皆さんは「純文学」と呼ばれる本にどのような印象を抱いていますか?
「難しい」というイメージや、「高尚なもの・理解しがたいもの」という印象がありますよね。
特に、海外の有名な純文学は授業で習うものというイメージから、なかなか手を出せないという方も多いと思います。
今回は、初心者・学生にこそ読んでほしい海外の純文学をご紹介します!
『変身』|カフカ
※引用元:角川文庫公式サイト
あらすじ
ある朝、グレゴール・ザムザが何か気がかりな夢から目を覚ますと、自分が一匹の巨大な虫に変身していることを発見した。
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「不条理文学」の代表者として知られ、世界中で名高いフランツ・カフカの代表作、『変身』。
「不条理文学」と聞くと難しい印象を持たれる方も多いですが、『変身』は本文がとても短い短編作品のため初心者でも挑戦しやすい作品です。
『東京喰種 トーキョーグール』のモチーフにもなっているため、世界観が好きな方にもおすすめです。
- 初出年
- 1915年
- 著者の出身国
- チェコ(当時のオーストリア=ハンガリー帝国領)
『ファウスト』|ゲーテ
※引用元:新潮社公式サイト
あらすじ
理想と現実の乖離に悩むファウストの前に悪魔メフィストフェレスが現れ、この世で面白い人生を送る代わりに、死後その魂を悪魔に渡すという契約を結ぶ。
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世界史や倫理の授業に登場するため、名前だけは耳にしたことがある方も多いと思います。
『ファウスト』は詩という形式をとっており、様々な芸術作品のモチーフになっている作品で、その後の世界文学にも多大なる影響を与えました。
海外の有名な純文学作品を読んでいくうえで、『ファウスト』を読んでいると解釈が容易になるということもあるため、まずはこの本を読んでおくのがおすすめです。
- 初出年
- 1808年(第1部)
- 著者の出身国
- ドイツ
『老人と海』|ヘミングウェイ
※引用元:光文社古典新訳文庫公式サイト
あらすじ
数か月続く不漁のため、周囲からも憐憫の目を向けられている老人サンチャゴ。
独りで舟を出し、やがて巨大なカジキと3日にわたる壮絶な戦いが始まる。
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165頁と短く、2014年に出版されたばかりの新訳のため、純文学とは思えないほど読みやすい作品です。
ヘミングウェイの『老人と海』は、読んでいると海のにおい、老人の生命力、印象に残るカジキとの闘争などが感じられ、読後感の良さで長年愛されてきました。
是非現代の日本語でこの世界的な文学を味わってください。
- 初出年
- 1952年
- 著者の出身国
- アメリカ
『異邦人』|カミュ
※引用元:新潮社公式サイト
あらすじ
通常の常識、倫理観や論理が一切通じない男ムルソーを主人公に、理性や人間の不合理を描き出す。
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新型コロナウイルスが流行し始めた当初、話題となった海外古典文学『ペスト』の著者であるアルベール・カミュの代表作の1つです。
母親が死んだ翌日に海水浴へ行き、女性遊びをして映画に笑い転げ、友人の女性関係に介入して殺人を犯す…。
全く理解できない「異邦人」から、私たち読者はなにを見出すべきでしょうか。
- 初出年
- 1942年
- 著者の出身国
- フランス領アルジェリア
『カラマーゾフの兄弟』|ドストエフスキー
※引用元:光文社古典新訳文庫
あらすじ
年をとっても全く衰えない精力を持つ粗野な父親・フョードル・カラマーゾフのもとに、3人の息子が集う。
父親と次男・ミーチャは女性や遺産について争い、三男・アリョーシャはゾシマ長老に救いを求める。
一方、次男・イワンは…。
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フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーの遺作であり、最高の文学作品にして最高のミステリー小説ともいわれる本作品。
ドストエフスキーの作品のなかでは比較的物語の流れが理解しやすく、入り込みやすい作品のため入門書にもなります。
光文社古典新訳文庫では5巻と少し長めの物語ですが、亀山郁夫の印象的で読みやすい訳のため、是非中学生や高校生など、学生におすすめの作品です。
- 初出年
- 1880年
- 著者の出身国
- ロシア
海外の純文学の深さを味わってみよう!
海外の純文学には、いざ読み始めてみると意外と読みやすく、物語も入り込みやすい、面白い作品が多数あります。
時代を超えて読み続けられる作品の魅力とは何か、是非読んでみてその深みを味わってみてください。