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【2023最新】中学生・高校生におすすめ短編小説30選!ミステリー・ほっこり・文豪の名作など

ミステリー短編中学生高校生小説おすすめ

2023/09/04

小説を読もうと思っても、まとまった時間が取れなかったり、長編に挑戦する勇気が出なかったりしてなかなか踏み出せない、ということはありませんか?

そんな方におすすめなのが、短編小説です。

短い時間でサクサク読めて、長編と変わらない感動を与えてくれる短編小説。

今回はジャンル別に名作短編小説をご紹介します!

目次[ 表示 ]

【ミステリー編】中学生・高校生におすすめ短編小説10選

『空飛ぶ馬』/北村薫

※引用元:Amazon

あらすじ

文学部の女子大生の主人公、「私」はある日、大学の教授の勧めでOBである落語家・円紫さんと出会う。

円紫さんへの取材の後、教授は幼いころの不思議な体験について語る。

「私」は、すぐに謎が解けたという円紫さんに助言を受けながらも1歩1歩真相へと近づく…。

大人気シリーズ「円紫さんと私」シリーズ第1作目

北村薫のデビュー作となる本作『空飛ぶ馬』は、大学生の「私」が憧れの落語家の円紫さんにヒントを貰いながら、日常に潜む謎を解いていく短編連載シリーズ「円紫さんと私」シリーズの第1作目の作品です。

デビュー当時覆面作家だった北村薫ですが、本シリーズの主人公「私」の心理描写があまりにもリアルに女子大生の心を描写していたため、女子大生作家だと推測されていました。

1話完結型の短編連載のため読みやすく、シリーズものの醍醐味である登場人物の成長も味わえるため、短編と長編の良いとこどりができます。

日常の謎〉系ミステリー好き必見のシリーズに是非挑戦してみてください。

著者
北村薫
出版社
東京創元社
ページ数
357頁
価格(税込)
792円

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』/青柳碧人

※引用元:Amazon

あらすじ

誰もが知っている「日本昔話」を、密室やアリバイ、クローズドサークルなどミステリーのテーマを用いて解釈する、全く新しいミステリー。

「日本昔話」で殺人事件が⁉

日本人なら誰もが知っているような、「浦島太郎」や「鶴の恩返し」、「桃太郎」といった「日本昔話」の世界を舞台に殺人事件が起きるバカミス『むかしむかしあるところに、死体がありました。』

その人気故にシリーズ化しており、現在ではシリーズ続編『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』、『むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし』が発行されています。

1話完結型の短編ミステリーで、それぞれ「アリバイトリック」や「ダイイングメッセージ」、「密室トリック」など、ミステリーあるあるのトリックが用いられています。

バカミスながら、ミステリー小説の主要なトリックを網羅する「昔ばなし」シリーズを是非手に取ってみて下さい。

著者
青柳碧人
出版社
双葉社
ページ数
243頁
価格(税込)
704円

『5分後に意外な結末』/桃戸ハル

※引用元:Amazon

あらすじ

笑いあり、涙ありの5分間のドラマ…そして最後にやってくる、「騙された!」という快感。

どこから読んでも楽しめる、ちょっとした読書に最適なショート・ショート集。

SNS感覚で読める!隙間時間向けショート・ショート集

「5分後に意外な結末」シリーズは、ホラーやコメディ、ミステリーなど様々なジャンルのどんでん返しストーリーを詰め込んだショート・ショート集で、シリーズ累計440万部を売り上げた人気シリーズです。

その名の通り、短い時間でサクッとどんでん返しの快感が味わえるため、SNS感覚で読書ができ、活字が苦手な方でも読むことができます。

電車の待ち時間や、授業の合間など、ちょっとした隙間時間に是非読書の面白さを味わってみてください。

著者
桃戸ハル
出版社
講談社
ページ数
240頁
価格(税込)
671円

『D坂の殺人事件』/江戸川乱歩

※引用元:Amazon

あらすじ

「私」は東京のD坂にある喫茶店で、明智小五郎という妙な男と話していた。

そのとき、向かいの古本屋で店主の妻が首を絞められて死んでいるのが発見された。

着物の柄など、様々な状況証拠から「私」は明智が犯人ではないかと疑うのだが…。

江戸川乱歩の代表作を詰め込んだ傑作ミステリー短編集

日本で一番有名なミステリー作家・江戸川乱歩

様々な傑作ミステリー小説を世に遺しただけでなく、星新一など当時まだ無名だった新進気鋭の作家を発掘して世に出したり、海外の名作ミステリー小説を日本に持ち込んだり、日本の文学界に欠かせない人物です。

そんな彼の代表作が、「D坂の殺人事件」。

『名探偵コナン』に登場する毛利小五郎のモデルともなった名探偵・明智小五郎のデビュー作となる本作は、まさに王道、名作といった言葉が当てはまる傑作ミステリーです。

デビュー作の「二銭銅貨」も収録されており、江戸川乱歩入門にもってこいのラインナップとなっています。

著者
江戸川乱歩
出版社
KADOKAWA
ページ数
349頁
価格(税込)
660円

『蝶々殺人事件』/金田一耕助

※引用元:Amazon

あらすじ

大阪公演前に突如として姿を消した、「原さくら歌劇団」の主宰者・原さくらが、バラと砂とともにコントラバスのケースの中から発見された!

数多くの艶文をまきちらしたプリマドンナは、なぜ・どのように殺されたのだろうか…。

金田一耕助を生み出したミステリーの巨匠の、もう一人の名探偵

江戸川乱歩と並ぶミステリー小説界の巨匠、横溝正史が生み出した名探偵・由利麟太郎が活躍する本作『蝶々殺人事件』。

横溝正史といえば、数々の作品にオマージュされている名探偵・金田一耕助が有名ですが、由利先生も金田一耕助に負けず劣らずキャラの立った名探偵です。

そんな由利先生の代表作『蝶々殺人事件』では行方不明となったスキャンダラスな女優・原さくらが何故かコントラバスのケースから死体となって発見される、という謎を由利先生が鮮やかに解決します。

生きざまも、死に方もドラマティックだった女優の生涯に隠された秘密とは…?

表題作「蝶々殺人事件」は長編ですが、一緒に収録されている「蜘蛛と百合」や「薔薇と鬱金香」は短編のため、気軽に横溝正史ワールドに挑戦できます。

著者
横溝正史
出版社
KADOKAWA
ページ数
448頁
価格(税込)
860円

『夜届く (猫丸先輩の推測)』/倉知淳

※引用元:Amazon

あらすじ

夜、決まった時間に届く差出人不明の電報。

続けて届く奇妙な電報にへとへとになった「僕」は、定職につかずふらふらしているものの、頭の回転だけはピカイチの先輩・猫丸に相談する。

謎の名探偵・猫丸

ほのぼのユニークなミステリーを収録した短編集『夜届く』。

探偵役は「猫丸先輩シリーズ」でおなじみ、猫丸先輩です。

小柄な体を黒いだぶだぶの服に包み、丸い猫のような瞳を輝かせた伝説の奇人ですが、ユニークな着眼点と、煌めく発想力で華麗に事件の謎を解明します。

「猫丸先輩シリーズ」は表紙も可愛く、本棚に飾りたくなりますが、内容も多くのミステリファンが太鼓判を押すほど面白い物語です。

短編が気に入った方は、是非猫丸先輩のデビュー作『日曜の夜は出たくない』からシリーズを読み通してください。

著者
倉知淳
出版社
東京創元社
ページ数
400頁
価格(税込)
860円

『シャーロックホームズの冒険』/コナン・ドイル

※引用元:Amazon

あらすじ

「赤髪組合員募集」。

この奇妙な新聞記事を持参した依頼人の話は、実に奇妙なものだった。

しかし、一見奇妙なだけのこの事件にかの名探偵シャーロック・ホームズはいたく気に入ったらしく、我々は調査に乗り出す。

ミステリー小説を読むなら、「シャーロックホームズ」シリーズを欠かさずに。

世界で最も高名な名探偵シャーロック・ホームズ

世界中に「シャーロキアン」と呼ばれる熱狂的なファンを持つ彼が活躍するシリーズを収録した本作『シャーロックホームズの冒険』は、「赤髪組合」や「まだらの紐」など、多くの有名作品が収録されてる、入門書におすすめの作品集です。

ミステリー小説を読むのであれば、「シャーロックホームズ」シリーズを通らずに済ますわけにはいきません。

短い作品ばかりでサクサク読めるため、是非世界一の名探偵と出会ってみて下さい。

著者
コナン・ドイル著/延原謙訳
出版社
新潮社
ページ数
472頁
価格(税込)
605円

『長い長い殺人』/宮部みゆき

※引用元:Amazon

あらすじ

ある轢き逃げ事件を調査していた刑事は、夫を轢き殺した犯人について一切聞いてこない被害者の妻に不信感を抱く。

被害者には8千万円の生命保険がかけられていたことが判明するが、妻のアリバイは完璧で…。

10の「財布」によって導き出される事件の真相

人気作家・宮部みゆきの筆力が余すことなく発揮された傑作ミステリー『長い長い殺人』。

事件に巻き込まれた10人が持つ「財布」の視点から、徐々に事件の全容が明らかになっていくという新感覚ミステリーで、個性ある「財布」の語り口に引き込まれていきます。

連作短編のため、物語ごとにサクサク味わうこともでき、また長編並みのミステリーを楽しむこともできます。

「語り手が財布」という面白さが味わえるのは、本作『長い長い殺人』だけです。

是非、財布の声を聞いてみませんか?

著者
宮部みゆき
出版社
光文社
ページ数
398頁
価格(税込)
734円

『ロシア紅茶の謎』/有栖川有栖

※引用元:Amazon

あらすじ

中毒死した作家の紅茶から、青酸カリが検出された。

何故作家のカップに猛毒が混入していたのだろうか。

有栖川有栖の人気シリーズ〈国名シリーズ〉第1弾

ミステリーの巨匠有栖川有栖の作品群の中でも人気の高いシリーズ・〈国名シリーズ〉の第1作目となる本作『ロシア紅茶の謎』は、本格派に分類されるミステリーで、短編ながらもアッと驚くようなトリックで読者を楽しませてくれます。

探偵役は犯罪臨床学者の火村英生と、ミステリー作家の有栖川有栖。

様々な作品に自分と同名の探偵役を登場させる有栖川有栖は、「読者への挑戦状」を叩きつけることができるほど作中に綿密な伏線を仕込んでおり、本格派ミステリーファンから根強い人気を集めてきました。

本作に収録されている短編「八角形の罠」にも「読者への挑戦状」が含まれているため、是非犯人やトリックを推理してみてください。

著者
有栖川有栖
出版社
講談社
ページ数
289頁
価格(税込)
640円

『検察側の証人』/アガサ・クリスティ

※引用元:Amazon

あらすじ

金持ちのオールドミスを殺害した容疑で逮捕された青年レナード。

状況証拠もそろっているため、青年は明らかに不利な立場に立たされていた。

そんな折、さらに彼の犯行を裏付ける証言が、なんと青年の妻の口から飛び出てきた…。

ミステリー界の歴史に残る衝撃トリック

『オリエント急行の殺人』や『そして誰もいなくなった』など、世界のミステリーを代表する名作の数々を遺したアガサ・クリスティーの作品のなかでも、特に人気の高い短編『検察側の証人』。

その衝撃的な結末に影響を受けたミステリー作家は数知れず。様々なオマージュ作品が生み出されています。

なぜ、擁護するはずの妻が夫を告発するのか?

劇的に展開する裁判を、被告人の弁護士視点で描いた傑作ミステリーです。

著者
アガサ・クリスティー著/加藤恭平訳
出版社
早川書房
ページ数
181頁
価格(税込)
924円

【温かい物語編】中学生・高校生におすすめ短編小説10選

『紙の動物園』/ケン・リュウ

※引用元:Amazon

あらすじ

アメリカ人の父に、「カタログ」で選ばれ結婚した中国人の母。

母が包装紙でつくった折り紙に息を吹き込むと、紙の動物たちに命が宿る。

ピースの又吉直樹氏も絶賛!新進気鋭のSF作家

又吉直樹氏がテレビで紹介したことをきっかけに、一躍話題となった中国出身のアメリカの実業家兼作家ケン・リュウ

本作『紙の動物園』には、彼の作品のなかでも特にファンタジー色の強い短編が7編収録されています。

なかでも表題作は人種差別に直面した家族の愛が描かれており、短いのに号泣必至の心温まる作品です。

故郷で親を虐殺され、人身売買の犠牲となり、アメリカ人に嘘ばかりの「カタログ」で選ばれ、祖国を去らなければならなくなった母親と、片親が中国人であることから白い目で見られ、自分の中の「中国人」を排除することに必死の息子。

母親の死に際も就職活動のことしか考えなかった青年が、母親からの手紙から見つけたものとは。

是非、温かい母親の愛に涙してください。

著者
ケン・リュウ著/古沢嘉通訳
出版社
早川書房
ページ数
263頁
価格(税込)
946円

『これはペンです』/円城塔

※引用元:Amazon

あらすじ

叔父は文字だ。文字通り。

文字を刻んだ磁石や、タイプポータル、果てにはDNA配列まで…。

様々な形式で届く、叔父からの不思議な手紙。

主人公のもとに届く、様々な「文字」

文章自動生成プログラムや、架空の大学の学位論文まで、世の中のアカデミックな文章を嘲笑するようなものを次々と開発し、最早その存在すら謎となった主人公の叔父。

主人公にとって、そんな叔父はときどき届く手紙のなかの「文字」であり、主人公は大学でその「文字」を解読するため、研究に励む。

叔父から送られてきたDNA配列は誰のものなのか?

広義の「文字」によって繋がる、叔父と姪の不思議な物語です。

あなたも「文字」の魅力に溺れてみませんか?

著者
円城塔
出版社
新潮社
ページ数
153頁
価格(税込)
539円

ときどき旅に出るカフェ』/近藤史恵

※引用元:Amazon

あらすじ

奈良瑛子が、近所にある「カフェ・ルーズ」という小さな喫茶店へ入ると、そこを切り盛りしていたのはかつての同僚・葛井円だった。

海外の珍しいメニューを提供する素敵なカフェで、世界の食べ物たちをカギとして日常の小さな事件の謎が解き明かされていく…。

食欲が刺激される「おいしい」連作短編集

オーナーが月の初めに旅をして、そこで食べた味を再現して提供する「旅に出るカフェ」。

ある悩みを抱えた主人公は、この喫茶店と出会い、世界の珍しい料理や喫茶店の雰囲気に惹かれ、足繫く通います。

女性ならではの悩みや苦悩を美味しい料理で解してくれる本作は、世界の様々な料理が登場し、美味しそうな描写に食欲が刺激されると同時に、旅の非日常感を味わわせてせてくれます。

短い物語で読みやすく、心を温めてくれるため、読書に慣れていない方にもおすすめです。

世界の美味しい料理で、心を満たしてみませんか?

著者
近藤史恵
出版社
双葉社
ページ数
296円
価格(税込)
693円

『えどさがし』/畠中恵

※引用元:Amazon

あらすじ

江戸時代から暫く時が経ち、明治時代。

妖たちは、若だんなの生まれ変わりを探し続けていた。

優しく聡明な若だんなと、妖たちの心温まる交流

本作は、畠中恵の人気時代小説シリーズ「しゃばけ」シリーズの外伝となる短編集で、5つの物語が収録されています。

江戸でも有数の貿易商である長崎屋の病弱な若だんな。

大妖の血を引くがゆえに妖を見ることができるという秘密を抱えた彼のもとには、人知を超えた存在や江戸に住む人々が引き起こした様々な事件が舞い込んできます。

小鬼の姿をした鳴家や、猫又のおしろ、貧乏神の金次など、個性豊かな妖たちが江戸の平穏と若だんなの健康のため、若だんなの推理をもとに、力を合わせて事件を解決する姿にほっこりする、温かいシリーズもの小説です。

『えどさがし』は番外編のため妖怪たちが主役となりますが、1話完結型でシリーズのどこからでも読めるため、長編から入るのに抵抗を感じる方は是非本作からシリーズに挑戦してみてください。

著者
畠中恵
出版社
新潮社
ページ数
329頁
価格(税込)
649円

『四畳半神話大系』/森見登美彦

※引用元:Amazon

あらすじ

さえないキャンパスライフを送っている大学3回生の「私」は、理想と程遠い現実に嫌気がさし、いっそのことぴかぴかの1回生に戻って大学生活をリスタートさせたいと思うようになった。

平行世界で1回生の「私」は様々なサークルに入り、大学生活を変えていく。

冴えない大学生活を変えろ!

独特な語り口と世界観で日本中の中学生・高校生を虜にしてきた森見登美彦。

本作『四畳半神話大系』では、ロマンティックな夢を捨てきれない京大生が1回生でどのサークルを選んだかということによってキャンパスライフを変えていこうともがきます。

4つの短編に分かれており、一気に読んでも、1話ずつ読んでも、青春のほろ苦さを味わうことができます。

非常にリアルな大学生の生活や友人関係が活写されており、現役大学生は勿論のこと、まだ見ぬ大学生活に想いを馳せている中学生・高校生の方にもおすすめです。

憧れの大学生活を夢見た主人公は、彼の未来を変えることができるのでしょうか?

「あの時ああしていれば」という、誰もが抱く後悔を描いた胸に刺さる作品です。

著者
森見登美彦
出版社
KADOKAWA
ページ数
405頁
価格(税込)
680円

『きみはポラリス』/三浦しをん

※引用元:Amazon

あらすじ

どうして恋に落ちたとき、ひとはそれを恋だとちゃんと把握できるのだろう。

この地球上に、どれひとつとして同じ恋は存在しない。

しかし、ひとは生まれながらに恋を知っている。

三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…。カタチに囚われない、ただひとつの特別な光。

あなたの「恋」はどんな光ですか?

すべての恋愛は、普通じゃない」と説く、三浦しをんの恋愛小説集『きみはポラリス』。

三浦しをんはそのエッセイ『好きになってしまいました。』で、どんなに用心していても恋に落ちるときは一瞬であり、好きになったら一生好きでい続けると、自らの「好き」について語ると同時に、それまで触れあってきた様々な「好き」のカタチも肯定しています。

そんな著者の「好き」観を詰め込んだような本作には、キラキラしたものから理解不能なものまで、他者の恋愛観を覗くことができるような11の短編が収録されています。

恋愛に決まったカタチは存在せず、一口に「恋」と言っても人によってその意味は様々です。

誰かを大切に想うとき、光り輝く11の「恋」を紐解いてみませんか?

著者
三浦しをん
出版社
新潮社
ページ数
400頁
価格(税込)
825円

『たんぽぽ娘』/ロバート・F・ヤング

※引用元:Amazon

あらすじ

たんぽぽ色の髪が風に舞う、未来から来た女に会った。

「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」……。

人気シリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖』にも登場した傑作SF短編小説

「ビブリア古書堂」の店主が並大抵ではない古書の知識を用いて様々な古書にまつわる謎と秘密を解き明かしていく人気シリーズ、「ビブリア古書堂の事件手帖」にも登場した本作『たんぽぽ娘』。

SF小説ですがディストピアなどSF特有の暗さはなく、おとぎ話のような世界で展開されるストーリーが美しく、甘い雰囲気を醸し出しています。

邦訳も主人公の繊細な心理が損なわれないように丁寧に訳出されており、翻訳小説の中では比較的読みやすい文章です。

是非、SF短編小説の名作を味わってみてください。

著者
ロバート・F・ヤング著/伊藤典夫訳
出版社
河出書房新社
ページ数
400頁
価格(税込)
1,276円

『猫のお告げは樹の下で』/青山美智子

※引用元:Amazon

あらすじ

思い悩む人々がふと立ち寄った神社では、お尻に星のマークがついた猫ミクジに導かれ、お告げが書かれたタラヨウの葉っぱを授かる。

感動連作短編なら青山美智子

感動する短編が読みたい!という方は、是非青山美智子の作品を紐解いてみてください。

『木曜日にはココアを』や『お探し物は図書室まで』など、心温まる、時にはウルっときてしまう青山美智子の短編集。

本作『猫のお告げは樹の下で』では、失恋のショックから立ち直れない女性や、思春期の娘とのコミュニケーション方法が分からない父親など、日常に悩みを抱える人々が猫に導かれ、たった一言のお告げを授かります。

登場人物たちが抱える悩みはどれも身近で、だからこそ身に染みるものばかり。

読んでいると「私のもとにもミクジが現れないかな」と思ってしまう、ほっこりする短編集です。

著者
青山美智子
出版社
宝島社
ページ数
368頁
価格(税込)
770円

『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』/標野凪

※引用元:Amazon

あらすじ

住宅地の奥にひっそりとたたずむ、おひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。

頑張っている毎日からちょっとばかり逃げて、疲れた心と体を店主そろりの料理に、優しくほぐしてもらいましょう。

毎日が頑張りの連続のあなたへ

SNSで流れてくる理想「ていねいな暮らし」や、辛い仕事に振り回されてばかりで、自分を労わることを忘れてしまったお客さんたちの心を癒す料理を提供するおひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」

頑張っている毎日に、ちょっとした逃げ場を提供してくれます。

表紙からほっこりさせてくれるこの短編集は現在2巻出版されており、あたたかな色の表紙に色鉛筆長のケーキやパンが描かれている表紙は、本屋に並んでいるとついつい手に取ってしまうほど、優しさに溢れています。

持っているだけでも心を癒してくれそうな本作ですが、是非内容も楽しんでください。

きっと、毎日頑張っているあなたの心をほんの少し解きほぐしてくれるでしょう。

著者
標野凪
出版社
双葉社
ページ数
240頁
価格(税込)
630円

『まずはこれ食べて』/原田ひ香

※引用元:Amazon

あらすじ

多忙なベンチャー企業の社内は散らかり放題。社員も不規則な生活で食事は疎かになり、会社の雰囲気は殺伐としている。

そんな状況を改善しようとした社長は、会社に家政婦を雇う。

家政婦の筧みのりは無愛想だが、いつも心がほっとするご飯を作ってくれる。

空腹にご注意を。絶品オフィスご飯

『三千円の使い方』や『ランチ酒』で一躍話題となった作家・原田ひ香の「美味しい」連作短編集『まずはこれ食べて』。

コンビニ飯や不規則な生活で身も心も荒んだ会社員たちが、無愛想な家政婦の作る温かいご飯に癒されていきます。

YouTubeなどに「再現メニュー」が掲載されるほど美味しそうなご飯が活写される原田ひ香の作品の中でも、特に美味しそうな作品です。

身近な食材を手間暇かけて丁寧に調理した料理程人生を温めてくれるものはありません。

是非、丁寧な食事を味わってみてください。

著者
原田ひ香
出版社
双葉社
ページ数
328頁
価格(税込)
803円

【文豪編】中学生・高校生におすすめ短編小説10選

『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』/国木田独歩

※引用元:Amazon

あらすじ

理想と現実の乖離に苦しむ独歩が、その人生観を振り返る。(牛肉と馬鈴薯)

意外と知られてない⁉明治を生きた文豪

明治時代の文豪と聞いて思い浮かぶのは、やはり森鴎外や夏目漱石でしょうか。

しかし、国木田独歩(くにきだどっぽ)もそんな彼らに負けず劣らず多くの名作を世に遺しています。

本作『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』は、理想主義者である国木田独歩がその理想と挫折を詰め込んだエッセー的短編小説集です。

北海道の雄大な自然や開拓地で生きる力強い人々、そしてキリスト教…。

夏目漱石も讃えた文豪・国木田独歩は何に理想を見出し、そして何に挫折したのか?

中学生・高校生でも読みやすい平易な文章で書かれているため、是非日本近代文学の入り口として手に取ってみてください。

著者
国木田独歩
出版社
新潮社
ページ数
384頁
価格(税込)
605円

『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』/トルストイ

※引用元:Amazon

あらすじ

裁判官として、利口に生きてきたはずのイワン・イリイチは、些細なきっかけで床に臥せり、徐々に死を迎える。

己の「死」と向き合う文学

「人生とはかくあるべきだ」というほど、利口に生きてきた裁判官イワン・イリイチは住居の改装中、はしごから落ちてわき腹を強打したことをきっかけに、不可逆的な「死」へ転落していきます。

印象的なのが、長年連れ添ってきた主人公の妻も含め、家族も同僚も、誰もイワン・イリイチの死にショックを受けず、各々の生活で頭がいっぱいな様子が淡々と描かれている部分です。

官僚として理想的な人生を送ってきたはずの彼の死が、何故誰の心にも強い印象をもたらさないのか?

「大がかりな欺瞞」に気づくと、世界は一変するかもしれません。

著者
トルストイ著/望月哲男訳
出版社
光文社
ページ数
364頁
価格(税込)
770円

『変身』/カフカ

※引用元:Amazon

あらすじ

ある朝、グレゴール・ザムザが何か気がかりな夢から目を覚ますと、自分が一匹の巨大な虫になっているのを発見した。

人間がある日突然「巨大な虫」となる不気味な物語

カフカの代表作、『変身』。

東京喰種』など、様々な作品にオマージュされており、日本人に比較的馴染みやすい海外文学です。

異様な不気味さで世界的に「最高傑作」と評価されてきた本作ですが、その不気味さの原因は主人公が虫になったメカニズムや理由が一切明かされないまま日常生活が進んでいく、という点にあります。

非常に短く、新潮文庫の高橋義孝訳も読みやすいため、中学生・高校生におすすめの名作です。

著者
フランツ・カフカ著/高橋義孝訳
出版社
新潮社
ページ数
121頁
価格(税込)
506円

『異邦人』/カミュ

※引用元:Amazon

あらすじ

母親が死んだという報せを受け、老人ホームへと赴く「私」。

しかし、母親の死体が横たわった棺も、葬儀の際に悲しむ人々も、「私」になんら影響をもたらさない。

葬儀の翌日から海水浴場で女性と遊ぶ「私」は、友人の女性関係に首を突っ込み、友人を付け狙っていた男性を「太陽が眩しいから」という理由で殺してしまう。

死刑判決を受けながら、悔恨も信心も持たない「私」はひとり、幸福を確信する。

通常の倫理が欠けた「異邦人」

カミュの処女作であり、代表作でもある『異邦人』は、通常の倫理や論理を持たない男ムルソーの一人称視点で、母親が死んだ報せを受けてから死刑判決を受け独房で幸福を確信するまでが描かれています。

母親の棺が横たわる部屋で、平気で煙草を吸うムルソーは、人間を撃ち殺したときも、死刑判決を受けた時も何ら感慨を受けません。

挙句、独房を訪ね、回心を促してきた司祭を乱暴に追い返し、人を殺し死刑判決を受けた自分は幸せであり、できるだけ多くの人間の憎悪の声を浴びながら処刑されることを望みます。

ムルソーの裁判の際にも、母親の葬儀の際の行動が問題となりますが、一般の人々にとって彼は「異邦人」であり、理解ができない存在です。

人間社会の歪のような存在である彼は、何を考え、どう行動したのか。

是非、紐解いてみてください。

著者
カミュ著/窪田啓作訳
出版社
新潮社
ページ数
143頁
価格(税込)
605円

『蜘蛛の糸・杜子春』/芥川龍之介

※引用元:楽天ブックス

あらすじ

生前に数々の悪行をはたらき、地獄へ落ちた男のもとに垂らされた、一本の蜘蛛の糸。(蜘蛛の糸)

少年少女向け芥川龍之介

『羅生門』『トロッコ』など、教科書にも掲載されているような数々の名作を世に遺した芥川龍之介。

彼の著作の中で最も有名なもののひとつが、この『蜘蛛の糸』です。

実際に芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を読んだことが無くても、あらすじだけは知っているという方が多いのではないでしょうか。

あまりにも有名すぎて、日本の民話のように思われているこの話ですが、実は元々ロシアの農民に伝わる民話を基にしていると言われています。

ロシア文学と日本文学の感覚は似ているといわれますが、日本の地獄にアレンジした芥川龍之介の筆力は、やはり素晴らしいものです。

子供向けの短い物語で簡単に読めるため、あらすじを知っているという方も、是非全文を読んでみてください。

著者
芥川龍之介
出版社
新潮社
ページ数
128頁
価格(税込)
352頁

『女生徒』/太宰治

※引用元:Amazon

あらすじ

ある女生徒の、ある一日。

太宰治ファンの女生徒から送られてきた日記を基にした作品

太宰治の代表作のひとつでもある本作『女生徒』は、実は太宰治のオリジナル作品ではなく、太宰治のファンであるという女生徒が綴った日記に太宰治が手を加えて作品として完成させた短編小説です。

オリジナルの文章を見てみると、ほとんど女生徒が書いた文章をそのまま採用していることがわかります。

しかし、一部オリジナル部分もあり、女生徒が料理を盛り付ける際の「ろこもこ」など、太宰治特有の言葉選びが楽しめます。

余談ですが、北村薫の人気シリーズ「円紫さんと私」シリーズの最新刊である『太宰治の辞書』はこの『女生徒』を題材として、太宰治がどのように言葉を選んでいたか、ということが解き明かされます。

短編ではありませんが、是非併せてお楽しみください。

著者
太宰治
出版社
KADOKAWA
ページ数
288頁
価格(税込)
484円

『刺青・秘密』/谷崎潤一郎

※引用元:Amazon

あらすじ

肌を刺される痛みにうめく人の姿に得も言われぬ愉悦を感じる刺青師が、光輝ある美女の背中に蜘蛛を彫りおえ、年来の宿願を果たしたとき…。

谷崎潤一郎の世界

『痴人の愛』や『春琴抄』で著名な日本の文豪・谷崎潤一郎といえば、やはり女性崇拝

著者の処女作である『刺青』には、独自の世界観や女性像が鮮明に表現されています。

とても短い作品ですが充分に谷崎潤一郎ワールドを体験できるため、少し長めの『痴人の愛』に挑戦する前に著者の傾向を掴みたいという方におすすめの作品です。

美即ち強さという著者の倒錯した世界観を、是非味わってみてください。

著者
谷崎潤一郎
出版社
新潮社
ページ数
336頁
価格(税込)
649円

『夏の夜の夢・あらし』/シェイクスピア

※引用元:Amazon

あらすじ

森へ入った恋人たちは、妖精たちのいたずらによって惑わされ、喜劇を繰り広げる。

シェイクスピアの喜劇を楽しもう

シェイクスピアといえば、日本で人気が高いのは『ロミオとジュリエット』や『リア王』などの悲劇ですが、喜劇作品も悲劇に負けず劣らず名作揃いです。

特に有名なのが、本作『夏の夜の夢』。

複雑な感情が入り乱れる複数の恋人たちが、王妃と仲違いした妖精王オーベロンが用意した粉により、それぞれ最初に目にしたものに恋してしまい、混乱が生じます。

シェイクスピア作品のなかでも短く、またハッピーエンドのため、入門書としてもおすすめです。

バレエや演劇でも人気の演目の本作は、幻想的な世界観にあなたを誘ってくれるでしょう。

著者
シェイクスピア著/ 福田恒存訳
出版社
新潮社
ページ数
291頁
価格(税込)
539円

『檸檬』梶井基次郎

※引用元:Amazon

あらすじ

病弱な身体を引きずりながら、鬱々とした日々を過ごしてきた「私」は、丸善の本を適当に抜き出し、その上に置いた色鮮やかな檸檬を爆弾に見立てる。

丸善へ行こう!

鬱々とした気分を抱え、色鮮やかな果物、特に檸檬に刺激を受けた「私」は高価なものばかりが並べられた丸善へと赴き、そこに檸檬を置く…。

とても短い作品で、繊細な感受性を持ちながら生涯病魔と闘った著者の世界観が活き活きと描かれている作品です。

また、本作『檸檬』には丸善が登場します。

現在でも本やお洒落な雑貨が並ぶ丸善。度々『檸檬』をテーマとしたイベントやフェアが開催され、『檸檬』モチーフのグッズが販売されています。

是非『檸檬』を読んで、丸善へと足を運んでみてください。

著者
梶井基次郎
出版社
KADOKAWA
ページ数
276頁
価格(税込)
400円

『銀河鉄道の夜』/宮沢賢治

あらすじ

漁に出たまま帰らない父を病弱な母とともに待つジョバンニは、放課後もすぐに働きに出かけた。

クラスメイトはそんな彼をからかったが、カムパネラだけはジョバンニにいつも優しく接してくれた。

銀河祭りの夜、草むらに寝転んで星を眺めていたジョバンニが不思議な声と明るい光に包まれると、銀河鉄道に乗車していた。

中学生・高校生のうちに宮沢賢治を読もう

童話作家・宮沢賢治の代表作である本作『銀河鉄道の夜』。

幻想的な雰囲気を持つ宮沢賢治作品のなかでも特に美しい世界観を持つ作品で、ジョバンニとカムパネラの2人の少年が銀河を旅します。

「誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸せなんだねぇ」と、「幸せ」について語るこの作品は、読者に宮沢賢治なりの「幸せ」について教えてくれます。

「幸せ」について迷ったとき、『銀河鉄道』は必ず貴方に寄り添ってくれるでしょう。

中学生・高校生のころに読む宮沢賢治作品と、大人になってから読むそれは全く違った印象をもたらしてくれます。

是非、中学生・高校生のうちに宮沢賢治作品に触れてみてください。

著者
宮沢賢治
出版社
KADOKAWA
ページ数
264頁
価格(税込)
440円

面白すぎる!名作揃いの短編小説

活字を長時間見続けるのが苦手という方でも、短編小説であれば楽しく読み通すことができます

面白い短編小説の読後感は、長編小説と比較しても遜色ありません。

是非お気に入りの小説を見つけてください。

この記事を書いた人

Yu

千葉県出身の「Yu」です。 5歳のときにはやみねかおるさんに出会って以降、毎年300冊以上の本を読み続けてきました。 好きなジャンルはミステリー・SF・古典など。幅広く読んでおります。 アニメやゲームも好きで、情報は逐一チェックしております。 経験を活かし、皆様のお役に立てるような記事をお届けします!

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