目次[ 表示 ]
- 「存じます」の意味と読み方は?
- 「存じます」と「思います」の相違点
- 「存じます」は目上の人に向かってへりくだるときに使う
- 「存じます」の正しい使い方と例文5つ
- 1:要望や意見を伝えるときに使う
- 2:「知っている」という意味で使う
- 3:お願いをする際気遣いを表すために使う
- 4:相手に許可を求めるときに使う
- 5:自分の気持ちを表すときに使う
- 「存じます」の言い換え方法5つ
- 1:心得ております
- 2:承知しております
- 3:お察しします
- 4:であります
- 5:でございます
- 「存じます」を使うときの注意点4つ
- 1:使うタイミングや状況を見極める
- 2:「存じ上げます」は対象が人であるときだけに使う
- 3:「所存です」は自分の考えを伝えたいときに使う
- 4:使いすぎて不自然にならないように注意する
- 「存じます」の英語表現を使った例文4つ
- 1:would like toを使った例文
- 2:hopeを使った例文
- 3:thinkを使った例文
- 4:honorを使った例文
- 存じますの意味や使い方を理解しよう
「存じます」の意味と読み方は?
「存じます」は、ビジネスシーンでよく使われる言葉です。話し相手が目の前にいるときや電話対応などで使っている人も多いでしょう。
しかし、正しい使い方を知らずに漫然と使っている人も多いのではないでしょうか。意味や読み方、正しい使い方を知ることでビジネスシーンに活かせるため、この機会にしっかりと理解しておきましょう。
まず、「存じます」は「ぞんじます」と読みます。「存」は「存在」のように「そん」とも読むため、間違えないようにしましょう。
そして、「存じます」とは「思っています」「知っています」という意味です。「思う」または「知る」の謙譲語「存じる」に丁寧語「ます」をつけ、相手に対する敬意を表した言葉となっています。
どちらの意味でもよく使われる表現のため、状況に応じて使い分けましょう。
「存じます」と「思います」の相違点
「存じます」と「思います」の違いを見て行きましょう。「存じます」は目上の人に使う敬語表現で、「思います」は「思う」に「ます」をつけた丁寧語です。
たとえば、「~した方がよろしいかと存じます。」と「~した方がよいと思います。」という文章を比べてみましょう。どちらも「自分は〇〇だと思います」というように、自分の提案や気持ちを表現しています。
これらはビジネスでよく使う表現ですが、「存じます」の方がより丁寧な印象を与えるという点で大きく異なります。
「存じます」は目上の人に向かってへりくだるときに使う
「へりくだる」とは、相手(目上の人)を敬うため、自分については控えめな態度をとることを言います。そのため、敬語表現である「存じます」は、上司や先輩、目上の人に向かって自分自身をへりくだった言い方をするときに使われることが多いでしょう。
ビジネスシーンでは、目の前に相手がいるときや電話対応などで使われますが、目上の人に「思っています」「知っています」と伝えるときは、敬語表現「存じます」を使うようにしましょう。
「存じます」の正しい使い方と例文5つ
ここまで、「存じます」の意味や読み方および「思います」との違いを紹介してきました。
では、「存じます」を使ってどのような表現ができるのでしょうか。ここでは、ビジネスシーンでよく使われる例文を、それぞれの状況に応じて紹介します。
「存じます」の使い方に興味のある方は、参考にしてください。
1:要望や意見を伝えるときに使う
要望や意見がある場合、「~させていただきたく存じます」や「~かと存じます」という表現が使えるでしょう。
たとえば、「結婚式に出席させていただきたく存じます。」という文章の場合、相手に結婚式に出席してほしいと依頼されたため、このような表現になっています。「自分はこうしたい」という要望を伝えるときに使いましょう。
ただし、自ら申し出たことに対して「~させていただきたく存じます」は使えないため、注意してください。
また「この件に関しては、保留にした方がよろしいかと存じます。」という文章は、「保留にしてもよいのではないでしょうか。」という自分の意見を伝えています。
ビジネスシーンにおいて、ネガティブなことを相手にオブラートに伝えるのは難しいですが、「~かと存じます」を使うことで、目上の人にも失礼にならず意見を伝えられます。
2:「知っている」という意味で使う
「私は~について知っている」という表現をしたい場合は、「~を存じ上げております」を使いましょう。
たとえば、「以前から〇〇様のことを存じ上げております。」や「〇〇の奥様(または旦那様)と存じ上げております。」などのように表現できます。
どちらの文章も「人」に対して「知っている」ということを表しています。このように、「何かを知っている」ということを言いたいときは「存じ上げております」を使いましょう。
ただし、「存じ上げている」は物や出来事には使えませんので、注意してください。
3:お願いをする際気遣いを表すために使う
相手にお願いをする際、気遣いを表すための表現として「~とは存じますが」というものがあります。「~とは存じますが」は「~と思いますが」を意味しています。
たとえば、「お忙しいとは存じますが、資料に目を通していただくようお願いいたします。」という文章は、相手が忙しいことを承知した上で、あえてお願いする場合に使用される表現です。
このように、相手に対して配慮する文章を一つ入れることで、相手を気遣いつつ依頼ができます。また、メールでのやりとりにも使えるため、この用法を覚えておきましょう。
4:相手に許可を求めるときに使う
相手に許可を求めるときに使う表現として、「~されたく存じます」というものがあります。
たとえば、「出張に行くことを許可されたく存じます。」という文章は、「出張に行くことを許可してほしい」というニュアンスになります。
わざわざ許可を取る必要がない場合は使えませんが、どうしても上司や先輩の許可が必要な場合は「~されたく存じます」を使いましょう。
5:自分の気持ちを表すときに使う
感謝の気持ちを表現する場合は、「光栄に存じます」を使いましょう。
たとえば、「このような賞をいただけて、大変光栄に存じます」や「名誉ある役職に任命されて、大変光栄に存じます」といった使い方ができます。
どちらも「嬉しく思っています(感じています)」という意味ですが、口語表現の場合は「光栄です」、メールの場合は「光栄に存じます」と使い分けましょう。
「存じます」の言い換え方法5つ
ここまで、「存じます」の使い方と例文を紹介してきました。
ビジネスシーンでは重要な敬語表現ですが、何度も同じ表現を使っていると違和感を感じ覚えてしまうため、状況に応じて使い分ける必要があります。
ここからは、状況に応じて使い分けられるよう、「存じます」の言い換え表現を紹介します。言い換えを知っておくことで、メールや対面での会話の際に便利に使えるでしょう。
1:心得ております
「心得ております」は、物事をしっかり理解していることを表しています。
また、「把握して引き受ける」という意味もあるため、「この件に関して心得ております」というような使い方ができるでしょう。
言い回しに迷った際の言い換え表現として覚えておくと良いでしょう。
2:承知しております
「承知しております」は、情報やその場の状況を理解しているときに使われる表現です。この他、「承知しました」や「承知いたしました」などが使われることも多いでしょう。
たとえば、「ルール改訂があった旨、承知しております」というように、相手の希望や命令に対して「理解しています」という表現ができます。
メールでも「~の件、承知しました」というように形を変えて使えるため、覚えておきましょう。
3:お察しします
「お察しします」の「察する」には、「相手の状況や気持ちを考える」という意味があります。そのため、何か不幸なことがあった場合に使われることが多いでしょう。
「心中お察しします」や「お気持ちお察しします」などのように表現できます。相手の沈んだ気持ちに寄り添う言い回しのため、覚えておきましょう。
4:であります
「~であります」は、硬い表現のため使われることは少ないでしょう。
たとえば、「私がこのプロジェクトの担当であります」という文章は、セリフのようになってしまうため、相手に固い印象を与えてしまいます。
メールや目上の人に使う際は、文章の流れを考えながら使いましょう。
5:でございます
「でございます」は「思っています」を丁寧に表現するときに使います。
たとえば、「同意見でございます」や「左様でございます」など、相手の意見に同意する場合に使うことで、より丁寧な印象を与えるでしょう。
ただし、多用するとくどい印象を与える可能性もあるため、状況に応じて使い分けてください。
「存じます」を使うときの注意点4つ
ここまで、「存じます」の言い換え方法を紹介してきました。
どの言い換えも敬語表現のため、覚えておくとビジネスシーンに活用できて大変便利でしょう。また、「存じます」も使い勝手がよい表現と言えます。
しかし、使い勝手がよい反面、使い方を誤ってしまうと相手に失礼になったり、逆効果になったりする場合があります。
そのようなことを避けるために、ここでは「存じます」を使うときの注意点を4つ紹介します。
1:使うタイミングや状況を見極める
「存じます」を使うときは、タイミングや状況を見極めましょう。
ビジネスシーンだけではなく日常でも使える言葉ですが、状況によっては相応しくない表現の可能性もあります。使うタイミングが適している場面では、会話やメールがスムーズになるため、見極めが大切と言えます。
2:「存じ上げます」は対象が人であるときだけに使う
「存じ上げます」と「存じます」は、同じ「知っている」という意味ですが、使い方は少し異なります。
「存じ上げます」は「存じます」よりもさらに丁寧な言い方のため、人に対してのみ使える表現で、物事に対して使うことはできません。
たとえば、「資料の内容を存じ上げております」という使い方をしてしまうと、資料(物)に対しての表現になってしまうため誤った表現となります。
物に対して使う場合は、「存じております」としましょう。
3:「所存です」は自分の考えを伝えたいときに使う
「所存です」と「存じます」は、同じ「存」を使っていますが意味は異なります。
たとえば、「日々、精進していく所存です」は「~したいと思っています」という意思や決意を表します。
一方、「~と存じます」は「~を知っています」「~と思っています」という意味で使われることが多く、自分の考えを伝えるときに使える表現のため、目上の人にも使用可能です。
それぞれの意味をしっかりと理解し、混同せずに使えるようにしましょう。
4:使いすぎて不自然にならないように注意する
「存じます」は使い勝手がよい言葉ですが、メールや会話で使いすぎるのはよくありません。何度も「存じます」を使ってしまうと、相手が違和感を覚えたり、文章が不自然になったりするためです。
そのようなことを防ぐため、メールや原稿で「存じます」を使用する場合は、最初から一通り読み返してみましょう。繰り返し使っているときは別の言い回しをしたり、言い換えてみたりするというのも一つの手です。
「存じます」の英語表現を使った例文4つ
ここまで、「存じます」を使うときの注意点を見てきました。
日本語ではさまざまな言い換えができますが、ビジネスメールで英語を使う方もいるでしょう。では、英語で言い換える場合はどのような表現を使えばよいのでしょうか。
英語では謙譲語や尊敬語といった概念はありませんが、場面や使う言葉によってはニュアンスが変わるため、覚えておくとよいでしょう。
1:would like toを使った例文
「would like to」という熟語を使って「存じます」が表現できます。直訳すると「~したいと思う」となり、以下のような英文が作れます。
「I would like to attend the wedding party.」とした場合、「結婚式に出席させていただきたいと存じます。」と訳せます。
また、「I would like to proceed with this manuscript.(こちらの原稿で進めさせていただきたいと存じます。)」というように、同意を表すこともできます。
2:hopeを使った例文
続いて、「hope」を使った表現です。「hope」には「望む」という意味があり、相手に対してお願いをするときや、何かを希望しているときに使われることが多いでしょう。
たとえば、「I hope you understand the current situation.」という文章は「現状を理解していただきたいと存じます」という意味で、「お願い」を表しています。
3:thinkを使った例文
「考える」という意味がある「think」を使ってもさまざまな表現ができます。
たとえば、「I think you are right.」という文章は「あなたが正しいことを知っている」と訳せますが、日本語の「あなたが正しいと存じております」という敬語表現の意味を持たせることができます。
また、「I think you’re busy, but~」という言い方をすると「お忙しいとは存じますが~」という意味になります。
4:honorを使った例文
「名誉を与える」「敬う」という意味がある「honor」を使って丁寧な言い回しをすることもできます。
たとえば、「I am very honored to receive such an award」という文章は、表彰式や授賞式などのスピーチでよく耳にするでしょう。直訳すると「このような賞をいただけて、大変光栄に存じます。」となり、感謝の気持ちを表します。
また、「I am honored to meet you.」もよく使われるフレーズで、相手に対して「お会いできて光栄に存じます」と言う際に使います。
とても丁寧な表現のため、目上の人や尊敬している人に対して使うとよいでしょう。
存じますの意味や使い方を理解しよう
「存じます」とは、「思います」あるいは「知っています」の謙譲語です。使い勝手がよいため、ビジネスだけではなく、日常でも使えるでしょう。
ただし、目上の人に使う敬語表現であっても、繰り返し使ったり間違った使い方をしてしまったりすると相手に失礼になってしまいます。
意味や正しい使い方を理解して、活用してみましょう。