一般的に「高年収の人が羨ましい」「もっとお金持ちになりたい」と考える人は多いのではないでしょうか。
「年収が高い=幸せ」という考えは、多くの人が無意識に抱いています。
しかし、実際のところ「お金=幸せではない」という人が多いような気がします。
そこでここでは、(内閣府などによる)データに基づき、年収と幸福度の関係について見ていき、一体いくら稼げば幸せなのか見ていきましょう!
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1.そもそも幸福度とは?
幸福度とは何か
幸福度とは幸福の程度を数値化したようなものです。
令和元年に政府が報告した「満足度・生活の質に関する調査」では、「現在の生活にどの程度満足しているか」について、0点から10点の11段階で満足度の度合を質問し、「全く満足していない」を0点、「非常に満足している」を10点として調査を実施しました。
幸福度(総合主観満足度)の全国平均は5.89点となりました。(図1)

図1.総合主観満足度(全体)
では、この幸福度が年収と本当に関係があるのか見ていきましょう。
年収と幸福度って関係あるの?
幸福度を決定づけるものが何か、政府が平成26年に実施した調査(図2)によると、幸福感を判断する際に最も重視した事項は「家計の状況」、つまり「お金」であることが明らかになりました。

図2.幸福感を判断する際に重視した事項
データの通り幸福度と年収に関係性があることが分かりました。
それではいよいよ、年収別のデータを基に幸福度(総合主観満足度)がどのような傾向にあるのか見ていきましょう。
2.年収800万円が幸福度の限界って本当!?
幸福度と年収の話として「年収800万円が限界。それ以上は幸福度が下がる」といったことを聞いたことがある人がいるかもしれません。
結論からいうと、年収800万円を超えると幸福度の伸びが鈍化するだけで幸福度が止まったり下がるわけではないです。
平均年収500万円未満の実態と幸福度
平均年収500万円未満の幸福度は以下の通りになります。
平均年収 | 幸福度 |
---|---|
100万円未満 | 5.01点 |
100万円~300万円未満 | 5.20点 |
300万円~500万円未満 | 5.68点 |

特に年収300万円を超えたあたりから幸福度が一気に高くなることが読み取れます。
年収300万円の手取りは約240万円です。年収500万円は額面月給35万円ボーナス80万円で、手取り約410万円です。
年収300万円と500万円の人の生活の実態を具体的に概ねの数値を算出してみました。
項目 | 年収300万円(月収約20万円) | 年収500万円(月収約27万円) |
---|---|---|
家賃 | 6万円 | 8万円 |
水道光熱費 | 1万円 | 1万円 |
食費 | 5.5万円 | 6万円 |
通信費 | 1万円 | 1万円 |
雑費 | 2万円 | 5万円 |
貯金 | 4.5万円 | 6万円 |
国税庁の民間給与調査によると、令和元年における日本人の平均年収は約436万円となっています。
人間誰しもが最低でも平均以上でありたいと思うから、年収300万円から500万円に変わるところを境にして、急激に幸福度が上昇するのではないでしょうか。
データで見た年収800万円の幸福度

アメリカの研究結果で年収7.5万ドルを超えると、年収が上がっても幸福度はあまり変わらなくなると発表されました
2015年にノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のアンガス・ディートン教授は、年収と幸福度の関係について興味深い研究結果を発表しています。
この研究結果によると、年収が7.5万ドル(約800万円)を超えるとそれ以降は、年収と幸福度の相関があまり見られないというのです。
この研究結果をかみ砕いて説明すると、年収800万円までは年収が上がるにつれて幸福度は上昇するが、それ以降は年収が増えてもあまり変わらないということになります。
内閣府のデータからも年収800万円を超えると幸福度の上がり幅が低くなることがわかっています!
年収800万円前後の内閣府データを見ていきましょう。
平均年収 | 幸福度 |
---|---|
500万円~700万円未満 | 5.91点 |
700万円~1000万円未満 | 6.24点 |
1000万円~2000万円未満 | 6.52点 |
年収約800万円までは年収が100万円上がるごとに幸福度が10~20%上がっていたのに対し、年収約800万円を超えると年収が100万円上がるごとに幸福度の上昇は5%にも満たしませんでした。
これは感応度逓減性によるものであるとされています。
感応度逓減性(カンノウドテイゲンセイ)
感応度逓減性とは、同じだけの利益や損失であってもその母数が大きくなればなるほど感度が鈍くなるという現象のことです。
簡単な例を出すと、一杯目のビールはうまいが、2杯目のビールでは同じ満足感が得られない。3杯目の満足感がもっと下がるというものです。
3.年収1000万円プレイヤーは幸せなのか?

年収1000万円の幸福度は非常に高いです!
確かに前述したように、年収800万円を過ぎたあたりから幸福度の上がり幅は小さくなってしまいます。
感応度逓減性(カンノウドテイゲンセイ)により幸福感を感じる感度は下がってしまいます。
年収別感応度逓減性(年収別カンノウドテイゲンセイ)
年収別に感応度逓減性(カンノウドテイゲンセイ)についてまたもやビールの美味さで例えてみましょう。
1杯目(年収800万円まで)のビールはつまみも何もなく、それだけであの喉越しがたまらなく美味しいですよね!
でも2杯目の(年収800万円を超えた)ビールは、1杯目に比べると美味しさはちょっと微妙になると思います。それでも2杯目以降も、多様なつまみを駆使すれば美味しく頂くことができると思います。
つまり年収1000万円は、年収800万円以下に比べると幸福感の感度が鈍くなっているが、幸福感だけでいうとしっかりと上がっています。
結局ビールは美味しいんです(笑)
4.幸福度が最も高い年収は2000~3000万円!?

内閣府の年収別幸福度データを以下に示したところ、
「100万円未満」 5.01点
「100万円~300万円未満」5.20点
「300万円~500万円未満」5.68点
「500万円~700万円未満」 5.91点
「700万円~1000万円未満」 6.24点
「1000万円~2000万円未満」6.52点
「2000万円~3000万円未満」6・84点
「3000万円~5000万円未満」6・60点
「5000万円~1億円未満」6・50 点
最も幸福度が高い年収は「2000万円~3000万円未満」であることが分かりました。
年収3000万円までいくと逆に幸福度が下がってしまうということです。
ビールもどんなにつまみを駆使しても、無限には飲めないですからね(笑)
5.まとめ
「金銭は独立の基本なり、これを卑しむべからず」(福沢諭吉:教育者)
年収800万円を超えても、年収1000万円を超えても、まだまだ幸福度は上がります。
年収2000万~3000万を超えるまでは、幸福度が上がり続けることが分かりましたね。
年収別人口構造(SRC調査と国民生活基礎調査)
年収別の人口構造をみたところ、年収1000万円以上の割合が約10%しかいません。
年収1000万円以上になるのは容易ではないですが、とりあえず幸福度を年収だけで考えたら、安心して年収2500万円稼ぎましょう!