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「ご愁傷様です」の意味とは?正しい使い方やマナーについても解説

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2021/09/26

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「ご愁傷様です」の意味とは?

「ご愁傷様です」という言葉を聞いたり、使ったりしたことが1度はあるでしょう。意味を知らなくても、なんとなく相手を労っている言葉ではないかと、想像がつきます。

「ご愁傷様です」において使われている「愁」は、「人を心配する」や「嘆き悲しむ」という憂いの気持ちを意味します。また「傷」は、怪我以外にも「心を痛める」や「辛く思う」といった心の痛みを表す漢字です。

これらのことから「愁傷」は心の傷を悲しく思うという意味になり、「ご愁傷様です」と丁寧語をつけることで、身内を亡くす不幸があった場合などの特定の人に対して、気の毒に思う気持ちを込めて使う言葉になります。

「ご愁傷様です」はどんな時に使われる?

「ご愁傷様です」という言葉は葬儀の時だけでなく、仕事の同僚や親しい友人に対しても使うことがあります。この場合も気の毒に思う気持ちを込めて使う言葉ではありますが、相手の不幸に対して茶化しているといった皮肉のニュアンスの方が強く出ます。

そのため、冗談の通じる親しい関係の人に対して使わなければ、相手を傷つけることにつながってしまいますので注意しましょう。

「ご愁傷様です」の使い方

実際に「ご愁傷様です」という言葉を使うとしたら、どのような場面で使ったら良いのか、分からない方が多いでしょう。そこで、「ご愁傷様です」という言葉の使い方を説明していきます。

「ご愁傷様です」への返事の仕方

「ご愁傷様です」と言葉をかけてくれた人に対しての返事の仕方はいくつかあります。よく使われている返事としては、「恐れ入ります」と「痛み入ります」の2つです。

どちらも相手の心遣いに感謝の気持ちを表す言葉ですが、「恐れ入ります」の方は目上の人や上司に対して敬意を払う場合に使うと良いと言えます。

また、畏まった表現でなく「ありがとうございます」と率直に感謝の気持ちを伝えたい場合は、「ご丁寧にありがとうございます」や「お心遣いありがとうございます」と伝えると良いでしょう。

しかし、身内が亡くなって気持ちの整理がつかず、言葉が出ない場面もあります。そのような場合は黙礼するだけでも感謝の気持ちが伝わるため、しっかりとお辞儀しましょう。

「ご愁傷様です」を使った会話の例文

「ご愁傷様です」と声をかけるシーンには葬儀だけでなく、友人や会社関係で使う場合もあります。「ご愁傷様です」という言葉をかけるにしても、誰に対してかが重要です。そこで「ご愁傷様です」を使った会話の例文を3つの場合に分けてご紹介します。

ビジネスシーンの場合

取引先の方の身内に不幸があったと知った時や、会社関係者の葬儀に参列した時などにも「ご愁傷様です」という言葉を使います。「ご愁傷様です」は敬語であるため、ビジネス関係の方が相手または目上の人にも使うことが可能です。

ただし、「ご愁傷様です」は話し言葉であるため、電話など口頭で伝える場合のみ使うようにしましょう。その際は「この度はご愁傷様です。お悔やみ申し上げます。」や「この度はご愁傷様でした。お悔やみ申し上げます。」などのように使いましょう。

友人との会話の場合

友人との会話の中で、友人に嫌なことや理不尽な出来事があった場合などにからかいを込めて「ご愁傷様です」ということもあります。また、会社の同僚に対してもからかいの意味で「休日に出勤なんて、ご愁傷様」という使い方もします。

ただし、その人が頑張れば何とかなるような場合に使用するのが良いため、その際に「それはご愁傷様だったね」や「ご愁傷様」と声をかけるようにしましょう。

葬儀の場合

葬儀やお通夜に参列する場合は、受付や焼香、会食の際に「ご愁傷様です」と伝えましょう。伝える際には「この度はご愁傷様です」や「突然のことでしたね。ご愁傷様でございます」といった心遣いを大切にすると良いでしょう。

「ご愁傷様です」と似た表現方法5つ

「ご愁傷様です」という言葉には、似ている意味や表現を持つ言葉があります。ただし、似ていても使い方が違う場合もあります。そこで「ご愁傷様です」と似た表現方法を5つ紹介します。

1:「哀悼の意を表します」

「ご愁傷様です」と似た表現で「哀悼の意を表します」という言葉があります。「哀悼」とは人の死を悲しみ悼むことで、「意を表す」という言葉は気持ちを表すことを意味します。

つまり「哀悼の意を表します」とは、亡くなった方を思うと悲しくて心が痛みます、という意味になります。使い方は「○○様に対し、謹んで哀悼の意を表します」や「心より哀悼の意を表しますとともに、○○様のご冥福を心よりお祈りいたします」などがあります。

ただし、「ご愁傷様です」が話し言葉なのに対し、「哀悼の意を表します」は書き言葉です。そのため、弔電で使っても遺族と話す際には使わないようにしましょう。

2:「ご冥福をお祈りします」

「ご冥福をお祈りします」という表現もあります。「冥」とは死後の世界である冥土を指しており、「福」は幸福を表します。「ご冥福をお祈りします」とはすなわち、故人に対して死後の幸福を祈っています、という意味になるのです。

こちらは書き言葉であるため、弔電の中で使うのが適切となります。使い方としては「故人のご冥福をお祈りします」や「ご訃報に接し、心より○○様のご冥福をお祈り申し上げます」という表現で書くと良いでしょう。

3:「お悔やみ申し上げます」

「ご愁傷様です」と同じくらい「お悔やみ申し上げます」もよく使われています。「お悔やみ申し上げます」とは、故人が亡くなったことを悲しく思い弔いの言葉を伝えます、という意味です。

「ご愁傷様です」がご遺族を対象とした言葉なのに対し、「お悔やみ申し上げます」は故人と遺族双方に対して悲しみの気持ちを伝える、という違いがあります。

話し言葉として「心からお悔やみ申し上げます」と伝えるのも良いですし、書き言葉として弔電の際に「ご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます」といった使い方をすることも可能です。

4:「言葉が見つかりません」

「ご愁傷様です」という言葉を使う場面では、代わりに「言葉が見つかりません」という表現をすることもあります。「言葉が見つかりません」は、故人の死があまりにもショックで、ご遺族の方に対して適切な言葉が見つからない場合に使用するものです。

この言葉には、故人の死に対し自分も困惑しているという意味が込められており、「この度は突然のことで言葉も見つかりません。心からお悔やみ申し上げます」などといった使い方をします。

5:「本当に残念です」

「本当に残念です」も「ご愁傷様です」と似た表現です。「本当に残念です」には「ご愁傷様です」という気持ちも含まれており、ご遺族の悲しみを心から思う表現になります。

ご遺族の方に対して「どうかお力を落とされませんように」といった使い方をすることで、やりきれない思いを伝えることが可能です。

「ご愁傷様です」を言い換えて使用する3つのケース

「ご愁傷様です」には様々な類語があると分かりました。一般的に「ご愁傷様です」を使うのが主流ですが、そのまま使わず言い換えて使用しなくてはならないケースもあります。そこで「ご愁傷様です」を言い換えて使用するケースを3つ、ご紹介します。

1:神式やキリスト教式の葬儀の場合

神式やキリスト教では死に対する考え方が仏教とは違うため、「ご愁傷様です」という言葉をそのまま伝えることはできません。「ご愁傷様です」は仏教の葬儀で使われる言葉ですが、仏教において死者は三途の川を渡って冥土に向かうという教えになっています。

神式の場合、死者は家の守護神となり、葬式が死者を守護神として迎える儀式になるのです。そのため、仏教の用語である「冥福」や「成仏」、「供養」といった言葉は使えず、死者の霊魂を「御霊」と呼び、「平安」や「拝礼」といった言葉を使います。

そのため神式の葬儀では、「ご愁傷様です」ではなく「御霊のご平安をお祈り申し上げます」と伝えましょう。またキリスト教式の場合、死は天国に召される喜ばしいことで遺族はいずれ天国で再会できる、と考えられています。

さらに慰めの言葉として「安らかなお眠りでありますようお祈り申し上げます」などと伝えると良いでしょう。

2:メールや手紙の場合

メールや手紙の場合は「ご愁傷様です」ではなく、「お悔やみ申し上げます」と伝えることが大切です。「ご愁傷様です」は話し言葉になるため、メールや手紙、弔電に適切とは言えません。

また「ご愁傷様です」には皮肉を込めて使う場合もあるため、誤解を生む原因となってしまいます。そのため、メールや手紙の場合は簡潔に正しく伝わる「お悔やみ申し上げます」という言葉を使うと良いでしょう。

3:目上の人と話す場合

目上の人と話す場合は、「この度はご愁傷様でございます」と伝えるようにしましょう。「ご愁傷様です」も丁寧語であるため問題はありませんが、「この度はご愁傷様でございます」の方が謙譲語となるため、ご遺族に対して心からの敬意を表すことができます

「ご愁傷様です」をお悔やみの場で使う際に注意すべきマナー4つ

お悔やみの場では「ご愁傷様です」と伝える際に、気をつけなければならないマナーがあります。マナーをしっかり守らなければ、大切な場に水を差すことにもなりかねません。

そこで、「ご愁傷様です」をお悔やみの場で使う際に注意すべき4つのマナーをご説明いたします。

1:重ね言葉を避ける

重ね言葉は避けるようにしましょう。重ね言葉には「重ね重ね」や「再三」「色々」「くれぐれも」などがあります。これらの言葉は悲しみや不幸が繰り返されることを連想させてしまうため、縁起が悪い言葉として認識し、使わないように気をつけることが重要です。

2:忌み言葉を避ける

忌み言葉も使わないようにしましょう。忌み言葉とは不幸や死を連想させる言葉のことで、「死ぬ」や「滅ぶ」「消える」などがあります。

もし使わなければならないとしても「死亡」は「逝去」や「永眠」に、「急死」は「急逝」や「突然のこと」などと言い換えるようにすると良いでしょう。

3:遺族の気持ちに配慮する

遺族の方は、多くの人に挨拶をして回らなければなりません。そのため、「この度はご愁傷様です」と簡潔に伝えることで、ご遺族の方の時間を奪わないようにすると良いと言えます。遺族の気持ちに配慮するよう、心掛けましょう。

4:言葉は慎重に選ぶ

言葉は慎重に選ぶことが大切です。遺族の方は大切な人が死んでしまったことで、精神的に参っている状態です。声をかける側としては励ましたいと思うかもしれませんが、「頑張ってください」や「元気を出してください」などの言葉はむしろ遺族の負担になってしまいます。

心配していることを伝えたい場合は、「お力を落とされませんように」や「ご自愛ください」といった言葉をかけるようにしましょう。

「ご愁傷様です」の意味や正しい使い方を知ろう

言葉の使い方はとても重要なものです。「ご愁傷様です」という言葉においても、意味や使い方を知っておかなければ相手に皮肉として伝わったり、相手の心を傷つけたりしてしまいます。

自分と相手との良好な関係を築いていくためにも、「ご愁傷様です」の意味や正しい使い方を知りましょう。

この記事を書いた人

Bee

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