「寒中」と呼ばれる時期に出す時候の挨拶のことです。寒中の起源は二十四節季にあり、寒さがだんだん厳しくなってくる「小寒」と1年で最も寒い時期である「大寒」を併せた、旧暦における1年の終わりの時期を指しています。
現在は1月5日から2月3日、つまり三が日が明けた頃から節分までの間が寒中あるいは寒の内と呼ばれ、その時期に出されるはがきでの便りを寒中見舞いと呼ぶのが一般的です。
寒中見舞いの役割
寒中見舞いは、「折見舞い」と呼ばれる季節の挨拶の1つです。もともとは、季節ごとに相手の近況と自分の近況とを知らせ合う役割を持ったものでした。
最近では、喪中にいただいた年賀状のお返しや、期間内に送りそびれた年賀状の代わりとして出すことが多いでしょう。また、年末のお歳暮の代わりにお菓子などの贈り物をする場合もあります。
寒中見舞いを出す時期
寒中見舞いは、松の内と呼ばれる門松を飾っている期間、言わばお正月期間が過ぎてから立春になるまでに出すものです。松の内の終了する日は地域によって異なり、主に関東では1月7日、それ以外の地域では1月15日までとなっています。
そのため、寒中見舞いを出す場合関東であれば1月8日から、それ以外の地域であれば1月16日から、どちらの場合も2月3日までの間に着くように出します。
寒中見舞いの基本的な書き方6ステップ
寒中見舞いを構成する要素は、季節の挨拶・近況のやり取り・日付と差出人の3つです。ほとんど定型文を用いるため、誰でも簡単に作成して送ることができます。はがきの表面に宛名を、裏面に寒中見舞いの文章を記入します。
ここでは、寒中見舞いの基本的な書き方を簡単な例文を交えて説明します。
1:主文を書く
寒中見舞いの冒頭に書くのは主文です。主文は「この手紙は寒中見舞いである」ということ示す文で、ほとんど決まり文句でできています。
よくある主文では「寒中お見舞い申し上げます」や「寒中お伺い申し上げます」などが挙げられます。また、特に改まった場面では「寒中謹んでお見舞い申し上げます」といった文も用いられます。
ただし、年賀の挨拶ではないため「あけましておめでとうございます」といった文は使いません。
2:先方の近況や時候の挨拶を書く
主文の次に書くのは本文です。本文は前半と後半に分かれており、前半では季節の挨拶文と、相手の近況を尋ねる文章を書きます。
挨拶文の文例として、「厳しく冷え込む毎日ですが、皆様にはお変わりございませんか」「寒中いかがお過ごしでしょうか」「厳寒の候、お変わりございませんか」といったものが挙げられます。
3:感謝の言葉や近況報告を書く
本文の後半は自分の側の近況報告が主になります。自分自身と送り先の関係性、たとえば友達、会社の上司など目上の人、恩師など宛先を考慮した上で、差し支えのない近況を書きましょう。
また、年賀状の代わりに送る場合は前年お世話になったお礼など、感謝の言葉も添えると良いでしょう。
例文として、「ご丁寧な年始のご挨拶をいただき誠にありがとうございました」「旧年中は大変お世話になりました」「私どもの方は家族一同元気にしております」といったものが挙げられます。
相手が喪中でないのあれば、結婚報告・出産報告を兼ねて写真入りの寒中見舞いにしても良いでしょう。他にも、妊娠報告・入籍報告、場合によって離婚報告や引っ越し報告を兼ねることがあります。
4:締めの挨拶を書く
お礼や近況報告が書けたら、相手の幸福や健康を祈る文章で本文を結びましょう。最初の季節の挨拶のように、気温や天候などと絡めて書くと良いでしょう。
「まだまだ寒さが続きますが、くれぐれもご自愛ください」「皆様のご多幸をお祈り申し上げます」「本年も変わらぬお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします」といった例が挙げられます。
5:日付を書く
主文と本文が書けたら、差出を行う日付を入れましょう。西暦あるいは元号表記の年と、寒中見舞いを出す月のみで構いません。または、二十四節季に合わせて月の下に「小寒」「大寒」と入れても良いでしょう。
6:住所氏名を書く
最後に、差出人である自分の住所や氏名を添えましょう。この場合の氏名は個人でも、配偶者や子どもの名前と連名でも構いません。氏名・住所・郵便番号の他、必要に応じて電話番号などを書く事もあります。
寒中見舞いを書くときのポイント
定型文を使って誰でも簡単に作成できる寒中見舞いですが、いくつかルールやマナーが存在します。そこで、寒中見舞いを書く際のポイントをご紹介します。
通常の手紙であれば、本文を挟んで「拝啓」「敬具」といった頭語・結語が必要になります。しかし、寒中見舞いの場合これらは必要ありません。頭語と結語は省略し、主文から始めましょう。また、主文は他の文章や日付・差出人よりも大きな文字で書きましょう。
季節の挨拶であるという性質上、年始の挨拶とは別の扱いになるため、干支の絵や富士山・七福神などのおめでたいデザインは避ける方が無難です。代わりに、冬らしい椿・水仙・梅の花・雪の結晶などのイラストを用いると良いでしょう。
また、寒中見舞いを書く場合、抽選番号のくじ付き年賀はがきは使わないようにしましょう。
特に自分や相手が喪中の場合、年始を喜ぶおめでたい単語は避け、年賀状は「年始のご挨拶」に言い換えるなどの工夫をしましょう。ただし相手や自分が喪中の場合でも、寒中見舞いを薄墨で書く必要はありません。
4つのシーン別寒中見舞いの書き方例
現在、寒中見舞いは何らかの理由で年賀状を出せない人、あるいは出せなかった人が年始の挨拶をする際に利用されることが多いものです。そのため、喪中の人とのやり取りや、もらった年賀状にすぐ返事が出せなかった場合が多くなります。
こちらでは、そんな喪中における寒中見舞いのやり取りや、年賀状に対する返信について説明します。
1:喪中はがきをもらった相手へ送る場合
家族や親族など、身近な人が亡くなって喪に服す場合、年末までに訃報や喪中はがきで年賀状辞退の旨を伝えられることがあります。そういった喪中の方へは、年賀状でなく寒中見舞いで年始の挨拶をしましょう。
相手の近しい人が亡くなっているわけですので、年始のお祝いは控え、おめでたい表現は避けた文章にします。お見舞いの主文や時候の挨拶に加え、故人を偲ぶ言葉や遺族を思いやる言葉を添えると良いでしょう。
2:喪中の際にもらった年賀状へ返事をする場合
自分自身が喪中の際にもらった年賀状へ返信するときも寒中見舞いを使用します。そういった場合もおめでたい意味の単語は避け、もらった年賀状へのお礼、喪中で年始の挨拶ができないお詫びなどを書きましょう。
また、年賀状を送られた宛名の本人死亡の場合は、故人他界のお知らせや、生前のお付き合いへのお礼を書き添え、送り主の体調を気遣った寒中見舞いを出しましょう。
3:年賀状の返事が遅くなってしまった場合
自分から年賀状を出していない相手から年賀状が届いた場合、なるべく早く返礼の年賀状を送るのがベターではありますが、帰省や旅行などで家を空けていて確認が遅れてしまうこともあります。
そういった年賀状への返事が遅れた場合、もらった年賀状へのお礼と返事が遅れてしまったお詫びを書き添えて、寒中見舞いを送りましょう。
4:喪中の相手に年賀状を出してしまった場合
相手が喪中であることに気付かずに年賀状を送っても失礼にはなりませんが、2のような喪中の寒中見舞いが届いた場合、改めて哀悼の意を伝える返事を出すと印象が良いでしょう。
相手が服喪中であることに気付かず年賀状を送ってしまったことへのお詫びと、お悔やみの言葉を添えましょう。自分が送った年賀状に関しては、「年始状」や「年始のご挨拶」などに言い換え、おめでたい言葉は避けるようにしましょう。
寒中見舞いの気になる疑問
出すべき期間や使用できる柄・単語など、寒中見舞いのルールは案外多いものです。では、そんな寒中見舞いを出すのに適したはがきはどれなのでしょうか。もしも出すべき期間を過ぎてしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
ここでは、そんな寒中見舞いに関する「気になる疑問」にお答えします。
寒中見舞い用の切手やはがきはある?
年賀状には年賀はがきが、暑中見舞いには暑中見舞いはがきがといったように、季節の挨拶も種類によっては専用のはがきが用意されている場合があります。
しかし、日本郵便発行の官製はがき(普通はがき)には、寒中見舞いはがきといった寒中見舞い専用の郵便はがきはありません。そのため、寒中見舞いを書こうと思ったら無地の官製はがきを購入するか、イラストや主文が印刷された私製はがきを購入することになります。
寒中見舞いに使用する切手は通常の63円切手で構いません。ただし、弔辞用切手は使わない方が良いでしょう。通常はがきの場合、切手欄が胡蝶蘭のデザインになっている胡蝶蘭はがきであれば、寒中見舞いにも喪中欠礼にも利用することができます。
立春を過ぎた際にはどうする?
寒中見舞いが出せるのは節分の2月3日までです。立春を過ぎた2月4日以降は、寒中見舞いではなく「余寒見舞い」を出します。
余寒見舞いを送る時期の目安は、大体2月以降から2月下旬頃までです。主文が「余寒お見舞い申し上げます」など余寒見舞い用の定型文に変化する他は、寒中見舞いと特に違いはなく、同じ書き方で作成することができます。立春を過ぎたら、余寒見舞いで手紙を出しましょう。
マナーを守って寒中見舞いを送ろう
さまざまなルールやマナーがある寒中見舞いですが、定型文を利用すれば誰でも簡単に送ることができます。さらに、ネット印刷サービスを利用すれば簡単にパソコンやスマホで作成することも可能です。
また、たとえ寒中見舞いの時期が過ぎた場合でも、余寒見舞いとして文章や構成は応用できます。
今ではLINEなどのメッセージアプリやスタンプ機能で簡単に年末年始の挨拶も済ませられますが、やはりそれでは味気ないものです。コロナ禍でなかなか遠方の親戚や知人に会えない今だからこそ、心をこめた寒中見舞いを送ってみてはいかがでしょうか。