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「おこがましい」の意味とは?
「おこがましい」は、「出しゃばったまねをする」や「分不相応である」、あるいは「出過ぎたまねをする」というような意味の言葉です。自分自身を一段下げて、下からものを言う謙譲の意味合いが強い言葉です。
「おこがましい」を使うときのポイント
「おこがましい」を使うときには、ポイントがあります。会話の中での話し言葉でも使えることと、上記のとおり、謙譲の意味を持つ言葉であるため、通常は立場が下の相手に使わないということです。
話し言葉で使える
「おこがましい」は話し言葉で使えます。語源は古語の「をこがまし」だといわれており、文章で使われることは多いですが、話し言葉として会話の中でも問題なく使用できます。
立場が下の相手には使わない
「おこがましい」は謙譲の意味合いが強い言葉であるため、一般的には立場が下の相手には使いません。自分自身の立場を一段下げることで、相対的に相手の立場を上げて使う言葉になり、へりくだった表現となります。
「おこがましい」の使用シーン4選
では、実際に「おこがましい」という言葉はどのように使われるのでしょうか。よく使われるシーンとして、上司に意見を述べるとき、目上の人にお願いごとをするとき、部下に注意をするとき、身内を褒めるときの4つを例として取り上げます。
条文付きで紹介するため、参考にしてください。
1:上司に意見を述べるとき
1つ目の例は、上司に意見を述べるときです。「私が言うのもおこがましいのですが、この案件は引き受けないほうが良いかと思います」のように、上司に自分自身の意見を表明するときに使います。
「差し出がましい」「出過ぎているかもしれない」という意味のこもった謙譲の枕詞をつけて使うことで、「部下としての自分自身の立場はわきまえているが、意見を述べる必要がある」場合に有効です。
2:目上の人にお願いごとをするとき
2つ目の例は、目上の人にお願いごとをするときです。「おこがましいお願いですが、○月○日までにご回答頂けますでしょうか」のように、社内外関わらず目上の人にお願いごとをするときに使います。
取引先のように、立場上相手を一段上げた表現をしたほうがよい場合でも使えます。
また、「おこがましいお願いにもかかわらず、早々にご回答頂きましてありがとうございました」のように、お願いのあとのお礼のときにも使えます。
3:部下に注意をするとき
3つ目の例は、部下に注意をするときです。この場合は、「あの方は重要なお客様なのだから、おこがましいことは言ってはいけないよ」のように、話している相手(この場合は部下)を一段下げて、第三者(この場合は顧客)に対して謙譲の表現をするときに使います。
4:身内を褒めるとき
4つ目の例は、身内を褒めるときです。「兄の私が言うのもおこがましいのですが、弟は足が速く短距離の県代表になったこともあります」のように、身内を褒める際に使います。そのまま発言すると、あまりにも自慢げに聞こえそうな場合に、その表現を少し和らげる狙いがあります。
「おこがましい」を使うときの注意点とは?
「おこがましい」はあくまでも謙譲の表現です。そのため、自分自身が目上や上司の立場で、部下や目下に対して「おこがましいかもしれないけれど、○○をやってもらえないか」というような表現をした場合は、嫌みに聞こえてしまうことがあります。
また話している相手が「おこがましいのですが」と使ってきた場合は、「そうですね」のような肯定の表現を使うと、相手をけなしていることになりかねないため、注意が必要です。
このような場合は、「いえいえ」「そんなことはないですよ」など、「おこがましい」の表現を否定するような相づちをうつのが正しいでしょう。
さらに、相手や第三者に対して「あなたはおこがましい」「あの人はおこがましい」という表現をすると、相手や第三者を非難していることになってしまうため、このような使い方は避けたほうが良いでしょう。
「おこがましい」と似た言葉4つ
「おこがましい」と似た言葉もいくつかあります。ここでは「差し出がましい」「厚かましい」「ぶしつけ」「身の程知らず」の4つについて、「おこがましい」と似ているところや異なっているところを取り上げてみます。
1:差し出がましい
1つ目は、「差し出がましい」です。「差し出がましい」の意味は、相手に対して厚かましい、必要以上に出過ぎている、出しゃばっているというものになります。「差し出がましい」にも謙譲の意味合いが含まれているため、使い方は「おこがましい」とほとんど同じでしょう。
「差し出がましい」は自分自身に対して使うことがほとんどなのに対して、「おこがましい」は上記のとおり相手に対して使うこともあるというところが、少し異なっている部分です。
「差し出がましいお願いで申し訳ありませんが、○○についてご説明頂けますでしょうか」のような使われ方をします。
2:厚かましい
2つ目は、「厚かましい」です。「厚かましい」の意味は、ずうずうしい、遠慮がない、慎みがないというものです。「厚かましい」は「おこがましい」ほど謙譲の意味合いは強くありません。逆に相手や第三者を非難するようなときに使われることが多いでしょう。
謙譲の意味合いを持たせる場合、「厚かましい申し出ですが、○○を頂けますでしょうか」のような使われ方をします。非難の場合は、「あの人は厚かましい人だ」のように使われます。
3:ぶしつけ
3つ目は、「ぶしつけ」です。「ぶしつけ」は漢字で「不躾」と書くとおり、「しつけができていない」「無作法」という意味です。文脈の中で謙譲の意味合いを持たせる使われ方をすることが多いようです。
「ぶしつけなものの言い方をしてしまいまして、申し訳ありません」「ぶしつけな態度を取ってしまったようで、失礼いたしました」のように、謝罪のときに使われることが多いでしょう。
4:身の程知らず
4つ目は、「身の程知らず」です。「身の程知らず」の意味は、「自身の能力や立場をわきまえずに、出しゃばったことをする」というものです。意味合いや使い方は「厚かましい」と近く、相手や第三者を非難するようなときに使われますが、謙譲の意味合いで使うこともあります。
非難の場合は、「あの人は身の程知らずな動きをする人だ」というように使うことが多いでしょう。「おこがましい」と近い謙譲の意味合いで使う場合には、「先日は、身の程知らずな発言をしてしまい、驚かせてしまったかもしれません」のように使われます。
英語における「おこがましい」の表現方法4選
続いて、「おこがましい」を英語ではどう表現するのが良いかについて取り上げます。「おこがましい」の意味合いを持つ英語表現としては、「presumptuous」「impudent」「impertinent」「ask too much」の4つがあります。
1:presumptuous
1つ目は、「presumptuous」です。「presumptuous」は、「押しの強い」「出しゃばっている」「僭越」のような意味合いです。「おこがましい」と「厚かましい」をあわせたようなニュアンスになるでしょう。「傲慢」の意味合いが強い言葉です。
2:impudent
2つ目は、「impudent」です。「impudent」は、「厚かましい」「恥知らずの」のような意味合いです。「presumptuous」よりも非難の意味合いが強い言葉になります。「年長者に対して敬意に欠ける」という意味合いがある言葉です。
3:impertinent
3つ目は、「impertinent」です。「impertinent」は、「失礼」「生意気」「見当違い」のような意味合いで、「impudent」よりは非難の意味合いが弱い、「物事を知らない若者に対して年長者が語る」ときに使うようなニュアンスの言葉です。
また、「impudent」と同様「目上に対する敬意に欠ける」という意味合いの言葉です。
4:ask too much
4つ目は、「ask too much」です。「ask too much」は直訳すると「多すぎるお願い」で、意訳では「贅沢」「無理難題」「高望み」のようなニュアンスになります。文脈の中での使い方で、「おこがましい」と近い意味合いになります。
「おこがましい」の正しい使い方を覚えよう
「おこがましい」は、謙譲の意味合いを持った、非常に便利な言葉です。会話の中で使うと理知的な印象を与える言葉であるため、意味を正しくとらえて、上手く使えるようにしましょう。