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【2023最新】読書の秋に読みたい本27選|秋の夜長を有意義に過ごそう

実用書読書の秋エッセイ新書小説

2023/09/15

秋といえば、「読書の秋」。

一年の中で夜が一番長いとされる季節を、是非本と共に過ごしませんか?

秋の夜長。普段はなかなか手が出せないシリーズ作品に挑戦してみるのもいいかもしれません。

今回は、「読書の秋」に読みたい本をご紹介します。

目次[ 表示 ]

読書の秋とは?由来や時期

由来

秋は「読書の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」など様々なことに最適の時期とされていますが、そもそも何故秋と読書は相性がいいとされているのでしょうか?

「読書の秋」という言葉の由来は、8世紀の中国の詩人・韓愈の「時秋積雨霽 新涼入郊墟 燈火稍可親 簡編可卷舒」(秋になって長雨が終わって空も晴れ、涼しさが丘陵にもきている。ようやく夜の灯に親しんで、書物を広げられる)というです。

これを、夏目漱石が『三四郎』という作品に引用したことにより、「秋=読書」というイメージが日本中に広まりました。

もともと秋は過ごしやすい季節で、一年の中で夜が一番長いということもあり、「秋は読書の季節」というイメージが定着したのです。

時期

「読書の秋」の具体的な季節は決まっていませんが、秋には「読書週間」が設定されています。

これは、1947年に書店や図書館を中心に「読書の力で平和を築く」という目的で設定されたもので、10月27日〜11月7日がこれにあたります。

1960年に設立された「読書推進運動協議会」により、現在まで続くこの習慣は全国に定着しました。

ただし、「読書週間」は11月3日の「文化の日」に合わせて設定されたもので、「読書の秋」がこの季節に限定されたわけではありません。

是非、秋を通して読書をお楽しみください。

【シリーズ編】読書の秋に読みたい本7選!

『月の影 影の海』(十二国記シリーズ)/小野不由美

※引用元:Amazon

赤みがかった髪から不良と見られないように常に優等生であることを徹底してきた女子高生・陽子は、自分に襲い掛かろうとしている魑魅魍魎が徐々に近づいてくるという夢を連日見続けていた。

夢の中の化け物がいよいよ陽子に迫ろうというある日、ケイキと名乗る金色の長髪を持つ不思議な男性が現れ、陽子を異界へと連れ去る。

アニメ化された大人気シリーズ「十二国記」第1巻

小野不由美による人気ファンタジー小説シリーズ「十二国記」の1巻『月の影 影の海』。

「十二国記」は世界観が作りこまれた壮大な異世界ファンタジー小説で、「生きることの意味」を読者に訴えるシリーズ小説です。

本作の主人公・陽子は高校や家庭という閉鎖空間で必死に「優等生」として生きながらも、突如としてそれまでの常識が一切通用しない異世界へと連れ去られ、生きるために剣をとり人を利用しながら生きなければならないという困難に直面します。

人に騙され、人間不信となった陽子が、生きるために選んだ行動とは。

0巻の『魔性の子』が実質的なシリーズ第1作目にあたりますが、先に0巻を読むか1巻を読むかということによってシリーズ全体の印象が大きく変わります

是非、お好みの順番でお楽しみください。

著者
小野不由美
出版社
新潮社
ページ数
278頁
価格(税込)
649円

『八つ墓村』(金田一耕助ファイル)/横溝正史

※引用元:Amazon

あらすじ

戦国時代、3千両の黄金を携えた8人の武者がある村に落ちのびたが、村人たちは金への欲からこの武者たちを惨殺してしまう。

しかし、その後その村には様々な怪異現象が相次ぎ、村は「八つ墓村」と呼ばれるようになった。

大正×年、落武者襲撃の首謀者の子孫・田治見要蔵が突如発狂し、32人の村人を虐殺するや否や行方不明となる。

その事件から20年、「八つ墓村」の縁者であるとして村から迎えを貰った「私」は、連れたって村へ向かった金田一耕助と共に謎の連続殺人事件に巻き込まれる…。

名探偵・金田一耕助の代表作

もじゃもじゃの蓬髪、皺だらけの羽織によれよれの袴、そして形の崩れた帽子というトレードマークが有名な、日本有数の名探偵・金田一耕助

本陣殺人事件』でデビューした彼の登場する作品は、角川文庫〈金田一耕助ファイル〉に纏められています。

〈金田一耕助ファイル〉は紙の文庫で全18巻。現在では全て1冊に収録された合本版を電子書籍で購入することが可能です。

日本のホラー・サスペンス・ミステリーを代表するような名作揃いの〈金田一耕助ファイル〉。

500人の作家・評論家・愛好家が選んだ歴代ミステリ作品No.1も金田一耕助が登場する『獄門島』です。

是非、日本一のミステリーシリーズをこの機会に紐解いてみてください。

著者
横溝正史
出版社
KADOKAWA
ページ数
512頁
価格(税込)
836円

『空飛ぶ馬』(円紫さんと私シリーズ)/北村薫

※引用元:Amazon

あらすじ

文学部の女子大生の主人公、「私」はある日、大学の教授の勧めでOBである落語家・円紫さんと出会う。

円紫さんへの取材の後、教授は幼いころの不思議な体験について語る。

「私」は、すぐに謎が解けたという円紫さんに助言を受けながら1歩1歩真相へと近づく…。

日常系ミステリーの代表「円紫さんと私」シリーズ

ミステリーの面白さと、小説の面白さが融合したシリーズ、「円紫さんと私」。

ミステリー小説でありながらも、主人公の「私」や、「私」を取り巻く人たちの細やかな心情や、人間特有の動きが活写されています。

シリーズ3作目『秋の花』以外は人が死なず、また物語や人物自体の魅力が詰まった作品のため、普段ミステリー小説を読まない方にもおすすめです。

大学に入学したばかりの初々しい「私」が、尊敬する落語家「円紫さん」と出会ってから人間の醜美入り混じった内面を見るうちに成長していく姿という、シリーズ作品特有の楽しさもあります。

著者
北村薫
出版社
東京創元社
ページ数
357頁
価格(税込)
792円

『幼女戦記 1 Deus lo vult』(幼女戦記)/カルロ・ゼン

※引用元:Amazon

あらすじ

社会の「ルール」を徹底して守り、エリート街道を突き進んでいたサラリーマンはリストラした社員の逆恨みによって駅のホームから突き落とされる。

気が付いた主人公が見たのは、神を自称する「存在X」。

科学技術が発展した平和な国に男性として生まれた以上、神に縋ることはないと主張する主人公に激怒した「存在X」は、魔法が存在する世界大戦直前の軍事国家に主人公を孤児の幼女として転生させた。

神の存在を否定し、市場原理によって生き残るために、ターニャ・デグレチャフとなった主人公は魔導師として軍に志願する…。

TVアニメ2期放映が決定した大人気アニメの原作小説

TVアニメ1期及び劇場版の大ヒットにより、TVアニメ2期の制作が開始された大人気アニメ『幼女戦記』の原作小説の第1巻となる本作『幼女戦記 1 Deus lo vult』。

8月30日に約2年半ぶりの新刊が発売されたばかりの『幼女戦記』は現在全13巻。9月には14巻の発売も予定されています。

ライトノベルで人気の題材「異世界転生」ものの作品ですが、かなり分量が多く、シリーズ全てを読み通すのには時間がかかるため、是非秋の夜長にお楽しみください。

第1次、第2次世界大戦など前世の世界で得た戦争の知識を活用して主人公が無双する「俺TUEEE」系の作品のはずなのに、何故か主人公の成果は空回り、帝国は敗戦へと突き進んでいく…。

著者により、ハッピーエンドが好きな方にはおすすめしないと断言された作品です。

著者
カルロ・ゼン
出版社
KADOKAWA
ページ数
448頁
価格(税込)
1,100円

『ドS刑事 1 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』(ドS刑事) /七尾与史

※引用元:Amazon

あらすじ

浜松中部警察署の巡査である代官山脩介は、何故か警察庁次長の娘である美人刑事・黒井マヤに気に入られてしまい、相棒として共に事件の捜査をすることに。

被害者の属性もバラバラで、何の手掛かりもつかめない連続放火殺人事件の捜査を担当することとなった2人であったが、マヤは死体を前に「萌える」ばかり。

「マヤの推理したことを推理」せよと言われた代官山は、果たして事件の真相にたどり着けるのか?

TVドラマ化された人気ミステリーシリーズ

『死亡フラグが立ちました!』で『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に残った人気ミステリー作家・七尾与史。

代表作である本作『ドS刑事 1 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』も多部未華子さんと大倉忠義さんのW主演で2015年にドラマ化されました。

「死体が見たいから刑事になった」と言う程猟奇趣味で我が侭な黒井マヤは、超絶美人であり、かつ警察庁次長というお偉いさんの娘。さらになんと優秀で事件の真相を悉く見抜いてしまうという。

マヤをグレース・ケリーやオードリー・ヘップバーンだと思って我が侭を全面的に許容しろと言われた相棒・代官山脩介は、事件解決のためにマヤに翻弄される…。

個性豊かなキャラクターたちが魅力的なミステリーシリーズです。

著者
七尾与史
出版社
幻冬舎
ページ数
361頁
価格(税込)
660円

『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』(ビブリア古書堂の事件手帖)/三上延

※引用元:Amazon

あらすじ

大学の卒業を前に就職先が倒産してしまい、無職の状態が続いている五浦大輔は、母に頼まれて自宅にある祖母の遺品『漱石全集』にあった夏目漱石のサインが本物か否かを確かめるため、本の値札に記されていた「ビブリア古書堂」へと赴く。

入院している店主・篠川栞子によってそのサインに隠された秘密を知った大輔は、翌日店主に渡す菓子折りを求めた先で叔母に会ったことで、サインの謎には更に自分に関する重大な秘密が隠されていると確信する。

栞子を見舞う際、大輔がそのことを告げると、栞子は大輔にビブリア古書堂で働かないかと持ちかける…。

本好き必読!「本」の謎を解き明かす人気ミステリーシリーズ

「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズは、2017年に黒木華さんと野村周平さんのW主演で実写ドラマ化されるほど人気を博したミステリー小説シリーズで、古書堂の美人店主・篠原栞子によって古本にまつわる様々な謎が解明されていく、という物語です。

シリーズを通して様々な本が登場し、登場した作品はシリーズのスピンオフ『栞子さんの本棚①〜② ビブリア古書堂セレクトブック』にも収録されています。

本を愛する人たちが、その本への愛ゆえに引き起こす様々な事件…。

読めばもっと本を読みたくなる、本をあまり読まない方にも、本好きの方にもおすすめの作品です。

著者
三上延
出版社
KADOKAWA
ページ数
322頁
価格(税込)
715円

『しゃばけ』(しゃばけシリーズ)/畠中恵

※引用元:Amazon

あらすじ

江戸でも有数の貿易商である長崎屋の病弱な若だんな。

大妖の血を引くがゆえに妖を見ることができるという秘密を抱えた彼のもとには、人知を超えた存在や江戸に住む人々が引き起こした様々な事件が舞い込んでくる。

江戸の人々と妖怪たちの、心温まる愉快な推理帖

江戸の大店の若だんなは病弱でも優しくて聡明。

積極的に活動することができない代わりに、若だんなが暮らす離れにいつも集っている妖怪たちが手となり足となり集めてきてくれた情報をもとに、事件の謎を解明します。

江戸で起こる様々な珍事件を解決する安楽椅子探偵である若だんなと、若だんなを過保護に守る兄やたち、そして様々な妖怪たちがそれぞれ個性豊かに動き回る姿が魅力的。

恋愛・人情・視聴・友情・別離・恐怖…。様々な物語を楽しめるバラエティ豊かな作品です。

現在全22巻。少しでも動くと寝込んでしまう若だんなは、将来長崎屋を継げるような立派な若だんなになれるのでしょうか?

著者
畠中恵
出版社
新潮社
ページ数
342頁
価格(税込)
693円

【小説編】読書の秋に読みたい本11選!

『ライオンのおやつ』/小川糸

※引用元:Amazon

あらすじ

若くして余命宣告を受けた雫は、余生を瀬戸内の島にある「ホスピス」で過ごすことに決める。

ホスピスでは、毎週日曜日に入居者の様々なリクエストに答えたおやつが提供される「おやつの時間」があり、雫もリクエストするよう勧められるが、残された時間で食べたいおやつを選べずにいた。

号泣必至!あなたの人生で心に残った「おやつ」はなんですか?

2020年本屋大賞第2位を受賞した本作『ライオンのおやつ』では、余命宣告された人々がその余生を過ごす「ホスピス」に集った人々の物語が紡がれます。

暖かな日差しが降り注ぐ瀬戸内海の島で、それまで自分の人生に手いっぱいで若くして余命宣告をされたという事実に頭がいっぱいになってしまっていた主人公・雫は、本当にしたかったことや、これまでの人生について考えます。

瀬戸内海に暮らす人々やホスピスの入居者、シスターなどホスピスのスタッフや末期患者の緩和ケアを行う人々、そして愛犬…。

様々な人々に囲まれ、様々な入居者の人生が詰まった「おやつ」を食べた雫が選んだ「おやつ」とは…?

是非、自分だったら何をリクエストするか、と考えながら読んでみてください。

著者
小川糸
出版社
ポプラ社
ページ数
276頁
価格(税込)
792円

『文学部唯野教授』/筒井康隆

※引用元:Amazon

あらすじ

覆面作家として活動しながら、早治大学の文学部教授として教鞭をとる唯野仁。

覆面作家のはずなのに、何故か正体を見破る女学生に、正体を暴こうとしてくるマスコミ。

そして、大学内の熾烈な出世競争…。

大真面目なドタバタギャグコメディ

どこの大学を指しているかが一目でわかるような大学名に、個性が豊かすぎる教授たち。

そして、ふざけすぎているとしか思えない大学内での派閥争いに出世競争…。

しかし、作品内で唯野仁の口から語られる文学理論は大真面目。

真面目に文学論が語られている傍らで、ドタバタギャグコメディが繰り広げられるという、『くたばれPTA』など様々な強烈な作品を世に生みだしている筒井康隆らしい作品です。

長編ですが、テンポよく読めるため秋の夜長におすすめです。

著者
筒井康隆
出版社
岩波書店
ページ数
373頁
価格(税込)
1,320円

『コーヒーと恋愛』/獅子文六

※引用元:Amazon

あらすじ

お茶の間で人気の女優・坂井モエ子43歳は、特別手をかけなくてもピカイチのコーヒーを淹れることができるという才能を持つ。

そのコーヒーにより演劇に情熱を注ぐ年下の貧乏夫ベンちゃんと事実婚をし、仲睦まじく暮らすはずが、突然「生活革命」を宣言した夫は年若い駆け出しの女優のもとへ去ってしまう。

悲嘆にくれるモエ子は、コーヒー愛好家の面々に相談を持ちかけるが…。

喫茶店や家で。ゆっくりコーヒーを片手に読みたくなる小説

本作『コーヒーと恋愛』は、コーヒーが縁を結んだ人々が恋愛関係によってこじれ、ドタバタ劇を繰り広げる、という物語の作品です。

タイトルにもある通り、作品の随所にコーヒーが登場します。

何故かコーヒーを淹れる才能を持つモエ子や、コーヒー愛好家として集う人々、そして「生活革命」を宣言し、他の女性と同棲を始めたにもかかわらずモエ子のコーヒーを呑みに来るベンちゃんなど、登場人物たちは皆とにかくコーヒーが大好き

読んでいるとそのコーヒー愛にあてられ、思わずコーヒーを飲みたくなってきます。

著者
獅子文六
出版社
筑摩書房
ページ数
400頁
価格(税込)
968円

『“少女神”第9号』 /フランチェスカ・リア・ブロック

※引用元:Amazon

あらすじ

「普通」になれない少女たちの、痛々しい内面や強さを描き出した9つの短編小説。

全ての「少女」に捧げる、現代版「ナイン・ストーリーズ」。

全米を虜にしたヤングアダルト描写の名手フランチェスカ・リア・ブロック

本作『“少女神”第9号 』は、幼い少女から、少女から女性へと切り替わる年代の少女たちまで、青春時代特有の痛みや強さを鮮やかに描き出し、アメリカのティーンを虜にしました。

ページをめくると、それぞれの物語ごとに文字の色が変わっているのがわかります。

オレンジなど、文庫小説では通常使われない色で物語が綴られているため、活字が詰め込まれた本が苦手な方も青春の独特な世界に入り込みやすくなっています。

邦訳も青春のみずみずしさが損なわれないように丁寧に訳出されているため、翻訳小説特有の日本語が苦手な方にもおすすめです。

10代〜20代前半の少女たちに向けた物語ですが、大人や男性にも是非読んでほしい作品です。

著者
フランチェスカ・リア・ブロック著/金原瑞人訳
出版社
筑摩書房
ページ数
247頁
価格(税込)
946円

『少女を埋める』/桜庭一樹

※引用元:Amazon

あらすじ

7年ぶりに声を聴く母から告げられたのは、父の危篤。

最期を看取るため、「私」は新型コロナウイルスの流行の中、かつてその因習的な不文律から逃れるために出ていった故郷・鳥取に帰省する。

直木賞受賞作家が、家族の死をきっかけに故郷と向き合う自伝的小説

2008年、『私の男』で直木賞を受賞した人気作家・桜庭一樹の自伝的小説である本作『少女を埋める』。

長らく離れていた鳥取へ帰郷し、それまで気付けなかった家族からの愛を実感するとともに、複雑で難しい不文律に縛られ、従わない人間には「出ていけ、若しくは従え」と強要する土地に「りこうに生まれてしまった」自分は長くとどまれないと「私」は再認識します。

さらに、収録されている「キメラ」では、自分が発表した自伝的小説が評論家によって曲解されたまま世間に紹介されてしまい、家族や地元の人々の名誉を守るために戦うも、理解のない人々がいるという事実に直面してしまった作家の苦悩が描かれます。

評論家は批評に当たり著者の思惑から外れて自由に読んでいいのか、受け取り方は読者に委ねられているのか、常に議論が交わされてきた「小説の読み方」に関する問題について、是非考えてみてください。

著者
桜庭一樹
出版社
文藝春秋
ページ数
269頁
価格(税込)
1,650円

『不連続殺人事件』/坂口安吾

※引用元:Amazon

あらすじ

詩人・歌川和馬の招待により、山奥の豪邸に集められた作家たちをはじめとする複数の男女。

邸内が異常な雰囲気に包まれる中、ひとりが殺されると連鎖的に死体が生みだされていき、遂に恐るべき殺人事件は8件に及んだ…。

賞金付き「読者への挑戦状」付・本格ミステリー小説

『堕落論』で著名な文豪・坂口安吾のミステリー小説『不連続殺人事件』は連載当時賞金付きで読者に犯人当てゲームを挑んだことにより、一躍話題となりました。

安吾の原稿料が賞金として提示されており、江戸川乱歩も参加しましたが、残念ながら不正解。

大井廣介や3人の一般読者が正解し、一党が物理学校の生徒であったことが発表されています。

作品のジャンルとしては「叙述トリック」に分類され、作品全体の異様な世界観から通常よりもトリックを見抜くのが困難になっています。

ネタバレ厳禁。是非、坂口安吾に挑戦してみてください。

著者
坂口安吾
出版社
KADOKAWA
ページ数
329頁
価格(税込)
572円

『ないもの、あります』 /クラフト・エヴィング商會

※引用元:Amazon

あらすじ

よく耳にするけど、実際は見たことがないもの。

例えば、「転ばぬ先の杖」。あるいは、「堪忍袋の緒」。

このような「ないもの」に対するニーズに応えるため、古今東西より取り寄せた「ないもの」を読者のお手元にお届けします。

不思議な世界に引き込まれる!独創的な「商品」たち

クラフト・エヴィング商會のカタログという形式をとった本『ないもの、あります』。

転ばぬ先の杖」や「地獄耳」、「自分を上げる棚」など、誰もが知っているけど見たことがないものが陳列されています。

なんども切れてしまって、足りなくなってしまった方におすすめなのが、「堪忍袋の緒」。

さらには「冥土の土産」なんていかがでしょうか。

秋の静かな夜に、少しづつ読み進めたい作品です。

著者
クラフト・エヴィング商會
出版社
筑摩書房
ページ数
125頁
価格(税込)
990円

『推し、燃ゆ』/宇佐見りん

※引用元:Amazon

芥川賞を受賞した、「ままならない人生」における「推し活」を描いた物語

最近よく耳にするようになった言葉「推し活」。

祭壇や本人不在の誕生日会など、まるで神様のように「推し」を生活の拠り所とする人々

本作の主人公も、ままならない人生の中で、「推し」に縋り、ひたすらにその行動を「解釈」し続けます。

「推し」を持ったことがある人や、「推し」が炎上したことがある方からリアルすぎると言われるほど、「推し活」をする人々の心情に迫った作品です。

宇佐見りんの描く少女は特有の生きづらさを抱えていますが、本作でもままならない現代を生きる若者の生きづらさが生々しく描かれており、若い方には特におすすめです。

著者
宇佐見りん
出版社
河出書房新社
ページ数
160頁
価格(税込)
638円

『むらさきのスカートの女』/今村夏子

※引用元:Amazon

〈私〉の街には、「むらさきのスカートの女」と呼ばれる有名な女がいる。

彼女が気になって仕方がない〈私〉は、「ともだち」になるため、女を同じ職場で働くよう誘導する…。

静かに進行していく狂気

本作の冒頭で紹介される、街でよく知られた人物「むらさきのスカートの女」の変人度合い。

〈私〉は、近所に住む子供たちの罰ゲームの対象ともなるほど噂に事欠かない「むらさきのスカートの女」と、姉に似ているかもしれないという漠然とした理由から友達になろうとします。

しかし、変人の女性と、友達になろうとする女性と思って読み進めていくと、いつの間にか「むらさきのスカートの女」や〈私〉への印象ががらりと変わり、静かに進行していた狂気に慄きます。

何も起こっていないはずなのに、なぜか怖い…。

日本の小説特有の面白さが詰まった作品です。

著者
今村夏子
出版社
朝日新聞出版
ページ数
216頁
価格(税込)
682円

『アタラクシア 』/金原 ひとみ

※引用元:Amazon

あらすじ

最も幸せな習慣を、夫とは別の男性と過ごす由衣や、夫の浮気に文句ばかりの姑、反抗的な息子に苛立つパティシエの英美、そしてどうしたら妻を幸せにできるかわからない作家・桂…。

望んで結婚したはずなのに、なぜか苦しみから抜け出せない男女を描いた第5回渡辺淳一文学賞受賞作。

「この世界を生きるには、あと一つ支えが足りない。」

浮気相手と幸せな時間を過ごす由衣と、その浮気相手と同じ職場で働く英美、そして由衣の夫の桂…。

様々な苦悩を抱えた登場人物たちが、それぞれの視点から苦しい生活を語ります。

人間の闇や負の感情があまりにもリアルに描かれており、現実の人間関係では秘められる内心まで浮き彫りにされています。

望んだはずの結婚生活のはずが、なぜこんなにも苦しいのか…。

心に重く伸し掛かってくる作品です。

著者
金原ひとみ
出版社
集英社
ページ数
368頁
価格(税込)
836円

『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』/標野 凪

※引用元:Amazon

あらすじ

住宅街の大通りを1本逸れた、鬱蒼とした木々に囲まれたおひとりさま専用カフェ「喫茶ドードー」。

都会の喧騒から少しだけ遮断され、暖かな日差しが差し込むこのカフェは、いつもより気分が沈んだときだけ、なぜか見つけやすくなります。

今日も、店主そろりの優しい料理を求めて、頑張りすぎたお客さんたちがこのカフェを訪れる…。

「森のおとしものと森のおくりもの」

本作『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』は連作短編小説のため作品内で季節が廻り、「森のおとしものと森のおくりもの」ではになっています。

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、「感染対策」と「サービス」のダブルスタンダードを迫られる接客業の人々。

半個室のくつろげる空間をウリにした美容院で働く谷彩花は、「お客様へ安心を」という気持ちから徹底して感染対策を行いますが、毎日身勝手な客の行動に悩まされ、ストレスを抱えていきます。

自分のサービスに意味はあるのかと悩んでいた折、同僚が「森のおとしもの」をもらったという「喫茶ドードー」へ行くことに。

店主そろりが疲れた彩花に出してくれたのは、「森のおくりもの」というメニューで…。

秋を感じるとともに、心温まる物語です。

著者
標野凪
出版社
双葉社
ページ数
240頁
価格(税込)
630円

【エッセイ・新書・実用書編】読書の秋に読みたい本9選!

『好きになってしまいました。』/三浦しをん

※引用元:Amazon

あらすじ

「日常のなかの美」「旅」「本の紹介や読書について」。

それぞれのテーマに即した(?)、「はっちゃけのごった煮(ごくたまに真面目もあるよ)」という、エッセイ集。

人気作家の愛と笑いに満ちた日常

コロナ下で開催されたEXILE一族のコンサートで、感染対策のため声出しが禁止され、マスクの上からタオルを咥えこんで必死に声を押し殺す少女をみかけた話「きらめきとふぐふぐ」。

「花粉情報」や「桜の開花予想」、「明日の天気にふさわしい服装」など、懇切丁寧に細かすぎる情報を教えてくれる天気予報に束縛だと怒りながら、その裏にある現代の完璧主義を暴く「束縛(?)の天気予報」。

人気作家・三浦しをんが、日常において何を考え、どのように過ごしているか、ということを垣間見ることができる抱腹絶倒のエッセイ集です。

著者
三浦しをん
出版社
大和書房
ページ数
304頁
価格(税込)
1,650円

『進化した猿たち―The Best―』/星新一

※引用元:Amazon

あらすじ

星新一が長年蒐集してきた、アメリカのヒトコマ漫画。

「孤島」や「刑務所」「精神病院」など、テーマに即してユーモア豊かな作品を紹介する。

人間と他の生物とのいちばんの違いは、笑いと想像力である。

星新一がそのエッセイでも度々紹介しているように、蒐集に心血を注いできたアメリカのヒトコマ漫画

人間の素晴らしい発想力とユーモアが詰め込まれた傑作たちは、〈進化した猿たち〉人間の欲望や習性、奇癖を余すことなく浮き彫りにします。

日本においてSF小説を確立させ、その発想力で人々の度肝を抜き続けた著者の思考を垣間見ることができる作品です。

著者
星新一
出版社
新潮社
ページ数
304頁
価格(税込)
649円

『国語辞典を食べ歩く』/サンキュータツオ

※引用元:Amazon

あらすじ

国語辞典はどれもこれも似たり寄ったりだと思っていたら、大間違い。

国語辞典は、実はとても個性豊かなのです。

関係者たちが、編集方針という名の「哲学」を詰め込んだ国語辞典は、1冊1冊人格が異なります。

国語辞典ってこんなに面白い!

芸人のサンキュータツオが紹介する、国語辞典の面白さ

国語辞典をただ引くだけではもったいない!国語辞典の楽しみ方を伝授!

辞書が親しみやすく擬人化されており、サンキュータツオにより個性ある辞書たちが面白おかしく紹介されているため、きっとあなたも辞書が大好きになります。

「料理の美味しさ」という、言葉にするのが難しく、人それぞれ個人差がある感覚を各辞書はどのように解説しているのでしょうか?

著者
サンキュータツオ
出版社
女子栄養大学出版部
ページ数
336頁
価格(税込)
1,700円

『ケーキの切れない非行少年たち』/宮口幸治

※引用元:Amazon

あらすじ

「非行少年」と呼ばれる少年たちは、何故「非行」に走るのか?

背景には、長年看過され続けてきた「認知の歪み」という問題があった。

児童精神科であり、少年院に収監された多くの少年たちやその保護者と接してきた著者が、「非行少年」たちに隠された根深い問題を説く。

大ベストセラーとなり、コミカライズやドラマ化もされた人気新書シリーズ

普段新書を読まないという方も、タイトルだけは聞いたことがあるのではないでしょうか?

大ヒットを記録し、ベストセラーとなった本書『ケーキの切れない非行少年たち』は、社会一般における「非行少年」たちへの印象を大きく変えました

「非行少年」たちが非行へと走ってしまった背景には、ホールケーキを等分することさえ困難な程の、「認知の歪み」があります。

発達障害や知能障害を抱え、適切な環境で適切な支援を受けることができなかった彼らに、社会はどのように手を差し伸べるべきなのか。

コミカライズやNHKによるドキュメンタリードラマも制作されているため、是非そちらもご覧ください。

著者
宮口幸治
出版社
新潮社
ページ数
192頁
価格(税込)
836円

『文豪たちの悪口本』/彩図社文芸部

※引用元:Amazon

あらすじ

文豪同士の喧嘩や、家族への当てつけ、世間への愚痴など、文豪たちが作品や日記、手紙へしたためた個性豊かな「悪口」を作家ごとに紹介。

川端康成に「刺す」と恨み言を残した太宰治

一般に、人間の語彙力が試されるのは悪口や罵倒など、他人を貶すときだと言われます。

日本の歴史に、その「言葉」によって名を刻まれることになった文豪たちは、悪口を言う際、どのような言葉を用いたのでしょうか。

才能と人間性は反比例するもの。

数々の逸話を残し、その人格に定評がある太宰治から、女性関係を原因として絶交した谷崎潤一郎まで、実に多彩な「悪口」が収録されています。

作家先生たちの、少々個性的な社会生活の一端を覗き見てみましょう。

著者
彩図社文芸部(編)
出版社
彩図社
ページ数
224頁
価格(税込)
1,320円

『奇書の世界史 1 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語』/三崎律日

※引用元:Amazon

あらすじ

これは、良書か、悪書か?

YouTubeで活躍する「奇書研究家」三崎律日による、数奇な運命を辿った「奇書」の解説書。

長い人類史のなかで生み出されてきた「ヤバい書物」

人類が文字を発明してから5000年以上、人類はその叡智を次の世代へ受け継ぐために、多くの書物を遺してきました。

無数の書物のなかには、当然余人には理解し難いものもあります。

現在に至るまで全く解読されていない、暗号文書と考えられている書物『ヴォイニッチ手稿』、10万人の「魔女」を火炙りにする契機となった『魔女に与える鉄槌』…。

人類史の別側面を紐解いてみませんか?

著者
三崎律日
出版社
KADOKAWA
ページ数
320頁
価格(税込)
1,760円

『小説家の休暇』/三島由紀夫

※引用元:Amazon

あらすじ

小説や演劇など、芸術に関する広範な問題を、三島由紀夫独自の視点で語った日記形式の評論。

歴史に残った小説家・三島由紀夫の素顔を垣間見

『金閣寺』や『潮騒』など、数々の名作を世に遺し、その生き様によって日本史に刻まれた作家・三島由紀夫

そんな彼が遺したエッセーのような評論作品が、本作『小説家の休暇』。

演劇に関することから、主義思想、日本文学に対する独自の視点からの考察など、実に縦横無尽に論が展開されていきます。

「作家が誠実であるべきなのではなく、そもそも人間が誠実であるべき」「太宰治はその不摂生が生みだした弱者の文学」「共産主義者の”ファシスト”という言葉は、世間一般に言う“馬鹿野郎”と同じ」など、三島由紀夫らしい挑戦的な評論が多数収録。

三島由紀夫の核心となる思考を垣間見ることができる日記です。

著者
三島由紀夫
出版社
新潮社
ページ数
384頁
価格(税込)
737円

『謎物語 あるいは物語の謎』/北村薫

※引用元:Amazon

あらすじ

本格ミステリをこよなく愛するミステリ作家・北村薫による、日常生活に潜むミステリのきらめき体験談。

〈日常の謎〉系ミステリの巨匠・北村薫による、〈日常の謎〉エッセイ

上記でも紹介した「円紫さんと私」シリーズなど、数々の〈日常の謎〉系ミステリの名作を生みだしてきたミステリ界の巨匠・北村薫のエッセイ集『謎物語 あるいは物語の謎』。

子供のころに読んだ童話や昔話、皆が愛するスクリーンの中のキャラクター、日本文学の超有名作品など、様々な場所に潜む〈日常の謎〉が、著者の視点から解き明かされます。

著者がこよなく愛する「本格ミステリ」とは?

ミステリの巨匠による、「本格ミステリ」評論も語られているため、ミステリファンにおすすめのエッセイ集です。

著者
北村薫
出版社
東京創元社
ページ数
349頁
価格(税込)
880円

『それいぬ 正しい乙女になるために』/嶽本 野ばら

※引用元:Amazon

あらすじ

美しく、けれども根性は悪く。

それが乙女の生き方です。

「乙女のカリスマ」嶽本野ばらによる、「乙女の聖書」

ロリータファッションを牽引し、「乙女のカリスマ」と呼ばれたエッセイスト・嶽本野ばら。

日本中の乙女たちが、憧れの乙女を目指して読み継いできた聖書こそ、彼のエッセイ『それいぬ 正しい乙女になるために』です。

「乙女に友達なんていらない。集まらなきゃ何かを成せないのは、いつだって男の子」「どこまでも根性悪く、好きな男の子は追いかけるべし」など、乙女のなんたるかを説きます

これを読めば、今日からあなたも立派な乙女!

お下げとロリータファッションで身を固めて、街へ出かけましょう。

著者
嶽本野ばら
出版社
国書刊行会
ページ数
189頁
価格(税込)
1,650円

読書の秋を満喫しよう!

書店に並ぶ、数々の魅力的な作品たち。

普段本を読まないという方も、本が大好きという方も、是非この機会にたくさんの本を読んでみてください。

素敵な作品との出会いが、あなたを待っているかもしれません。

この記事を書いた人

Yu

千葉県出身の「Yu」です。 主に、小説、メイク・コスメのジャンルを執筆しています。 本が大好きで、幅広く読んでいます。 皆様のお役に立てるような情報を発信してまいります!

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