目次[ 表示 ]
- 「思います」の敬語表現ってなに?
- 丁寧語と謙譲語・尊敬語との違い
- 「思います」の謙譲語
- 「思います」の謙譲語「存じます」の使い方
- 「存じ上げております」の場合
- 「存じる」の場合
- 「思います」の尊敬語
- 「思います」の尊敬語の注意点
- 「知っています」の謙譲語は「存じています」
- 丁寧語と尊敬語・謙譲語を組み合わせた例
- 敬語の「思います」の言い換え表現とは
- 使いたい意味によって適切な表現にする
- 「願い」や「判断」の表現に言い換える
- 「思います」をビジネスで使うときに気をつけたいこと
- 類語や言い換え表現を覚えておく
- 「〜したいと思います」はマイナス印象
- 「思います」の敬語での参考例
- 「思います」を英語で表現した参考例
- 肯定している参考例
- 否定している参考例
- 「思います」の使い方を正しく理解して使おう!
「思います」の敬語表現ってなに?
敬語での会話において「思います」を使っている方も多いでしょう。「思います」は、「思う」に「ます」をつけた丁寧語です。
「思います」の敬語表現には、尊敬語である「お思いになる、思われる」と、謙譲語にあたる「存じます」もあります。
「思います」も敬語表現の一種のためよく使われますが、取引先やお客様など、より丁寧に接したい相手には謙譲語で接することで、かしこまった印象を与えることができます。
丁寧語と謙譲語・尊敬語との違い
敬語には丁寧語と謙譲語、尊敬語の3種類があり、それぞれ違いがあります。特に日常で使う機会が多いのは丁寧語でしょう。敬語にしたい言葉の語尾を「です・ます」に変えることで、自分から相手への敬意を直接表すのが丁寧語です。
それに対し謙譲語は、自分の立場を下げることで相手への敬意を表します。尊敬語は、相手側を立てることで敬意を示す表現です。自分がへりくだるのか、相手を敬って立てるかの違いがあります。
「思います」の謙譲語
「思う」の丁寧語である「思います」は、「思う」に「ます」をつけた敬語表現です。「思う」という動詞自体は変わりません。
それに対し、「思います」を謙譲語でいう場合は、「存じます」や「所存です」になります。このように敬語表現では、言葉自体が全く別のものに変わることがあります。そのため、言葉ごとにTPOに応じた敬語表現を覚えておく必要があるでしょう。
「思います」の謙譲語「存じます」の使い方
それでは「思います」の謙譲語である「存じます」は、どういったシチュエーションで、どのように使うのが正しいのでしょうか。
ここで最初に注意点があります。「存じます」は「思います」の謙譲語であるとともに、「知っている」という言葉の謙譲語でもあります。
「皆さんよくご存じの~」などの表現がありますが、これは「知っている」立場である「皆さん」、つまり相手の立場を立てて敬った尊敬語の表現になります。
「存じ上げております」の場合
「存じ上げております」は「思っている」の謙譲語です。しかし、これは会話の中で使うには少々かしこまりすぎて堅苦しい表現です。
「知っている」の謙譲語としての使用頻度の方が高く、馴染みがあるでしょう。注意すべき点は、使う際は「知っている」対象が「人」に限られることです。
「上げる」には自らがへりくだることで、相手の立場を上げ、敬う意味合いがあります。敬意を表すべき「人」に対して使うと覚えておきましょう。
「存じる」の場合
例えば「大変うれしく存じます」などは、「存じる」を「思います」の意味で使う場合の、わかりやすい例です。
また、「存じる」を「~を知っている」の意味で使う場合、目的語にあたる「~」の部分は「人」以外の物や場所にする必要があります。
・物や場所を知っているときには「存じる」
・「人」を知っているという場合には「存じ上げる」
と、なにを知っているのかによって使い分けるようにしましょう。
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「思います」の尊敬語
「思います」の尊敬語は、「お思いになる」または「思われる」です。例えば、「~様がお思いになることを是非お聞かせください」などのように使用します。この場合は「思う」という行動の主語である「~様」を敬うための敬語表現となっています。
また、「お思いになる」「思われる」は全く同じ意味で、どちらを使用しても基本的に問題ありません。会話の流れや文脈に応じて、使いやすい方を選びましょう。
「思います」の尊敬語の注意点
「お思いになられる」という表現は、一見より丁寧な感じもしますが敬語の用法としては誤りです。
「思います」の尊敬語が「お思いになる」と「思われる」であると前述しました。「お思いになられる」には同じ文章中に2回、同じ意味の尊敬語、敬語表現が出てきます。これは「二重敬語」とされ、現代の文法では誤りになります。
丁寧にしようと思うあまりに、敬語を重ねると起こりやすい間違いのため、気を付けましょう。
「知っています」の謙譲語は「存じています」
「知っています」を謙譲語にすると「存じています」です。たとえば「~をご存じでしょうか」と聞かれ、知っている場合には「はい、存じています」と答える形で使うことができます。
ただし、「~さんをご存じでしょうか」など「知っている」対象が人の場合には「存じ上げております」となります。少し異なる表現になるため、注意が必要です。
「存じています」は、物や場所、サービスなどについて知っているときに使える表現になります。
丁寧語と尊敬語・謙譲語を組み合わせた例
尊敬語や謙譲語は、よく丁寧語と組み合わせて使われます。以下に2種類の組み合わせの例を挙げます。
・尊敬語「お思いになる」「思われる」に丁寧語を合わせると、「お思いになります」「思われます」
・謙譲語「存じる、所存」も同様に、「存じます、所存です」
このように尊敬語、謙譲語に「です・ます」の丁寧語を合わせて使うことで、さらに丁寧な敬語の表現が可能となります。
敬語の「思います」の言い換え表現とは
「思います」を会話で使いすぎると、表現に変化がなく不自然になってしまうことがあります。会話だけでなくメールなどの文章でも、同じ語尾の繰り返しは相手が読んでいて違和感を覚えたり、頼りない印象を持つことが多いでしょう。
そのようなときは「思います」を他の言葉で言い換えることで、文章にリズムをつけたり、より丁寧な表現に近づけることもできます。
ここでは、「思います」を他の表現に言い換える際のポイントについて解説します。
使いたい意味によって適切な表現にする
カジュアルな場面では、「思います」は感想を述べる意味合いで使われることが多いでしょう。つまり、「そう思います」は「そう感じます」とも言い換えられます。
「感想」以外にも、自分が物事をどう捉えているのかを述べる際に「思っております」と言うことがあります。これも「理解しております」「認識しております」と言い換えると、より誠実でフォーマルな印象になるでしょう。
「願い」や「判断」の表現に言い換える
「思います」は日本人の私たちは無意識に使っていますが「願い」や「判断」の意味合いを持つことがあります。
わかりやすくするために過去形で例を挙げましょう。例えば、「そうした方が良いと思いました」の「思った」は、「判断した」の意味合いです。つまり「判断いたしました」と言い換えることも可能です。
同様に、「あなたのことを思って」などは相手の身を案じ、幸せを「願って」いる表現に言い換えることができます。
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「思います」をビジネスで使うときに気をつけたいこと
明確な意思表示をしたり自分の意見をはっきり述べることは、社会人としてとても大切です。「思います」は意見を述べる言葉として普段から多くの方に馴染みのある言葉でしょう。しかし、ビジネスの場面で多用するのは考えものです。
ここでは「思います」をビジネスで使う際に気をつけたいことを挙げていきますので、参考にしてみてください。
類語や言い換え表現を覚えておく
「思います」は、謙譲語の「存じます」に言い換えられると先に述べました。様々な相手や場面に対応するには、他にも表現のバリエーションが欲しいところです。
「思います」ばかりで単調な印象を与えないためにも、以下のような類義語、言い換え表現を覚えておくと役立つでしょう。
・考えます
・感じます
・印象を受けます
・想像できます
上記は一例ですが、相手の立場や会話の流れ、メールであれば文脈に合った言い換え表現を選びましょう。
「〜したいと思います」はマイナス印象
「~したいと思います」はビジネスの場面で使うと、少し頼りない印象を与えてしまいます。たとえ100%に近い確率で「~する」つもりで言ったとしても、「~したいと思っているが、しない可能性もある」ともとれるためです。
思っているだけではないと伝えるには、「~します」のような断定表現も意識して使用することが大切です。取引先や上司にも、実際に行動に移す心意気が伝わり、安心感や信頼感を持ってもらえるでしょう。
「思います」の敬語での参考例
それでは、ここで「思います」の敬語での使用方法の参考例を挙げていきます。
「どのように思われますか」
「ご連絡をいただき、大変うれしく思っております」
「お忙しいかと存じますが、ご回答いただけますと幸いです」
「こちらがよろしいかと存じます」
「ぜひ、そうさせていただきたく存じます」
謙譲語「存じます」はビジネスシーンでの使用頻度も高いため、丁寧語・尊敬語と合わせて把握しておきましょう。
「思います」を英語で表現した参考例
日本語では「思います」と一口に言っても、英語では"I think~"以外にも表現があります。
・believe(根拠や自信がある)
・suppose(想定、ややフォーマル)
・guess(根拠はないが推測)
など、状況により使用する動詞自体が異なります。ここでは"I think~"の「思います」を主な例として取り上げ、肯定の表現と否定の表現を紹介していきます。
肯定している参考例
"I think ~"で「~と思います」なので、たとえば"I think it’s a great idea."で「それは素晴らしい考えだと思います」になります。「~」にポジティブな意味の肯定文を持ってくることで、相手を肯定する際に使えます。
thinkが7割ほどの確信や根拠、supposeは約5割から約8割の確信がある場合に使えます。supposeはthinkよりは控えめ、かつ丁寧な印象を与えるため、覚えておくと良いでしょう。
否定している参考例
"I don’t think~"で「~とは思いません」という否定する表現になります。たとえば"I don’t think it’s a great idea."「それは素晴らしい考えだとは思いません」のように使用します。
日本語では「~でないと思います」の言い方は一般的ですが、"I think it’s not a great idea."は英語では不自然な言い回しです。ネイティブは使わない表現のため、避けた方が良いでしょう。
こちらではビジネス英語のおすすめ定番フレーズ75選!シーン別に例も合わせてご紹介しています。
ぜひ定番のフレーズを覚えてみて下さい!
ビジネス英語のおすすめ定番フレーズ75選!シーン別に例も合わせてご紹介!
「思います」の使い方を正しく理解して使おう!
正しく丁寧な言葉遣いができる人に、悪い印象を持つ人はいません。誰しも、大切に接してもらえていると感じて信頼感を持つものです。
正しい敬語表現がすんなり使えるようになるには、丁寧語、尊敬語、謙譲語の違いを認識し、実践する必要があります。
日頃から文章で書いたり声に出して読むなど、使う練習をしておくことで、いざというときに自信を持って相手に接することができるでしょう。