暮らし

十分と充分の使い分け方を例文と併せて解説|それぞれの正しい使い方は?

十分充分意味類義語違い使い方

2021/11/27

目次[ 表示 ]

十分と充分の基本的な意味の違い

皆さんは、「十分」と「充分」の違いはご存じでしょうか。辞書で意味を調べてみると、「十分」と「充分」はほとんど同じ意味とされています。しかしながら、実際に使う際には、微妙に異なったニュアンスで使いわけています。次に例をあげて違いを解説していきます。

十分の3つの正しい使い方

まず、漢数字の十が含まれている「十分」の使い方について解説します。「十分」は、数的あるいは量的に満杯になっている状態をいいます。たとえば客観的に見て満たされている状態の「コップには水が十分に入っている」など、誰が見てもわかるような場合にも使います。

1:数値化できる場合に使う

「十分」には、漢数字の十が使われていることからもわかる通り、数値化できる場合に使います。数を数えられる場合、あるいは量的に満たされているか否かが明らかにわかるような場合に使用する言葉です。

数や量が少ないところからだんだんと増えていき、満杯になったときに「十分」に満たされたという表現をします。数的にあるいは量的に満たされている状態は、可視化されている状態ともいえます。

2:公的文書への記述の際に使う

「十分」は公的文書への記述の際にも使います。文化庁は「充分」は当て字としていて、公用文にはかな書きあるいは「十分」を使うことを推奨しています。

文部科学省用字用語例では、「じゅうぶん」はかな書きが望ましいとされています。「十分」はやむを得ない場合以外は使わないことと示されていますが、裏を返せばやむを得ない場合は使っても良いと考えられます。

「じゅうぶん」を公的文書で漢字表記したい場合は、「十分」の方を使うことになります。

しかしながら、公的文書の最たるものである日本国憲法の第三十七条では「充分」の方も使われております。そのため、現実には使い分けはあいまいだともいえます。

3:使い分けに迷ったときに使う

使い分けに迷ったときには、「十分」を使いましょう

上記の通り、公的文書には「十分」を使うことが推奨されていることと、一般に計数・計量ができて客観的に判断がつくことに対しては「十分」を使うことなどから、どちらを使ったら良いか迷ったときには「十分」を使っておくと、大きな間違いはないといえます。

充分の4つの正しい使い方

上記に対して、漢数字ではない方の「充分」は主観的に満たされたときに使われることが多い言葉です。数的・量的に満杯の状態が「十分」で、精神的・情緒的に充たされている状態が「充分」という使い分けがされているといえます。

1:誤解を与えるような文脈になっているときに使う

誤解を与えるような文脈になっているときには、「充分」を使った方が良い場合もあります。

「中距離走のトレーニングとして、「十分」走り込みをした。」という表現があった場合、「じゅうぶん」走り込んだのか、「じゅっぷん」走り込んだのかがわかりません。表現によって誤解を与えそうなときは、「充分」を使った方が良いでしょう。

2:精神的な面を表す際に使う

「充分」は主観的、精神的・情緒的に満たされたときによく使われる言葉です。

「充実」や「充足」という言葉もある通り、「充」という漢字には「みたされた」という意味があります。数的・量的には満杯にはなっていないものの、精神的に満はたされているという場合には、「充分」という表現を使うことができます。

3:睡眠に関連する事柄に使われることが多い

睡眠に関連する事柄には、「充分」が多く使われます。睡眠に対する満足度は客観的な計測が非常に困難です。そのため、満足度を示す場合はどうしても主観的にならざるを得ず、客観性のある場合に使う「十分」ではなく、「充分」を使うことになります。

睡眠の満足度は人によって異なります。5時間の睡眠で頭がすっきりして満足できる人もいれば、8時間寝ても眠いという人もいるでしょう。睡眠に関しては単純な時間で満足度が測れるものではないため、「充分」を使った方が適している場合が多いと考えられます。

4:気持ちを表す際に公文書で充分が使えない場合

上記の通り、公文書では「充分」を使うことは推奨されていません。しかし、たとえば裁判に関する文書のような公文書で、自分自身の気持ちを述べたいという場合のように主観的・精神的・情緒的な内容を表現したい場合は、「十分」は適していません。

このような場合には、文部科学省や文化庁が推奨している通り、かな書きで「じゅうぶん」と表現するのが良いでしょう。

かな書き表記がどうしても気持ちにそぐわないというような場合は、別の言葉に言い換えをするという手段もあります。たとえば、「充足」や「充実」、「満足」などの言葉を使うと良いでしょう。

十分と充分の両方使われるシーン

上記では、「十分」と「充分」の使い方を解説しました。必ずどちらか一方しか使えないというものではなく、状況次第で「十分」と「充分」の両方を使うことができる場合もあります。しかしながら、使い方によって内容は微妙に異なります。

運転をしている場合などで、「じゅうぶん」に注意するように誰かに伝える表現として、「十分」に注意と表現すると、完全に近いレベルの注意を払う必要があるというニュアンスになります。街中のような交通量の多いところなどでは、こちらの表現が適しているでしょう。

一方、「充分」に注意と表現すると、何かイレギュラーなことがあった場合に、事故を起こさない程度に注意を払う必要があるというニュアンスになります。

郊外や田舎など交通量の少ないところで、周りの景色を見ていても良いけれども、周辺にもある程度の注意も払うようにというような意図を伝えたい場合には、こちらの表現でも良いでしょう。

十分を使った例文

こちらでは、

「十分」を使った例文を取り上げて、こちらの表現が意味するニュアンスを解説します。

 

・「今日の会議の出席者は5人なので、保管用の予備の分も入れて資料は6部あれば十分です。」

このように数的・量的に満足している、満たされている場合に、「十分」という表現を使います。

充分を使った例文

この項では、「充分」を使った例文を取り上げて、こちらの表現のニュアンスを解説します。

・「あなたは8時間以上眠らないと満足できないかもしれませんが、私は6時間の睡眠時間があれば充分です。」

このように、数的・量的には満杯ではない、あるいは両者で見解が異なっていても、自分自身は主観的・精神的に満足しているような場合に、「充分」という表現を使います。

十分と充分の例文で学ぶ使い分け方

「十分」と「充分」の両方を使うことができる場合の使い分けは、客観的な満足が「十分」主観的な満足が「充分」と考えれば良いでしょう。数的・量的に可視化できる場合が「十分」、情緒的・精神的で可視化しにくい場合が「充分」という考え方もできます。

食事中のとき

食事中のような場合には、「十分」と「充分」の両方の表現を使うことができます。

・「料理はお客様の人数でご満足頂ける品数でしたか?」「はい、十分でした。」
・「料理の味はご満足頂けるものでしたか?」「はい、充分満足しました。」

1つ目の例文は数的・量的に満足できたかどうか、2つ目の例文は精神的に満足したかどうかを表現しています。このように、示すニュアンスは若干異なるものの、両方とも使うことができます。

試験結果を表すとき

試験結果を表すような場合でも、両方とも使う場合があり得ます。

・「試験の結果はどうでしたか?」「80点取れたので、合格するのには十分でした。」
・「試験の結果はどうでしたか?」「ギリギリ合格点でしたが、やれるだけのことはやったので、充分満足しています。」

1つ目の例文は数的に必要なレベルに到達していることを表現し、2つ目の例文は取り組んだ内容に対しての精神的な満足を表現しています。食事の場合と同様、両方とも使用でき、いずれも間違った表現にはなっていません。

十分の類義語として使われる5つの言葉

「十分」は数的・量的に満たされていることを表現しています。この表現に近い類義語はいくつかあります。ここでは、「十二分」「腹八分目」「存分」「たくさん」「しっかり」の5つを取り上げます。

1:十二分

1つ目は「十二分」を取り上げます。「十二分」は、満杯を越えて満たされている状態を表現しています。漢数字が使われているため、「十分」と同様に数的・量的な充足度を表現するときに使われます。

一から十まで到達して、十が満杯という設定の場合、十を超えて十二で表現することは、「満杯を越えた」あるいは「持っている能力を越えた」というようなニュアンスを表現する場合に使われます。

2:腹八分目

2つ目は「腹八分目」です。満杯ではなく、適度に満たされた状態を表現するときに使われます。「十分」の少し手前の状態を意味すると考えても良いでしょう。

「八分目」で満杯ではないため「十分」ではないといえますが、この状態で精神的に満足しているのであれば、「十分」ではなく「充分」な状態と表現できます。

3:存分

3つ目は「存分」です。「思う存分活躍することができた」というような使われ方をします。「考え得る範囲で量的に最大限」というようなニュアンスで使います。

自分の気持ちに重点を置いている部分もありますが、計量的に最大限まで到達したという意味で、「十分」に近い意味合いとなります。

4:たくさん

4つ目は「たくさん」です。単に数や量が多いときにもこの表現は使いますが、その場合は「十分」の類義語ではありません。

数的あるいは量的にもう足りていて、これ以上は必要がないという場合に使う「グチを聞くのは、もうたくさんだ」というような表現は、「たくさん」という言葉に「十分」というニュアンスが含まれています。

5:しっかり

5つ目は「しっかり」です。「たくさん」と同様、いくつかの使われ方があります。

数的・量的に不足がないようにするという場合に使う「前もってしっかりと準備しておくように」という表現する場合の「しっかり」には、「十分」という意味合いが含まれています。

充分の類義語として使われる言葉

上記で「十分」の類義語を取り上げましたが、「充分」にも類義語があります。ここでは、「充分」とかなり近い意味合いを持つ「充実」と「充足」について取り上げて解説します。

充実

「充実」は内容が満ち足りた形となっていることを表します。「充」という漢字で「満ち足りる」の意味を持っており、「実」は「中身が備わっている」という意味です。

2つの漢字をあわせて精神的・情緒的に「満ち足りている状態」というのが強調される意味合いとなります。

充足

「充足」は不足がなく満ち足りている状態を表します。「不足」を「補う」・「充たす」ことで、満ち足りた状態とするという意味合いです。数的・量的な「十分」と近い使われ方もしますが、精神的・情緒的な「充分」の意味合いでも使われます。

十分を使うときの注意点

数的・量的に満杯のときに使う「十分」ですが、注意すべき点もあります。

「十分」は「じゅうぶん」と読みますが、「じゅっぷん」と時間を表す場合にも同じ表記となります。上述の通り、文脈の中で「じゅうぶん」なのか「じゅっぷん」なのかがわかりにくかったり、誤解を招きかねない場合は、かな表記をするか「充分」を使った方が良いでしょう。

十分と充分を正しく使い分けよう

「十分」と「充分」はほぼ同じ意味合いで使われますが、微妙にニュアンスが異なるところもあります。「十分」と「充分」の違いに注意して、うまく使い分けるようにしましょう。

Bee

この記事を書いた人

Bee

SHARE

この記事をシェアする