みなさんはテレビのニュースなどで「投資信託」という言葉をよく聞きますよね。
これからは人生100年時代と言われているように、長生きをする分、老後のための資金のこともしっかり考えなければいけません。2022年からは、高校の家庭科の授業で資産形成が教えられたりと、金融知識はこれからの時代では必須になってきます。
バブルが終わり、超低金利の時代で銀行にお金を預けるだけでは意味がない。そんな時代に需要がでてきたのが、この「投資信託」です。
今回はこの「投資信託」について金融初心者の方々のためにも、わかりやすく解説していきたいと思います!
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投資信託とは?
まずそもそも投資信託とはなんなのでしょうか?
仕組みをわかりやすく図解で説明していきますね!
投資信託の仕組み
まず投資信託は一言で言うと「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のことです。
わかりやすく言うと、お金を増やしたい複数の方から資金を集め、資産運用の専門家がそのお金で様々な株や債権、デリバティブを購入して、その運用で儲けたお金を、それぞれが出した資金額によって還元するということですね!
資産家から集めた大きな資金を運用する金融の専門家はファンドマネジャーと呼ばれ、複数人や個人でその資金(ファンド)を運用します。
もちろん投資信託は、株や債券を購入するため、マーケットの影響によって運用成績は変わってきます。
投資信託の運用が上手くいっている時もあれば、運用成績が悪く投資額を下回ってしまう可能性もあります。
そのため投資信託は、銀行の預金とは違って、元本が保障されている金融商品ではありません。
リスクをしっかり承知し、知識を身に着けたうえで投資を行いましょう。
投資信託の基本知識
次に投資信託の基礎知識について紹介していきます。
たしかに投資信託を運用するのは運用会社やファンドマネジャーといった投資信託運用会社ですが、投資を行う投資家当人達もある程度の知識を身につけておかないと、いざというときに損をしてしまう可能性があります。この記事でしっかり知識を身につけましょう!
基準価額
投資信託の値段のことを、基準価額と言います。
投資信託では、取引を行う上での単位を「口」と言います。
例えば購入の段階で1口1円で購入した場合、投資信託を運用することで、1口の値段が変動していきます。
基準価額を算定するには、基本的に「純資産総額」から「総口数」を割ることで1口の基準価格を算定します。ここでいう純資産総額は、投資信託の資産のうち、投資家に帰属する額のことを言います。
この1口の価額において、証券取引所で扱われている株式と違う点があります。
株式はマーケットの動向によって刻一刻と1日のなかで変化し、その時々で売買することが可能です。しかし投資信託の基準価額は、その信託に組み込まれている債権や株式の時価評価を基に産出され、1日に1つ公表されます。
そして投資信託の基準価額は投資家たちによる取引が締め切られた後に算出されます。
投資家たちは当日の基準価額がわからない状態で取引を行うため、このことを「ブラインド方式」と呼びます。
分配金
投資信託では、価額の変動によって換金時に得ることができる利益だけでなく、「分配金」という投資信託の決済のタイミングで支払われる利益があります。
ファンドの資金で運用して出した利益を、それぞれの投資家の保有口数によって分配されます。この分配金は信託財産の資産から分配されるため、この分配金が支払われる際は、純資産総額と基準価額は下落することになります。
しかし分配金の支払われる方針は様々なため、しっかり確認しておきましょう。場合によっては分配金が発生しないケースもあります。
資産運用を行う上で大切なこと
資産運用を行う上で念頭に置いて欲しいこととして「リスクを分散させること」があります。
資産運用のことわざの1つに「卵は一つのカゴに盛るな」というものがあります。
すべての卵を1つのカゴに持っていれば、そのカゴを落とした瞬間に、すべての卵を割ってしまいます。しかし1つのカゴに盛る卵の数を少なくし、分散させることでカゴを1つ落としてもすべての卵を割ってしまうというリスクを避けることができます。
これは資産運用でも通ずることで、世の中の金融商品にはローリスクハイリターンの夢のような商品は存在しません。
それなりにリスクを承知しなければなりません。リスクと上手く付き合っていくために大切にするべきことが大きく3つあります。
①資産の分散
②時間の分散
③長期保有
こちらの3つです。
①の資産の分散は、1つの金融商品に集中して投資を行うのではなく複数の金融商品に投資を行うということです。やはり巨額の資金を集中的に1つの金融商品に投資するのはかなり危険です。
複数の金融商品に分散して投資を行い、リスクを減らしましょう。
②の時間の分散は、一度に全額投資するのではなく、分散して毎月ごとに分けて投資額を増やしていくということです。投資の機会を分散させることで、価額の大幅変動にも対応することができます。
定期的に一定金額で投資信託を購入する手法、「ドルコスト平均法」を活用するのもおすすめです。
③の長期保有はその金融商品を長期保有することで、短期的に見たら損を出していても、長期的にみれば利益を出す可能性があるということです。
投資信託の選び方
ここで投資信託の選び方について紹介します。
①目標を設定しましょう!
まずはじめにやることは、目標を設定しましょう。これからの人生のプランを考え、必要な支出を考えて資産運用を行いましょう!例えば「10年後の息子の大学資金が必要だから700万円用意したい!」など、これからのライフイベントに合わせて、資産運用の目標を設定しましょう。
②リスク許容度を決めましょう!
次にリスクの許容度を決めます。金融商品はリスクのある商品のため、損をする可能性もあります。大きな損害を被らないためにも、投資額の10%を損したら、売却するといった、損切の基準をしっかり決めておきましょう。
③投資信託のタイプを決めましょう!
次に投資信託のタイプを決めましょう!後に投資信託の種類についても解説しますが、自身の人生設計に合わせて選択しましょう。
若い方で投資経験があれば、リスクが高くても損を取り戻せる余裕がありますが、投資初心者の方はリスクの比較的低い投資信託をおすすめします!
例として、日経平均株価に連動した、国内インデックス型の投資信託や、複数の株式を取り込んだバランス型の投資信託を、積立てて購入していくのもおすすめです。
④投資信託を始めよう!
これらの3ステップを経て、ある程度複数の投資信託をピックアップしたら、下記の3点を確認して投資信託を始めましょう!
1. 発売からある程度年数が経過しており、運用実績が安定しているか?
2. 分配金はあるのか?また再投資することは可能か?
3. 手数料が低いか?(0.1%~2%が相場)
これら3つの点を確認して投資信託を始めましょう!
投資信託のメリット
資産形成を行う上で、なぜ投資信託がおすすめされるのでしょうか?次に投資信託のメリットについてご紹介します!
少ない金額から購入が可能
通常の株式や債券などの金融商品はある程度まとまったお金が必要となりますが、投資信託では、1万円程度の少量の金額からスタートすることができます。
複数の株式などに分散投資することが可能
株式で分散投資を行うとなるとある程度まとまったお金が必要となるため、お金を持った投資家でなければ分散投資は難しいです。しかし投資信託では小口のお金を集めて1つの大きな資金にするため、少額の投資額でも分散投資を行うことができ、リスクを軽減させることができます。
金融のスペシャリストによって運営される
投資家個人個人が資産運用をおこなうために金融知識をしっかり身に着けるのは大変です。
その分投資信託では運用のスペシャリストが投資家に代わって運用を行います。
透明性の担保
原則として毎日基準価額が設定されていること、そして決算ごとに第三者の監査法人が監査を行っているため、高い透明性があります。
投資信託のデメリット
そんな投資信託にもある程度のリスクやデメリットが存在します。
価格変動リスク
投資信託は様々な株式や債券を組み入れることになるため、当たり前ですが価格が変動する可能性があります。
これらは一般的に、国内外の政治・経済情勢や企業の業績に影響を受けることになります。
為替変動リスク
外貨通貨建ての資産に投資する投資信託であれば、円高になれば基準価額がマイナス、円高ならプラスの影響があります。
このように海外の株式や債券に投資する場合は為替変動のリスクを伴います。
デフォルトのリスク
債券を発行する国や企業が財政難を理由に、利息や償還金を支払うことができなくなる可能性があります。
これらはあらかじめ定められた条件がありますが、デフォルトはリスクとして存在します。
金利変動リスク
金利が変動することで、債券の価格が変動します。基本的に金利が上がると債券は下落します。
そして金利が下がると債券の価格は上がります。
投資信託の種類
次に投資信託の種類について説明していきます。
投資信託には様々なタイプのものがあるため、しっかり確認していきましょう!
形態
まず最初に投資信託は形態で大きく分けることができます。
投資信託の形態として大きく契約型と会社型に分けることができます。
契約型は運用会社と信託銀行が信託契約を結ぶことによって形成される投資信託のことです。
一方、会社型は投資を目的とされる法人を設立することで形成される投資信託のことを言います。
誰が買えるのか
投資信託には公募と私募に分かれています。公募は多数の投資家に取得させることを目的とした投資信託のことを言います。
私募は機関投資家やごく少数の投資家を対象に取得させることを目的とした投資信託です。
購入可能な時期
単位型と追加型で、購入できる時期が変わってきます。
単位型は投資信託が立ち上げられる期間にのみ購入することが可能な投資信託のことを言います。これを当初募集期間と言います。
そして追加型は、基本的に投資信託が運用されている期間であれば、いつでも購入可能な投資信託のことを言います。
払い戻しが可能か
こちらはオープンエンド型とクローズエンド型に分けられます。
オープンエンド型は原則的に、運用期間中払い戻しに応じる投資信託のことです。
一方、クローズエンド型は運用期間中に払い戻しに応じない投資信託のことを言います。
投資対象地域による区分
投資信託の投資先の地域はそれぞれ異なります。
基本的に国内と海外、そして国内外によって分けられます。この分類は、その投資信託の主要な収益が、どの地域の資産を源泉とするかによって判断されます。
投資対象資産による区分
投資信託の投資対象資産は投資信託の分類においてとても重要です。
基本的な投資対象資産として株式と債券があります。
また主たる投資収益が、実質的に不動産投資信託や投資法人を源泉とするものは不動産投信と言います。
そして他には、上記の株式や債券、不動産投信以外の資産を源泉とするものや、資産複合のように主たる投資収益が、複数の資産を源泉とするものが挙げられます。
独立区分による分類
投資信託は3つの独立区分によって分類されます。
・MMF
MMFはマネー・マネジメント・ファンドの略で、毎日決算を行い、国内の公社債や短期の金融商品を中心に運用する、公社投資信託のことを言います。
・MRF
MRFはマネー・リザーブ・ファンドの略で、毎日決算を行い、安全性の高い公社債や短期の金融商品を中心に運用する、公社投資信託のことを言います。
・ETF
ETFは上場投資信託(Exchange Traded Funds)のことを指し、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指標に連動するように運用されている投資信託です。
補足分類
補足として分類される項目として、インデックス型と特殊型があります。
インデックス型は各種指数に連動する運用成果を目指すものです。(例:日経平均連動型)
一方特殊型とは、その投資信託が特殊な仕組みや運用手法を用いるもののことを言います。この特殊型は投資者に対して注意を喚起することが必要となってきます。
投資信託に手を出す上で心得ておくべきこと
情報を常に把握する
投資信託は比較的安全性が高いといっても、常に価額が変動する金融商品です。運用数側でない投資者の立場であっても、常に情報を把握しておきましょう。
投資信託説明書(交付見論書)を確認しましょう!
投資信託説明書(交付見論書)は購入する投資信託についての重要事項が載っている書類のことです。投資信託を購入する投資家に必ず渡されます。
記載されている内容として①ファンドの特色、②投資のリスク、③運用実績や④手続き・手数料などがあります。 どれも投資者として知っておくべき情報なのでしっかりと目を投資しましょう!
運用報告書を確認しましょう!
運用報告書とは、投資信託の運用方法とその結果を決算ごとに報告する書類のことです。
基本的に6カ月に1度の期間で作成されます。自分の購入した投資信託の運用状況をしっかり確認することで、今後の投資計画を見直しましょう!
費用と税金
投資信託は運用会社や監査法人など関わる第三者が複数いるため、投資額だけでなくそれなりのコストがかかります。
ここで投資信託にかかる費用や税金を確認しておきましょう。
投資信託かかる費用
・購入時手数料
こちらは投資信託を購入した際に支払う手数料のことです。基本的に販売会社に対して申し込み価額の数%を直接支払います。(ファンドや販売会社によっては、購入時手数料がかからない場合があります。)
・運用管理費用(信託報酬)
こちらは投資信託を保有時にファンドから間接的に、運用会社に支払われます。年率で払う金額は目論見書などに記載されています。
・監査報酬
投資信託のファンドから間接的に監査法人に支払われます。
・売買委託手数料
投資信託の保有する株式の売買時に発生する手数料のことです。
・信託財産保有手数料
投資信託を購入または解約する際に、手数料とは別に徴収される費用のことを言います。
投資信託にかかる税金
投資信託でかかる税金は、その投資信託で利益が生じる際に発生します。これらの税金は「分配金」と「譲渡益」で発生します。
またその税金の取り扱いは「株式投資信託」と「公社債投資信託」で異なります。
株式投資信託の税率は2013年まで10.147%でしたが、軽減税率の廃止によって、20.315%となりました。
そして公社債投資信託の税率は、分配金と換金時の収益に対して、20%の源泉分離課税が課されます。
しかし個人投資家の納税に関する負担を減らすために「特定口座」という制度が作られました。源泉徴収ありの特定口座では、投資信託の損益を計算して利益が出ていれば、利益から先に税を引いて口座に振り込まれるため、申告の手間が省けます。
投資で税金がかからない?NISAについて知っておこう!
上記で投資には多額の税金がかかることがわかります。しかし税金がかからない投資として、近年NISAが話題となっています。投資を行う上でこのNISAについてしっかり把握しておきましょう!
NISAとは?
通常投資を行った際に、利益が出た場合には20%の税金がかかります。
NISAは投資で得た利益に対して税金がかからなくなる制度のことを言います。
NISAは、成年が利用できる一般NISA・つみたてNISA、未成年が利用できるジュニアNISAの3種類があります。
一般NISAは、株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
つみたてNISAは、一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。
ジュニアNISAは、株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。
もっと詳しく知りたい方はこちらの金融庁のHPをご覧ください!
金融庁ホームページ:NISAとは?
NISAを利用するうえで注意するポイント
NISAは投資の利益にかかる税金が免除されるという意味で大変得する制度ですが、注意するポイントがあります。
一般NISAの場合
一般NISAは日本国内に住む20歳以上の方であれば誰でも加入することができます。そして年間120万円までの投資の利益であれば、最長5年間非課税となります。
ここでのポイントとして、
①一般NISAを利用するには一般NISA口座を開設する必要がある。
②口座は1人につき1口座しか開設できない。
③口座開設の手続きでは税務署の確認が必要となる。
④すでに持っている金融商品は一般NISAに移すことはできない。
⑤非課税の投資枠を翌年以降に繰り越せない。
⑥損益通算や売却損の繰越控除ができない
⑦課税口座へ振り替える場合、非課税期間終了時の時価が取得価格となる。
これらのポイントを確認しておきましょう。
ジュニアNISAの場合
ジュニアNISAは日本に居住する0〜19歳の未成年者が利用できる制度で、運用や管理は、子供や孫に代わって親や祖父母が行います。
このジュニアNISAで注意するポイントとして、
①ジュニアNISAの非課税となる投資枠は年間80万円まで
②18歳になるまでは口座からの資金の払い出し(引き出し)は原則NG
③ジュニアNISAを利用するには、ジュニアNISA口座を開設する必要がある
④ジュニアNISA口座は1人につき1口座しか開設できない。金融機関の変更は不可
⑤ジュニアNISA口座を開設する際は、未成年者以外に親権者等も金融機関に専用口座を 開設する必要がある
こちらのポイントを確認しておきましょう!
つみたてNISAの場合
つみたてNISAは、日本国内に住む20歳以上の人なら誰でも利用可能で非課税となる投資枠は年40万円までの制度となっています。
つみたてNISAは一般NISAと比べて、
・本来なら投資で得られた収益にかかる20%の税金が非課税になる。
・日本国内に居住する満20歳以上の人なら誰でも利用できる。
・金融商品の売却や資金の引き出しはいつでも自由にできる。
という点では同じです。
しかしつみたてNISAでは非課税となる投資額は年間40万円となります。そしてその枠内で積み立てた収益については最長20年間、非課税となります。
こちらのつみたてNISAを利用する上で注意するポイントとして
①「つみたてNISA」か「一般NISA」かいずれか1つを選択しなければならない
②分配金を再投資した場合、非課税投資枠を使ったとみなされるので注意
③つみたてNISAを利用するには、つみたてNISA口座を開設する必要がある
④口座は1人につき1口座しか開設できない
⑤口座の開設手続きでは税務署の確認が必要
こちらのポイントを押さえておきましょう。
コツコツ投資を行って、老後に備えよう!
いかがでしたでしょうか。このように投資信託は、これからの人生設計を考える上で大変重要となっていきます。
この記事を参考に是非みなさんも投資信託を始めてみてはいかがでしょうか。